玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

糞虫をみつける

2016-04-02 06:31:27 | 生きもの調べ
 私が働いている麻布大学にはいろいろな動物が飼われているので、イヌとウマの糞をもらってきた。イヌの糞のほうがベタつき、匂いも強い。ウマのほうはパサパサして、匂いはあまり強くない。


イヌ糞(左)と馬糞(右)

 糞トラップはプラスチック製の小さなもので、それに紐をとおして地面に安定させた。それから糞を大さじ1杯くらいとりだし、ティーバッグに入れて、割り箸ではさむ。それをバケツの上にわたし、これを紐にもかけて安定させた。これで完成だ。
 糞虫は糞の匂いに引かれて飛んできてバケツに入るが、そのままでは飛んで逃げるので、バケツの底に水を少し入れておく。そうすると逃げることはまずない。バケツを4個用意し、5mほど離して馬糞、イヌ糞、馬糞、イヌ糞と繰り返して置いた。これを夕方セットして翌日を待った。


糞トラップ

 翌朝、トラップを見回った。罠の見回りというのはわくわくするものだ、最初にイヌの糞をみたら、3匹の黒いものが見えた。水の中で足を動かしている。


イヌ糞トラップの底で泳ぐエンマコガネ

「いたいた、エンマコガネだ!」
これまで金華山などシカの生息地でよくみた糞虫だ。だが、近づいてよく見ると、明らかに今までよく見たカドマルエンマコガネやクロマルエンマコガネなどとは違い、胸の背側に2つのコブがある。あとで調べたらコブマルエンマコガネであることがわかった。


コブマルエンマコガネ 格子の間隔は5mm

 前脚には糞を崩すためのギザギザがついている。これをヘラのように使って糞を砕く。手のひらでつかむと、指のあいだを進むが力が強いのがわかる。動きがすばやく、またすぐに飛び立つ。飛んでいるのをみると、ハエのように見える。
 コブマルエンマコガネはほかのエンマコガネよりも食べ物、この場合は動物の糞だが、それだけでなく死体にも来るらしく、そういう食べ物の幅が広いのだそうだ。糞にもいろいろあって、特定の糞に来る糞虫がいたり、糞虫の中にも「雑食性」のがいるというのはおもしろい。その意味ではコブマルは糞虫のなかで、「タヌキ的」といえるかもしれない。タヌキの最大の特徴は融通がきくことにある。人の生活がかわり、コンクリートでできた町になり、人の食生活などが変化しても、それなりに対応して生き延びてきた。クマなどはいうまでもないが、キツネでもかつては人里にいたが、いまでは都市にはいなくなった。そのなかでタヌキはたくましく生き延びているのだが、コブマルエンマコガネはタヌキと同じような宿命をたどりながら、都市の緑地に生き延びているのだろう。
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