よむよま

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明治座花形「浮かれ心中」

2016-04-05 23:03:41 | 見る


明治座四月花形歌舞伎・夜の部を見てきました。

勘ちゃんは「浮かれ心中」
井上ひさしの「手鎖り心中」を歌舞伎にしたもので、
戯作者に憧れる大店のあほぼん栄次郎が、出版も自腹、宣伝も自腹で、
ともかく有名な作家になりたい一心で引き起こすばかばかしい騒動の顛末。
最後は心中(うそ芝居なんだけど)になっていくので、ちょっと「ちかえもん」も思い出したり。

まだ、トントントンッと畳みかけるようなテンポが出てないかな。
でも、もとが井上ひさしなので、そんなに単純にただおかしい喜劇でもないけどね。

栄次郎の友達が吉原の道中を見て花魁を見染める場面で、
「籠釣瓶」の佐野次郎左衛門の見染めをそっくりまねて使っていて、歌舞伎だからできる演出ね。
「サノジロじゃないんだから」なんてセリフをわざと言ったりして、おもしろかった。
後の場面で、勘ちゃんも次郎左衛門のセリフをちょっと言って、
「あ~やりたいなぁ」なんて言ってた。
やりたい役ですか?いいですねえ。
染五郎より海老蔵より菊之助より勘ちゃんにぴったりの役だと思う。
まだちょっと若いけど。

花魁の梅枝がとってもいいの。
クールな美しさがあって、計算高いしたたかな女。
梅枝は以前、何かの役のときにも、いいね!と思ったのよね、何だったかな。
今度もいいですね。

栄次郎と一緒になる貧乏長屋の娘が菊之助、ふっくらと美しい女房姿。
でっぷりにならないようにお気をつけください。どうも家系のようだから。

勘ちゃんはCMを織り込んだり、ところどころアドリブ入れて笑わせる。
最後は、茶番のはずの心中で栄次郎だけが死んでしまい、
ねずみに乗ってあの世へ飛んでいく、「ちゅう乗り相勤め申し候」という演出。
勘ちゃんは宙乗りで上がったところで
「高いところから眺めるのはいいね、澤瀉屋さんの気持ちがわかる」なんて言って、
楽しそうにみずから紙ふぶきを撒いたり蜘蛛の糸をバーッと放ったり、
わざとねずみから落ちそうにしたり、お客さんを喜ばせます。
三味線とお囃子の賑やかな「イッツ・ア・スモールワールド」の歌に乗って、三階席の上に飛んでいきました。
なんでこの歌だったんだろう?
ねずみだから?
お父さんがディズニーランド大好きだったから?
この宙乗りのところで、「今日は会いたい人の月命日なんだよ」とアドリブを言ったの。
お父さんが亡くなったの、5日でしたね、12月の。

2番目は舞踊「二人椀久」で、菊之助と七之助の美しいコンビ。
この踊りは、ずっと静かな印象で覚えてたけど、そうでもないのね、かなりどんどん踊りますね。
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