家族の誰かが感染したらどう対応したら良いの・・・という質問は時々いただき、飛沫・接触感染対策と空気感染対策それぞれ回答させていただくのですが、では、この質問の前提として「家族内に感染者がいたら本当に感染しやすいの?」という根源的な問いがありますが、国立感染研チームがここに着目して「Yes」のデータを発表しています。
- 5~6月の神戸の流行中の293例分析。
- 14例(4.8%)が家庭内接触で症例定義満たした(平たく言えば、”家の中でうつされたと思われるケース”)。
- その家庭内感染は、(元の家族の)症状が始まった頃に起こったと考えられる場合が多い。
- うち、予防投薬を受けていなかった率は7.6%で、季節性インフルエンザの場合と変わらなかった。
- 予防投薬が有効だとも無効だとも今回のデータからは言えない。
- 家庭内で、そして地域に感染を拡大しないためにも、家庭内で普段からの(establish routine infection control measures)感染予防措置が必要である。
管理人的におっと思ったのは、家庭内感染が(元の家族の)症状初発期に起こっているのが明らかになった点。 家族が「新型インフルエンザ(含疑い)」の診断でタミフルもらってフウフウ寝てる・・・という状況下では、誰もが”気をつける”からそんなにかからない。だけれど、症状が出始めのとき、最初のくしゃみの時、最初の咳のとき、何となくダルイかなといった時、警戒態勢発動前が危ないということです。 さらに、ウイルスの排出が(SARSと異なり)発熱開始半日前から(カレンダー的には前日から)始まることも、もう一度思い出しておくべきでしょう。
したがって、家庭内では手洗い・うがい・咳エチケットは誰かが熱を出し始める前から強く義務づける。家族みんなで確認いたしましょう。
ソースはciteulike↓
http://www.citeulike.org/user/friendpine/article/5726485
Assessment of secondary attack rate and effectiveness of antiviral prophylaxis among household contacts in an influenza A(H1N1)v outbreak in Kobe, Japan, May-June 2009.
by: F. Odaira, H. Takahashi, T. Toyokawa, Y. Tsuchihashi, T. Kodama, Y. Yahata, T. Sunagawa, K. Taniguchi, N. Okabe
Euro surveillance : bulletin européen sur les maladies transmissibles = European communicable disease bulletin, Vol. 14, No. 35. (2009)
修正いたしました。
患者様には予防の重要性についていつもお話していますが、
下記のソースはどこからでしょうか?
以前のブログ中でしたら見逃しているかもしれませんので何日のものか教えてください。
よろしくお願い致します
↓
>さらに、ウイルスの排出が(SARSと異なり)発熱開始半日前から(カレンダー的には前日から)始まる
新型限定じゃなくて、インフルエンザウイルス一般としての話ですが、
「前日からうつるゾ!」と書いてあるのは、米CDCのQ&Aにあり、URLは
http://www.cdc.gov/flu/about/qa/disease.htm
How long is a person with flu virus contagious?
The period when an infected person is contagious depends on the age and health of the person. Studies show that most healthy adults may be able to infect others from 1 day prior to becoming sick and for 5 days after they first develop symptoms. Some young children and people with weakened immune systems may be contagious for longer than a week.
ただ、厚労省HP Q&Aには(前日とは書いていないものの)「発症前」にも感染の記述がありますので、患者様への情報提供等にはこちらも使いやすいかもしれません。URLは
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/07qa.html
の最後のあたりです。