新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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「絶対湿度」がカギです(インフルエンザ)

2009-02-15 14:23:53 | インフルエンザ:基礎知識/新知見

インフルエンザウイルスのサバイバル環境は、我々が普段使っている湿度計の「相対湿度(湿度○○%ですというやつ)」じゃなくて、「絶対湿度(単位体積あたり○○グラムの水があります)」がカギであるとの研究発表があります(米オレゴン大)。

*従来、インフルエンザウイルスの生存や感染性と、空気中の湿度との関連が言われてきたが、その相関は必ずしも満足できる数字ではなかった。
*従来の研究は「相対湿度」で行われてきた(注:湿度計ではかれる、湿度何%ですというやつ)
*しかし、「絶対湿度」(空気中に実際に何グラムの水があるか)を用いて、ウイルスのサバイバルレート、感染性など検討したところ、驚くほど高い相関を示した。「相対湿度」→「絶対湿度」の関連で、感染性12%→50%、サバイバル36%→90%。

ところで、相対湿度(湿度計の目盛り)が同じ値を示していても、冬(気温の低い)では夏(気温が高い)よりも空気中の絶対的な水分量は少なくなります。昔、理科で習った「飽和水蒸気量」の話です。(これをわかりやすく説明してあるサイトは http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1110575766 を参照ください)。 だから、冬はインフルエンザウイルスにとって、とても居心地良い環境であって流行もしやすいのだということが納得できることになります。

したがって、「冬季は加湿器を買ってきてどんどん水分を空気中に与えてゆけば良いのだということ」にエビデンス証明されたわけです。

以前鶴川サナトリウム集団感染事件のとき、「湿度は○○%しかなかった」という報道がありましたが(後に湿度計の故障ということで否定されてましたが)、ここで%で現した相対湿度を持ってきていたことは誤りだったことになります。 もちろん、あの時点では本知見はわかっていなかったわけで、当時の報道や東京都を非難することにはなりませんが、これから将来、同様のせりふ(湿度○○%しかなかったから悪かった)が報道や当局から出てきたらみんなで「不勉強!」と突っ込みを入れましょう。

ソースは2月13日付Webmed↓
http://www.webmd.com/cold-and-flu/news/20090213/influenza-linked-to-absolute-humidity?src=RSS_PUBLIC
Influenza Linked to Absolute Humidity
Flu Virus Thrives in Low Humidity, Study Says

 

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