米国におけるジカウイルス感染症のリスコミは4月1日を境にホワイトハウスに乗っ取られて政争の具にされている! と、かの国のリスコミ大御所が告発系のアップで話題になっています。
- もともと米CDCはリーズナブルなリスコミをしていた。デング熱と同様に、ジカも米本土に入ってフロリダなどで小規模な国内感染を起こす可能性があると。
- リスコミの原則は、可能性高いシナリオと最悪のシナリオを提示して、実際に起こりそうなことはいかほどかと発信すること。
- ところが3月31日から4月1日にかけて明らかにリスコミ内容がおかしくなり煽り系に変質していった。3月31日にZAPカンファレンスというものが開かれた。これはZika Action Plan Summitというものだが、Zika Awareness and Preparednessになり、会議の最後で記者会見を開催、そこでホワイトハウスの人間がしゃしゃり出てきた。そして、プエルトリコがきわめてきわめて重大な危機だ、ということになり・・・
- そして、米本土でジカウイルス感染症が拡大しそうな地域の地図なるものが発表されてきた。それは、ネッタイシマカやヒトスジシマカが実際に広く分布している地域にとどまらず、たまに見つかる地域、さらには、理論的に生存しうる気候の地域まで色がついたものだった。
- こうした煽り系キャンペーンは、議会でジカ対策予算を獲得するために日々行われていったが、しかし、それはジカ対策への予算獲得だけが目的ではなかった。そのプロセスを通じて、共和党がジカ対策に不熱心だ、共和党は米国民よりも予算の方が大事だ、共和党は小頭症の子供のことを気にしていない、と言い募ることで大きな利益を得ていることがだんだんはっきりしてきた。
まだまだ続きますが、TV出演でこれらの発言をしたが、取り上げられなかったとして、録音しておいた発言をアップするという形になっています。
米大統領選挙をめぐるドロドロがジカ関連までとばっちりが飛んできた様相です。たしかに、妙に赤色が広範囲に着色された「ジカ発生予想地図」だとか「プエルトリコの重大危機」だとか、あれっとは思っておりましたが、その背景を聞くとなるほどと。
さて、我々日本はこのドタバタ劇から距離を置いてどうするか。幸い、日本のハマダラカ分布図は、”どっちみち”青森県の半分から沖縄尖閣まで全部色がついていますから、いまさら新たに煽れる要素もない。それに、ジカ以上に身近なデング熱が日本と往来激しいバンコクでもマレーシアでもベトナムでもフィリピンでも爆増報告が止まりませんから、蚊対策のペースをゆるめることなく粛々とやってゆくということでしょう。日本の政治風土に、感染症を政争の具にしようと虎視眈々という文化が無いことも、幸いではあります。
ソースはPeter and Sandman
http://www.psandman.com/col/zika-4.htm
Zika Risk in U.S. States:
Widespread or Limited?
The White House Hijacks a Key CDC
Message to Attack Republicans;
Public Health Officials and Reporters
Mostly Go Along
with Elizabeth Whitman of International Business Times)
Elizabeth Whitman’s article drawing from this email was posted on June 9, 2016.