はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

山伏から大谷崩-2

2015-05-29 05:06:00 | 低山歩き
歩行記録                                                          H27-5-23(土)
歩行時間:6時間05分   休憩時間:1時間45分   延時間:7時間50分
出発時刻:7時45分     到着時刻:15時35分
歩  数: 20、535歩(推定距離14.4km)    GPS距離12.9km
行程表
 西日影沢P 0:45> 大岩 0:45> 蓬峠 1:20> 山小屋分岐 0:10> 山伏 1:10> 新窪乗越 0:40> 扇の要 0:15>
 大谷崩P 0:40> 大谷崩・山伏分岐 0:20> 西日影沢P

                                 大谷崩観歩記
 山伏山頂に着いたのは11時10分で出発してから3時間25分。予定より30分程余計に掛かってしまった。
これでは大谷崩経由で帰るのは難しくなってきたがどうしよう。悩みは尽きない。
 山頂には6人が昼飯を食べているが、その内4人は蓬峠を過ぎて追い越されていて、2人は駐車場を私より少し早く出た
人達だった。この人たちはどのコースで帰るのだろうか気になって仕方ない。

 同じ丸太に腰かけて地図を見ていた単独校の若者が 「帰りはどのコースで帰ります。」 と声を掛けてきた。
思わず 「大谷崩れ経由と思っているけど・・・・・」 と煮え切らない返事をした。
地図を見ながら 「大谷崩れ経由だと西日影沢の駐車場までずいぶん時間が掛かりますね」 と地図を見せてくれた。
チラと地図を見ると、山伏から新窪乗越までの時間が1時間30分になっている。ウー2時間掛からないのかと、またもや
ハムレットの悩みは深まってしまった。

 地図といえば今まで高い山へ登るときは昭文社の 「山と高原地図」 を購入していたのだが、今回は全てブログ頼りだった。
これでは余りにも無責任に過ぎると、家に帰り早速 「山と高原地図」 で山伏が載っている地図を探したのだがなかった。
若者が持っていた地図はコースタイムが白抜きで書いてあったとおもうが、家にある昭文社の地図は赤字だった。どうやら違う
出版社のようだが調べきれなかった。一体何処の出版社だろう。

 丁度で30分休憩したのそろそろ行こうと立ち上がると 「気を付けて」 と若者に言われたしまった。
これでは “へぼの考え” に決断を付けるしかないと、大谷崩経由で帰る事にした。
(無謀など思わないでください。11時40分に山伏を出て新首乗越に1時10分着。大谷崩のガレ場1時間下って林道に出るのが
2時10分。後は車道歩きを2時間で4時10分。十分明るいうちにゴールが出来る。と計算したのですから。)

                  
                    尾根道                           鹿の食害?

 山伏からの稜線歩きは思っていた以上に快適で歩きやすい道だった。尾根道と行っても太目の土の道なので、滑らないし
膝にも来ない。しかも下り勾配の道なのでスピードも上がる。幾つかあるアップダウンの上りも緩やかで立止って休憩する
必要も無かった。
 途中にはテントを張れそうな平坦地もあり、鹿でも出てきそうな雰囲気だ。時折鹿が皮を剥いた思われる立木もある。
  
   
      白い花のイワカガミ                 薄桃色のイワカガミ             大札山のイワカガミ

 前方に高いピークが見えてきて、そんな楽な事ばかりあるはずないと覚悟を決めてピークに取り掛かる。
今日は花といえばツツジがチラホラあっただけで他の花は一切見ていなかった。それがこのピークを登りだすと足元に白い花が
チラホラ見えてきた。一目でイワカガミと分かったが、花の色が白くて大札山で見たイワカガミとは違っていた。
よく見ながら歩いて行くと、ほんのり桃色がついた花もある。花が若い時は白くて、成長するにつれ赤くなるのかと思ったが
この薄ピンクの花は固まって少し咲いていただけで、白い花の中には見当たらなかった。
 「シロイワカガミ(白岩鏡)は分類上は、イワカガミの品種の1つで、イワカガミの 基本種の花の色は淡い紅色だが、本種の
場合は白い。」
のだそうだ。
これで一応納得したのだが、更にネットを見ると白いイワカガミを 「ヤマイワカガミ」 と紹介しているものもあり、よく分からない。
他にもヒメイワカガミ、コイワカガミなどもあり私の手には負えなくなってしまった。
果たしてここのイワカガミは何イワカガミだろうか??

 
               イワカガミの群落                          ムシカリ(オオカメノキ)

 イワカガミはピークへの上り坂のあちこちに群落となって咲いている。道の周りにもあるが林の中にはもっと大きな群落もある。
イワカガミは乾燥地を好むと書いてあったが、この林の中はどちらかといえば湿った感じがした。
蓬峠の上にあったコバイケイソウは小砂利の一見乾燥地にあったが、実際は草地の湿地を好むとある。
一方イワカガミは乾燥地を好む筈なのに林の草の中。よく分からないな。

 山では良く見かけるアジサイに似た白い花は、通称は 「オオカメノキ」 と呼んでいるが、正式名は 「ムシカリ」 らしい。
ムシカリの語源は、この木の葉を虫が好んで食べるためで、別名のオオカメノキは、葉が亀の甲羅のようにも見えるため。とか。
どちらも突っ込みを入れたくなる名前だが止めておこう。
 
 
               大谷崩か?                                 新窪乗越

 イワカガミの群落はピークを過ぎると突然なくなってしまった。どうやらピークの西面が群生に適した土地のようだ。
下る傾斜が急になりと、前方にすっかり忘れていた、あの悪相の山が見えてきた。
山伏を出て1時間5分。チラリと見た地図には新窪乗越まで1時間半とあったが、あのピークを越えて次の鞍部まではとても
30分では行けそうもない。するとこの下の鞍部が新窪乗越か。期待が高まった。

 
          直進下山道・左折大谷嶺                             大谷崩

 ピンポン! 着いた鞍部は新窪乗越でした。ここに着き、まず道標を確認すると間違いなく扇の要と大谷嶺との分岐だった。
新窪乗越の名前はと後ろを振り返ると、広い鞍部に 「大平沢の頭 ← 新窪乗越 → 大谷嶺」 とあり、下向きに「扇の要・新田」
あった。フーこれで一安心。
山伏側のピークに大平沢の頭なる名前があるが、イワカガミのあったピークが大平沢の頭なのだろうか。

 今12時50分なので10分休んで1時にここを出れば、ゴールの駐車場には4時には着きそうだ。安心したせいか
それとも悪相の山に登らなくてもよいと分かった所為なのか、悪相の山がそれほどでもなく見えてきた。

         
                            大谷崩

 こうして見れば大した事のない崩れだ。これなら富士山宝永山の火口内にある、ドラゴンの背鰭のような溶岩辺りの方が
よっぽど凄い傾斜とガレ場だ。
ここのガレ場は細かい火山灰の宝永山と違い小石ばかりだが、噴火の衝撃があったのではないのに、何故こんなに細かく
なるのだろう。不思議だった。
 下るに際しては、ガレ場の上部は靴と一緒に小石全体が動くので、滑らないので下りやすいが、下の方は表面の石だけが
動くので滑りやすく歩き難かった。
それでも今日は下りなので楽で良いが、ここの上りは大変そうだ。何しろ登りも下りも同じ道なので、いくら補修をしても下りで
ガサー、ガサーと崩してしまうのだからきりが無いだろう。
これなら富士山の砂走りのように、下山道と登山道を分けた方のが効率的ではないかな。とまた余計な感想を。


                           大谷崩航空写真(YAHOO!)

 「大谷崩は宝永4年(1707)10月の宝永地震により大崩壊したもので、崩れた土砂の量はダンプ約2千万台にも達しました。
この崩れた土砂が大雨により、下流の三河内川を堰き止め、安倍川下流の山林を埋めてしまう、大きな災害をあたえました。
建設省は、この大谷崩にダム群を設置して土砂災害を防いでいます。」
 大谷崩の案内板より

 大谷崩は日本三大崩の一つと聞くが、三大崩れとは何処を指しているか、
「鳶山崩れ(富山県)、稗田山崩れ(長野県)、大谷崩れ(静岡県)」 だそうです。大谷崩れ以外は聞いた事はない。
三大崩れに入っていないが、富士山の大沢崩れは、個人的に言えば大谷崩より規模が大きいと思う。

 
                 扇の要                                 登山ポスト

 木陰のない大谷崩は一歩下るたびに暑さが増してくるようだったが、それもガレ場が終わり林の中の道に入ると一段落した。
標識にも名前があった 「扇の要」 は、ガレ場が纏まった所で、扇状地を逆にしたような場所かと思っていたが、林の中にあった
扇の要の場所は、とても 「要」 を想像できるような所ではなかった。

 登山ポストの横に 「安全で楽しい登山のために」 と幾つかの注意事項が書かれていた。
「・中高年の遭難事故が多発しています。自分の体力に合った余裕のある山登りをしましょう。
 ・夏期は16時前に、それ以外の時季は15時前には下山しましょう。万一に備えて懐中電灯は持参しましょう。
 ・大谷嶺から新窪乗越間は瘠せ尾根になっていますので通行には充分な注意が必要です。」


 今朝、西日影沢の駐車場に5時半に着いた時は、あわよくば大谷嶺にも登ろうと思っていたのだが、出発時間が遅くなった
事もあり、いつしか大谷嶺の事は忘れていた。それがこの看板には “瘠せ尾根で注意が必要” と書いてある。
出発時間が遅れた事を嘆いていたが、神は私を危地に行かせる事を止めてくれたのかもしれない。きっとそうだ。そう思おう。

 
                 幸田あや文学碑                           大谷崩駐車場

 「崩壊は憚ることなく その陽その風のもとに、皮のむけ崩れた肌をさらして、凝然と、こちら向きに鎮まっていた。
無惨であり、近づきがたい畏怖があり、しかもいうにいわれぬ 悲旅感が沈殿していた。」

立派な文学碑が建っているのだが、作家名や作品名などを紹介した物はない。
「大谷崩 文学碑」 で検索すると簡単にヒットした。明治の文豪・幸田露伴の娘、幸田あやの 「崩れ」 の一節のようだ。
折角立派な文学碑を建てたのだから、せめて作家名や作品名が分かるようにしないと・・・・・

 大谷崩の駐車場には5台の車が停まっていた。山伏山頂にいた人は全て蓬峠を登って来た人だったので新窪乗越から来た
人はいなかった。しかも山伏からここまでも登山者には会っていない。という事は車の持ち主は大谷嶺に登ったのだろうか。
ここをピストンするだけでは、余り面白そうなコースではなさそうだが、それも人、好き好きだろう。

 駐車場からは、やけに立派な道で驚いた。今でも崩壊防止のために工事が行われているのかもしれないが、それにしても
立派過ぎると感じながら下ると、途中には未舗装の区間もあった。
車は全然走ってなく終盤モードのダラケ歩きになりそうだが、せめて山伏の分岐までは頑張らなければと疲れた足に鞭を打つ。

     
                           ハイキングコース案内板

 なんとこんな山奥に別荘地があった。草茫々で戸が閉まっている家もあれば、車がとまり現に生活しているような家もある。
そんな別荘地を2カ所ほど過ぎた所が西日影沢(山伏)の分岐点だった。
大谷崩の駐車場から約40分。想定では1時間以上かかると思っていたので順調な歩きだった。これならゴールの駐車場には
4時前に着くだろう。

 分岐点に静岡市教育委員会の「山伏周辺ハイキングコースのご案内」 が建っていた。
私が歩いたコースのタイムもあったので紹介しておきます。

 「西日影沢コース  西日影沢登山口 0:40> 大岩 1:00> 蓬峠 2:00> 山小屋分岐 0:15> 山伏 1:30> 新窪乗越」
 私の歩行時間               0:45>     0:45>     1:20>          10>      1:10>
 何故か疲れて果てていたと蓬峠で40分も短縮しているのは腑に落ちないが、客観的データがあれば参考になるでしょう。

 このような案内板は感謝すべきだが一点気になる事がある。案内板には “ハイキングコース” とあるが、このコースには
2000mの山伏山頂もあるし、登山ポストまである。しかも大谷崩にあった注意書きには “大谷嶺は牛首方面は危険” とも
書いてあった。となると 「登山コース」 の方が良くはないか。
 私のイメージでは 散歩 ウォーキング ハイキング 登山 の順で、あくまでも登山よりハイキング下に位置すると思う。
他にも低山歩きやトレッキングなどもあるが、低山歩きはハイキング。トレッキングはハイキングと登山の間くらいか。
若し私と同じようなイメージを持った人が、この案内板をみてハイキングなら大丈夫だろうと、大谷嶺や牛首方面に登ったら
どうなるだろう。矢張りここは ”登山コース” としたいところだ。

 そうだ思い出した。以前塩の道を歩いた時に、静岡と長野の県境にある青崩峠の静岡県側の登山口に、登山ポストが設置して
あるのを見て少々身構えてしまった。だが、峠から先の長野県側の標識は遊歩道になっていた。
登山ポストも大袈裟だが、遊歩道も安易すぎると思ったが、本格的山岳の多い長野県ではそんなものかと感じた事がある。

 
                                 群生していた白い花

 分岐からの無舗装の道は完全に終盤モードの歩きになってしまった。それでも斜面の上に白い花の群生が見えたら、写しに
行く元気が残っていたのだから大したものです。

 朝、到着した時は1台も停まっていなかった駐車場には車が4台停まっていて、路肩にも4台停まっていた。これを見る限り
大谷崩れより西日影沢からの登山の方が人気がありそうだ。

 駐車場に3時15分到着。4時を大分早まったのは、大谷崩駐車場からここまでの車道歩きが、予定の半分の1時間で
済んだからだった。全体をみると歩行時間は約6時間で休憩を入れた延時間は約8時間と、想定通りだった。
今回は出発前に2時間半の余計な事があったので、少々疲れて山伏まで時間が掛かってしまったが、次回来る時もこの
8時間ペースで予定を組もう。勿論大谷崩の上りではなく、同じ向きのこのコースで。
だけど大谷嶺の登頂はどうしよう、きっと悩むだろうな。

 これで山伏・大谷崩の観歩記は終りですが、次回は出発前の2時間半余の真相をアップします。

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5 コメント

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Unknown (松理)
2015-05-29 17:15:05
 昭文社でない登山地図は,日地出版ではないでしょうか? もっとも,日地出版が山伏を載せた地図を出版しているかどうかはわかりませんが。
 今回の山域は,『安倍山系』中巻に載っています。
Unknown (あや)
2015-05-29 20:06:27
おつかれさまでした。
さすが、はぐれさん、有言実行ですね!

コースタイムは、地形図から自分で算出するのが一番確実かと思います。
累積標高差を元にして、自分の得意不得意の地形を加味しながら・・・。

山伏は、やっぱ「ハイキングコース」でしょう~。
私の感覚では、一般登山道=ハイキングコースです。
ハイキングコースでも、山域が広くて遭難者の捜索が困難なところには登山ポストを設置してあるのかなっと。
「登山」は、岩登りが含まれている場合や雪山のことをいうのだと思っているのですが...。
確保技術を要さずに誰でも登れるのはハイキング、ある程度技術を必要とするのが登山だとずっと思っていました。
あとトレッキングって、ピークハントな山歩きと違って、滝めぐりをするとか、きのこ狩りに行くとか...、そういうのを言うのだと思っていますが、これもどうなんでしょうね。
このあたりの共通認識って意外とないのかもしれませんね。
松理さんへ (はぐれ)
2015-05-30 11:42:48
情報ありがとうございました。
早速「日地出版」で検索すると、既にゼンリンンに吸収合併されていました。
しかしゼンリンの出版目録には登山地図はありませんでした。

そうですよね。どれよりも詳しい「安倍山系」を持っていながら、余り活用していなくて申し訳ありませんでした。
何しろその気になるのが前日か前々日で、ついつい計画は安易になっていました。
反省です。
あやさんへ (はぐれ)
2015-05-30 11:59:45
確かにハイキングや登山などの区別の認識は人により違うと思います。
特に上級者と初心者の差は大きく、上級者には何でもなくても、初心者には大変に感じる道もあります。
多分あやさんと私の感覚の違いも、その差から来ているのではないでしょうか。
ただ、案内板などの周知は、初心者の目線にたって案内すべきだと思います。
Unknown (茶豆)
2015-06-30 03:25:15
今回のはぐれさんと同じコースを歩いたことがあります。
牛首-西日影沢は現在は通行不能といっていいくらい山道が崩落しているそうです。
各分岐間によってはハイキング程度の区間もありますが、山伏周辺を看板のイラストのように子供の手を引いて歩けると思っての入山は危険な感がありますね。

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