はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

歩き納め(小夜の中山・粟ヶ岳)

2013-12-31 21:33:18 | 低山歩き
歩行時間:4156時間55分   休憩時間:0時間55分   延時間:7時間50分
出発時間:8時05分   到着時間:15時55分
歩  数:  38、068歩   GPS距離:26.0km
行程表(2013-11-30
 金谷駅 0:20> 牧之原公園 0:45> 歩き観音 0:30> 火剣山 0:20> 小夜の中山 1:10> 東山
 0:55> 粟ヶ岳  1:30> 青田  1:25> 掛川駅 

観歩記
 歩き納めは西行法師の歌碑のある小夜の中山峠と松島の歩き観音と決めてあたっが、コースは朝の出発時でも
まだ決まってなかった。昨年と同じコースを歩くか、逆コースを歩こうか、それとも中山新道の新しいコースに
するか悩んでいた。決心のつかないまま金谷駅に降りたのだがある物を見て心は決まった。
そのある物とは富士山です。冷え込んで雲一つない東の空に、冠雪した富士山がスッキリした姿を見せていた。
これほどはっきり見えるのはこの地方でも珍しい事だ。それなら金谷で富士山の眺めが一番良いとされている
「牧之原公園」に行かない手は無いと心は決まった。

 毎回の事ながら金谷側から牧の原台地の登りはきつく感じる。電車から降りて冷え込んだ体の調子が出ない
うちの急な登りは体に響く。特に今日はこの地方は冷え込んで、今年2回目の氷が張っている。今の気温は
1℃だが、遠州特有の冷たい空っ風が吹いているので体感気温はそれ以下だった。
それでも一歩上がるたびに金谷や島田の町並みと共に富士山の大きく見えてくる。

  
     牧之原公園からの富士山(大井川の手前は金谷、対岸は島田)

 公園の北の方には南アルプスの白銀の山がほんの少しだけ見えている。山の裾野を走る橋は新東名です。

 牧之原公園には茶祖と栄西禅師の銅像が建っているが、同じ静岡県でも静岡市になると茶祖は聖一国師で、
静岡市狐ヶ崎には聖一国師堂がある。同じ県なのに茶祖が違うという事は、お茶の種類が違うのかと思うが
どうやらそんな事はなさそうだ。静岡県のお茶の木の多くは「やぶきた」で、その茶木は静岡市清水区の人が
明治41年に見付けて、昭和に入ってから普及したものだそうです。
 それにやぶきた以前でも、牧之原は徳川幕府の旗本が江戸から駿府に移住してきたが、士官先を失った士族が
入植開拓をした土地である。なので茶祖は聖一国師で良いように思うのだが ------

      
              少しだけ南アルプスが                   茶祖栄西禅師

 牧の原大茶園を横切り旧東海道の金谷の石畳の上に出る。流石こんなに押し迫った暮に東海道を歩く人は
いなく、歩いているのは暇人の私一人だった。
 松島の歩き観音に今年一年無事に歩けたお礼のお詣りをする。この観音さんは火剣山の参道にひっそりと
立っていたので、村人がさぞ寂しかろうと、賑やかな東海道筋の小夜の中山に移してやっても、すぐ戻ってきて
しまうので「歩き観音」の名前が付いたとか。
居なくなるのではなく何処かへ行っても戻って来るなら。将来の私には丁度良いかもしれない。何しろ家族には
「足が強くて痴呆になったら何処へ行ったか分からなくなる」と心配されているのだから。
 綺麗に整理された参道の片隅に、苔むした双体の地蔵像の石仏が安置されていた。

           
              歩き観音                    双体地蔵像

 牧之原台地に登り一旦下り、また火剣山の登りになる。途中に「蜂の巣注意」と貼紙がしてあり、上を見ると
丸い大きなスズメバチの巣がブル下がっていた。ウーコワ!。
今は冬なので巣の中は空っぽだろうが、夏や秋にはスズメバチが飛びかっていてさぞ怖かっただろう。
この巣はどうするのだろう? 来年この巣には蜂は戻ってこないのだから撤去してもどうという事はないのだが。
それにしてもスズメバチはたった1年のために、こんな立派な巣を作るとは、勿体ない話だ。

 火剣山には火剣坊大権現が祀られているので地元の人が暮の大掃除で来ていた。その内の一人が
「ここから大島が見える」と言っていたが本当だろうか。火剣山から大島まで直線を引き、その間にある
伊豆半島の標高は650m程度、この火剣山の標高は282mで、大島は660m程度。理屈では見えそうもないが
大島の噴煙が見える事はあるかもしれないな。

       
             文殊菩薩                   大日如来

 火剣山から少し下れば小夜の中山に着く。その手前から富士山が見えていたが、この写真を写した場所に
墓地があった。正面に富士山を仰ぐ墓地の眺めは最高だった。昨年墓地の永代供養を契約してしまったので
仕方ないが、もっと早くこの墓地の事を知れば考えたかもしれない。それほど眺めは良かった。

 小夜の中山の西行法師の歌碑に到着。
 「年たけて また越ゆべしと おもいきや 命なりけり 小夜の中山」

西行法師が69歳のとき詠った歌だが、私も年だけは同じになってしまった。昨年の歩き納めにここに来て
来年まで無事歩く事が出来たら、来年の歩き納めもここに来ようと思っていた。その願いが叶い今年も歩いて
来る事ができた。こうなると欲が出てきて来年も来たくなってしまう。
「歳たけて また来てみようと 思うなり 命なりける 小夜の中山」

 
              小夜の中山から                       西行法師歌碑

 小夜の中山から古道1号線の中山トンネルに向かう道は、ハイキングコースになっているのだが余り歩く人が
居ないのか枯れた竹や木の枝が落ちている。踏むと「バリッ」と気持ちいい音がして割れるので次々と踏んでいった。
トンネルの上は明治の初めに出来た中山新道の一部が残っていて、その道を西に下り国1中山トンネルの西側に出る。
さて次は何処へ行こうか、このままトンネルを潜って東海道を金谷に行くには短すぎる。かと言って昨年と同じでは
芸がなさすぎる。そうだ、前に一度行った「七ツ釜」に行ってみよう。でもどうやって行くのか道は分からない。
なーに何とかなるさ。駄目なら止めればいい。と気楽な思いで道を行く。
案内板が立っていて七ツ釜の表示はあるが道がよく分からない。だいたい現在位置が書いてないのだから分りようが
ないと腹が立ってくる。しかしすぐ気分は変わった。正面に見える粟ヶ岳の茶の字がクッキリ浮かび上がっている。
雲は一つも無い。これなら粟ヶ岳からも富士山も見えるだろう。大茶園の上に聳え立つ富士山をブログで紹介できる。
そう思った時から行先は粟ヶ岳になった。道?それこそ何とかなるさ。こんなにハッキリ山が見えているのだから。

 
                  東山の案内板                     粟ヶ岳

 思っていた通り粟ヶ岳の東山登山口は容易に分かった。というか案内板の先を下れば一本道だった。
駐車場で昼飯を食べながらこれからの予定を考えた。ここから山頂まで1時間。山頂からは掛川駅に出る事にして
約2時間だが休憩などを入れて2時間半もあれば掛川駅に出る事が出来るだろう。今は12時だから3時半ごろには
掛川駅に着くだろうから丁度良い時間だ。

 粟ヶ岳の登りは中々キツイ。登山道といえども舗装がしてあるのでズルズル滑らないので歩きやすくていい。
疲れて後ろを振り返るたびに高度が上がっているのが分かり、さっき案内板があったのはあそこで、あの道を下り
あそこで昼飯を食べた。と一目瞭然だ。そのうちに小夜の中山のNTTのアンテナ塔も見えてきて今日歩いて来た
ルートを追う事が出来た。ウーン! 年たけたわりには健脚だと自己満足を感じながら登る。
だが富士山は左の隅の方に見えるだけで清々しない。これでは大茶園越しの富士山の写真は写せない。そうだ
以前車道を下ったときに富士山が見える場所があった、あそこに行ってみよう。と山頂に着く前に交差した車道を
右に行く事にした。途中の法面に「茶」の字の案内板が張り付けてあり、
「昭和7年に銘茶と観光効果を目的に松の木を植えたが松喰い虫の被害にあい、昭和60年に1000本の桧を植えた」
とある。地元の人でもこの茶の字はお茶の木でできていると思っている人がいるが、実際は桧でした。
この案内板の位置は茶の字の右下だった。そしてその農道を行った先に富士山が清々見える場所があった。
しかし想定と違って下には大茶園ではなく普通の山が見えるだけ、残念でした。
そこからは車道を山頂に向かった。

  
                茶の字の案内板                      粟ヶ岳からの富士山

 この山は車でも登る事が出来るので山頂の茶屋の前には何人かの人がいた。暇人は私だけではなかったと少し
ホットする。休憩もせずに神社をお詣りして遠江33観音の札所でもあった廃寺の行く。もう倒壊寸前で建物の
回りには立入禁止のロープも張ってあり、その前に230年前の天明二年と刻まられた石仏が頬杖を突きながら
朽ち果てていく寺を眺めている。如意輪さんは何をおもっているのだろうか、現代人の薄情さを恨んでいるのか。

      
                 倒壊寸前の寺                     廃寺前の石仏

 私が粟ヶ岳からの眺めで気に入っている場所は、廃寺前を真っ直ぐ広場に進み、山道を少し下った所からの
眺めだ。だがこの山道を歩いている人にはかって会った事がない。折角こんな絶景を眺められるのに惜しい事だ。
特に春のお茶が薄緑になる頃は格段とに素晴らしく感じる。是非粟ヶ岳に登った時はここまで足を延ばして下さい。
ただこの斜面の山道は、夏の頃は笹が多く歩きにくいかもしれないが、笹を掻き分ければ道は分かります。
また、下りは道に笹の枯葉が積もって滑りやすいので注意が必要です。


                  粟ヶ岳から大茶園

 粟ヶ岳から西山林道を下るのだが思っていたより時間が掛かった。林道の傾斜は緩やかだが距離が長く感じる。
東山からは傾斜は急だが距離が短く一歩登る毎に山頂が近づく感じがしたが、こちらは景色も見えず張り合いが
感じない。きっとこちらからの他山者は少ないだろう。
 青田のバスの停留所まで1時間程度と思ったが1時間半も掛かってしまった。バス停に着くと掛川駅行のバすが
停まっていた。日曜日の午後は1本しかないバスが停まっているは神様は私にバスに乗れという事か。イヤイヤ
今日はまだ20km程度しか歩いていない。これでバスに乗るようでは来年の海から富士山は登れない。
頑張らなくちゃ。

 掛川駅までの道は知っているわけではないが、途中で1度聞いただけではぼ妥当な道を歩けたようだ。
右側に掛川市の生涯学習センタの建物が見えてきた。ここまで来れば後もうすぐだ。
予想より30分余計に掛かって掛川駅に3時55分に到着。

 
                  掛川生涯学習センタ                        掛川城


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 今年1年お世話になりました。良いお年をお迎えください。     
                            はぐれ

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