サーフィンに医学のメスを!

整形外科医/医学博士イナダクニマサのブログ

TOKYO2020 サーフィン競技大会に参加して

2021-09-05 | Surfing Competitions

TOKYO2020オリンピックでは

そもそも新型コロナウィルス感染爆発のなか”本当に開催されるのか?”と直前まで信じられない状況でしたが、

良くも悪くも”無事に”8/8に閉幕しました。

わたくしはサーフィン競技の選手用医療サポートのメンバーとして

あまり実感のないまま本番に突入した感じでした。

その大会についてレポートしたいと思います。

ただしオリンピック関連には厳しい制約があり、特に写真は勝手に掲示してはいけない規約があるので問題のない範囲としておきます。

1.大会の設備について

これまで帯同してきたJPSAやWSL-QSのサーフィン大会とは比べ物にならないような敷地の広さ、多くの建物、そしてものすごい数の大会関係者に驚愕してしまい、たった40人の選手の大会としてはあまりにも「やり過ぎ感」を感じない訳にはいきませんでした。さらに、恐らくテロ対策のためと思われる、自衛隊・警察・消防・海上保安庁などの人々がたくさんいて、物々しい雰囲気でした。

また、選手団とそれ以外の人々の動線を分けたことと、輸送関連・放送関連・セキュリティー関連など多くのエリア・建物があることから、敷地内の移動ではいちいちものすごく遠回りしなければならないのが不便でした。

無観客開催となって全く使われることが無くなった観客エリアは、広大な敷地に音楽フェスのための立派なステージや観戦エリアが作られていて、また立派なサーフ・ミュージアムも無観客で寂しそうに建っていました。本当にもったいない光景でした。

2.選手用メディカル・サービスとしての活動

我々選手用医療チームは医師7名、看護師3名、理学療法士6名、柔整師1名で構成され、医務室もしくはFOP(海岸のテント)で活動に当たりました。医務室は、診療所登録されていて電子カルテを配備した診察デスクに各種医薬品、医療材料、検査用エコー、物療機器などを備え、エアコンが効いていて我々の日常診療が可能な設備でした。一方のFOPは、万が一の緊急事態が起きた時のための待機場所で、とても暑く過酷な環境でしたが、選手のパフォーマンスを肉眼で見られて臨場感たっぷりでした。

また、我々とは別に観客用医療チームとして日本医科大学千葉北総病院救命救急センターのスタッフらが待機し、選手に救急搬送が必要な事態が生じた際の対応に当たってくれました。

活動期間は、大会前の練習期間である7/20から始まり、本戦の7/25~28と予備期間の8/2までの長期間でしたが、実際には7/27にファイナルを迎えたため、7/29で活動は終了。

幸いなことに大会中に選手に大きな外傷は生じることなく、会場で新型コロナウィルス感染者も出ることなく終了しました。

3.オリンピック競技としてのサーフィン

これまでWold Surfing GamesというISAの世界大会は50年以上も行われてきた訳ですが、ISAのアギーレ会長の長年の努力によりサーフィンがオリンピックの正式競技としてこの日本で初開催されたことは、本当に大きな意義があると言えます。

しかも今大会は、まさかの台風ウネリによる見応えのあるコンディションとなり、CT選手のレベルの高さを実感出来ました。

そして何よりも、男女とも日本がメダルを獲得したことで、経済的な面からも競技スポーツとしてのサーフィンが今後どんどん発展していくことでしょう。これは長年「サーフィン医科学プロジェクト」を進めてきた我々がずっと夢見てきたことであり、本当に感無量です。これからも我々はアスリート・サーファーを精一杯サポートしていきたいと思います。

コメント
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