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東アジアの“へそ”はどこか…日経新聞11月1日19面より

2011年11月01日 10時22分29秒 | 日記
地球上の人口は70億人の大台を突破した。国連人口基金の2011年版「世界人口白書」によると、アジアは世界人口の60%を占め、21世紀を通じて世界で最も人口の多い地域であり続ける。

「21世紀はアジアの時代」である。人口減社会の日本は新たな成長センターでどのような役割を果たせるのだろうか。

日本政府が明確なアジア戦略を描けないなか、自治体が動き出していることは評価したい。昨年、平城遷都1300年を迎えた奈良県は荒井正吾知事が「東アジア地方政府会合」を発足させた。

今年は10月25日に奈良で第2回首脳級会議が開かれた。海外からは中国、韓国、インド、フィリピン、ベトナムの地方政府首脳らが参加した。

同日夜のレセプションで荒井知事は「東アジアの平和と繁栄のために少しでも貢献したい」との決意を示した。
来賓の金碩基(キム・ソッキ)駐大阪韓国総領事はあいさつで「東アジアは世界経済の心臓だ」と指摘した。東アジア域内の地方政府が貿易や投資で交流や連携を強めることは成長のエンジンを加速させるかもしれない。

もっとも、地方政府間のネツトワークづくりは今世紀に入って着々と進んでいる。その走りは03年12月、中国雲南省の省都、昆明で開かれた第1回「東アジア市長フォーラム」だろう。

中国の北京、上海、重慶、成都などの各市、香港、マカオ、日本、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など21市・地区から50人以上の市長らが一堂に会した。

フォーラムは雲南省人民政府、中国外務省などが主催した。つまり中国政府が主導した国際会議たった。舞台となった雲南省はユーラシア大陸の内陸部に位置し、アジアの“へそ”を自任している。

中国は当時からASEANとの自由貿易協定(FTA)で日本に先行していたが、地方政府レベルでも東アジア経済圏づくりを推進する国家戦略があったといえる。

日本最初の首都たった奈良県が地方政府会合を創設した意義は大きい。8世紀初頭に誕生した平城京は東アジアを中心とするユーラシア各地の様々な文明を受け入れて形成されたという点で、奈良もまた“へそ”だからである。

民主党政権は東アジアを含めた経済統合で主導権を発揮すべきだ。環太平洋経済連携協定(TPP)への対応は自明のはずである。(ノノイ)

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