京都大学を卒業し大阪大学の名誉教授である加地伸行氏の事を知ったのは4年前の8月以降の事である。
加地氏は…私が活字が読める日本国民全員の必読の書であると言及する月刊誌4誌のうち、毎月26日発売のWiLLとHANADAに巻頭を飾るコラムを連載している。
毎回、氏のコラムに感銘を受けている読者は多いはずである。
私の同級生は阪大法学部~商社~NY支店~NYの有名法律事務所で弁護士~大手製薬会社の北米支店長を経て今は作家となっているらしいが、彼も含めて、阪大OB,現役の学生、京大OB、現役の学生は、加地氏が日本のために書き続けている事を誇りに思い、購読を開始すべきだろう。
この論文は、朝日新聞やNHKの幼稚さ、悪辣さ、彼等と同調している野党政治屋たちの酷さを、見事に明らかにしている。
世界中で安倍政権を打倒したいなどと考えているのは中国と朝鮮半島以外にはどこにもない。
つまり朝日やNHK等のマスメディアと野党の政治屋達の要職にある者達は、、見な、彼らのハネートラップやマネートラップに罹っているエージェントたちなのだと言っても全く過言ではないのである。
朝四暮三
相い変わらず、野党はモリ・カケ問題で〈小言八百、愚痴千粒〉、いったい何か問題なのか分らない。
汚職でもあったのか。ない。
どうやら首相の声がけがあったらしいので、モリ・カケは得をしている、それは納得できない、といった雑談のようである。
つまりは、政治家の役所への働きかけは悪いことだ、許されぬ、とでも言いたげ。
ならば、借問す。
例えば、市会議員に紹介していただいて同市役所の某氏に面会する、などといったことは、ごくふつうに行なわれている。
もちろん野党系議員もそれを行なっている。
と言うどころか、彼らが配っている散らしの中に、役所に頼みたいことのある方は、当方の事務所に相談に来てください、といった趣旨の文がはいっている。
なんとか議員市政相談所の名の下に。
そのようなこと、どの地域でもごく普通の話である。
つまり、スケールの大小の差はあるとしても、この市政相談とモリ・カケ問題とは同根ではないのか。
もし相談が妥当でないとすれば、諸議員は有権者の相談などに一切応じるべきではない。
そのように己れの身を正して始めて、モリ・カケ問題について質疑の立場に立てよう。
それができるのか。
できないではないか。
老生、今は昔の物語りを一席。
遠い昔のことで、記憶を辿ると、こうである。
然る縁で、老生が責任者となり、本省の公的承認を得なければならない申請をすることとなった。
まずは書類作り。
しかしどうもよく分らないことが多い。
そこで、一応のものを作り、提出先の本省に相談に行くことにした。その際、知人の或る政治家の紹介で担当係長を訪れた。
係長は若いが実務上の実力者である。
同氏は、ざっと眼を通したあと、的確に、実にそれこそ的確に不十分なところを指摘した。
それらの個所は、すべて老生自身が自信のないところであったので、大驚するとともに冷汗をかいた。
噂には聞いていたが、本省の係長というのは、若いが実に優秀であった。
しかも親切であった。
しかし、この係長、老生が紹介を頼んだ或る政治家とは、なんの関係もない。
おそらく同省の高官が同政治家の頼みを受けてその係長を紹介したというところであろうか。
おそらく老生の事例と同じようなことは常にあり、特別なことではなく日常的なことのような気がする。
老生へのアドバイスは、いわば、彼らの日常生活そのものであったのではなかろうか。
〈忖度〉してどうこうというような雰囲気はまったくなかった。
しかし、実に的確で有効な助言を得たことは事実である。
念のために言えば、彼の助言を基にして書類を整備して提出したところ、合格した。
同係長には感謝しているが、当方が特別な何かを彼のために図ることは一切なかった。
あくまでも仕事であった、彼も老生も。
後年、大蔵省(当時)のメンバーと研究者の合同研究会があり、老生も参加した。
そのとき親しくなった榊原英資氏(元大蔵財務官)から、このような話を聞いた。
自分が二十代のころ、入省二年目の新人が集められ、そのときの次官がこう訓戒したという。
金銭の欲しい者は、今すぐ辞表を出せ。
再就職先は世話してやる、と。
つまり、国家のために働らくのであって、私利私欲のために働らくのではないと覚悟せよ、という訓辞であった。
いい話ではないか。
これこそ明治以来の日本官僚制を支えてきた根本精神である。
少なくとも榊原氏の時代のころまで、そういう骨のある男たちが官僚制を担っていたのであった。
遠い昔、老生が出会った若いあの係長もまた、その一人ではなかったであろうか。
それに比べて、今時の高級官僚は、相当におかしくなっているように見える。
古人曰く、不仁にして高位に在るは、是れ其の悪を衆に播するなり(ばらまくことになる)、と。