文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

鉄道駅前には習氏の名前が含まれる大看板があったものの、これを含めて習氏の肖像画や写真は全く確認できず

2018年08月01日 11時50分48秒 | 日記

以下は今日の産経新聞一面からである。

習氏の名前 激減

スローガン看板 個人崇拝一転

党の重要政策議論「北戴河会議」 

【北戴河(河北省)=西見由章】中国共産党の指導部や長老らが河北省の避暑地に集まり、人事や重要政策について非公式に議論する「北戴河会議」が間もなく始まる。米中貿易摩擦の激化を受けて習近平総書記(国家主席)への批判が党内外で表面化しつつある中、重要会議の拠点でも党のスローガンから習氏の名前が激減し、習指導部の苦しい立場をうかがわせている。

31日、北戴河にある党幹部専用ビーチ沿いの道路は約3キロにわたって封鎖され、党や軍の関係者を乗せたとみられる当局ナンバーの特別車両が相次いで出入り。周辺道路は武装警察や警察、私服の当局者が目を光らせ、沖合では中国海警局の公船が警戒していた。複数の地元住民によると7月中旬には警戒態勢が強まったという。

党幹部らが宿泊するのはビーチそばの森に点在する瀟洒(しょうしゃ)な西洋風別荘だ。前日に保養地を一望する聯峰(れんほう)山公園の展望台に向かったところ、数人の当局者が記者を尾行・撮影していた。

北戴河の厳戒態勢は例年通りだが“異変”もある。

「新時代の中国の特色ある社会主義思想の偉大な勝利を勝ち取ろう」。街中では会議のために新設した真新しい看板が目につく。ただ大半は、同思想に本来冠されるべき「習近平による」との表現を省略している。鉄道駅前には習氏の名前が含まれる大看板があったものの、これを含めて習氏の肖像画や写真は全く確認できず、その名前を含むスローガンも数カ所しか見当たらなかった。

習氏に対する個人崇拝の動きが一転して抑制され始めたきっかけは米中貿易摩擦の泥沼化だ。習氏は経済政策の実権を李克強首相から奪い、対米交渉もブレーンの劉鶴副首相に一任しており、状況悪化の責任は不可避といえる。また自国礼賛映画「すごいぞ、わが国」などに象徴される、低姿勢を貫く外交路線「韜光養晦(とうこうようかい)」からの脱却が、米国の対中警戒心をあおってきた側面もある。

宣伝部門にも異変

宣伝部門の異変は人事にも及びつつある。党中央宣伝部の蒋建国副部長は7月25日、兼務していた国務院新聞弁公室主任(閣僚級)の解任を突然発表された。その上司にあたるイデオロギー・宣伝部門の最高責任者、王滬寧(おう・こねい)政治局常務委員は、同月中旬に開かれた党の中央財経委員会会議に出席後、31日に開かれた政治局会議まで公式報道からしばらく姿を消し、宣伝工作の失敗の責任を取らされるとの臆測も浮上した。

党関係者は今年の北戴河会議の最大テーマについて「中米貿易戦争」とした上で「主戦論の声は非常に小さく、和睦派が大勢を占めている」と指摘する。習氏もトランプ米政権との安定的な関係は重視しているものの、米側は「協議を継続する意思がない」(クドロー米国家経済会議委員長)として習氏を名指しで批判した。主戦論者の黒幕として事実上認定された格好で、宣伝部門の“尻尾”を切るだけで政治責任を逃れられるかは不透明だ。

昨年の党大会では慣例を破って最高指導部に後継候補を昇格させず、今年3月の全国人民代表大会(全人代)では憲法改正で国家主席の任期制限撤廃に踏み切った習氏だが、その3期目続投の野望には暗雲が垂れ込めている。


最新の画像もっと見る