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大機小機 BRIICsなのでは…日経新聞10月20日19面より

2011年10月20日 17時40分15秒 | 日記
今世紀になって世界に広まった新語の代表が「BRICs」だろう。あえて「ブラジル、ロシア、インド、中国の新興4力国」と注釈する必要もないほどだ。

初出は、2001年11月30日付のゴールドマンーサックスの投資家向けリポート。同社エコノミストのジムーオニール氏が名づけ親で、もうすぐ満10歳を迎える。

時に言葉が実体をつくり出す。3年前に4力国で首脳会議を始めた。今年から南アフリカも加わり、sが大文字のBRICs会議となった。

「Big5」を覚えている人はいるだろうか。世界銀行が1997年9月に出した世界経済リポートで、有望な経済大国候補として5つの新興国をあげ、そう呼んだ。

内訳はBRIC4国十インドネシア。Big5が新語として広まらなかったのは、同じ年にアジア通貨危機が起き
インドネシアが早々に脱落したからだ。国際通貨基金(IMF)の救済融資を受ける書類に署名するスハルト大統領をカムドシューMF専務理事が腕組みして見下ろす写真は、世界に配信された。

だが、今振り返れば14年前のBig5は正解だった。スハルト政権崩壊の余波で混乱した政治も、民主的な選挙で選ばれたユドヨノ大統領が2期目に入り、安定の度を増している。経済も近年6%前後の成長が続いている。

インドネシアは人口2億4千万人、中印と並ぶ成長センターである東南アジア諸国連合(ASEAN)の4割を占め経済規模も地域で突出し、南アよりはるかに大国だ。G20(20力国・地域)会議のメンバーで、世界最多のイスラム人口を抱える国を外して、明日の世界は語れまい。

他方、新興国と呼ぶには首をかしげたくなる国もある。ロシアだ。人口はインドネシアより約1億人少なく、年々減っている。加えて近年、国民の外国移住が急増中。ロシア革命時、ソ連崩壊前後に次ぐ「第3波」とかで、世論調査によれば、18~24歳の若者の4割が移住を望んでいる。

石油と天然ガスが輸出の過半を占め、経済の資源依存度が高い半面、製造業はいまひとつ。来年にはプーチン首相の大統領復帰も確実視されている。君主を頂くアラブの大産油国に近い気もする。

BRICsのR(ロシア)をI(インドネシア)に差し替えろ、とは言わないが、せめて「BRIICs」にしてはどうだろう。(手毬)

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