文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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政権打倒を目指すあまり、文書改ざん事件で佐川氏の果たした役割や、天下り問題で責任を追及され辞職した前川氏の過去を

2018年04月28日 09時38分33秒 | 日記

以下は前章の加地伸行氏に続いて掲載されている長谷川幸洋氏の連載コラムからである。

真相を歪めて放送する野党と一部マスコミ

安倍晋三政権が森友学園や陸上自衛隊のイラク派・遣日報、さらに加計学園問題をめぐつて、野党や一部マスコミから執拗な攻撃にさらされている。 

指摘された問題のほとんどは政権というより、官僚の問題である。

にもかかわらず、野党や一部マスコミは「安倍政権打倒」を目指して、追及の矛先を政権そのものに向けてきた。 

残念ながら、というより当然なのだが、彼らの試みは失敗しつつある。

追及すればするほど真実が明るみに出て、結果として安倍首相の潔白が証明されていった。

一方で、規律意識を欠いた官僚たちの堕落ぶりが白日の下に晒されてしまったのだ。 

たとえば、森友問題では財務省理財局による文書改ざんだけでなく、近畿財務局が森友側にゴミ撤去をめぐって「口裏合わせ」を依頼したり、ゴミの量を水増しして撤去費用を見積もるように国土交通省大阪航空局に依頼していた疑いが出ている。

こんな細かい話に政権中枢が関わるわけがない。

まさに現場に携わる官僚の所業である。 

野党や一部マスコミのロジックは、次のようだ。

「官僚が文書を改ざんしたり隠したりするのは、安倍首相におもねっているからだ。官邸の指示がなかったとしても、官僚は忖度している。そもそも官僚の不祥事は行政府を統括する政権の不祥事ではないか」。 

まず、「官僚がおもねっている」とか忖度の有無などは、そもそも議論に値しない。

「忖度する官僚もいれば、しない官僚もいる」という話にすぎない。

国民は分かっている。

そんな話で政権を批判しても、野党や記者のお粗末さがバレるだけだ。 

官僚の不祥事は政権の不祥事なのか。

タテマエはその通りである。

だからといって、政権を倒せば、官僚の規律が回復するのか。

真の問題はここだ。

私の答えを先に言えば、安倍政権を倒したところで官僚の規律は回復しない。

それほど腐敗は進んでいた。 

さらに野党が政権を握ったところで、ますます問題は解決しない。

彼らに官僚を制御する力がないだけでなく、そもそも彼らは「敵は官僚ではなく安倍政権」とみて問題を追及してきた。

初めから、戦う相手を間違えているのである。 

ある野党議員は前財務省理財局長の佐川宣寿氏が国会で証言する前、テレビカメラの前で「佐川さんにがんばってほしい」と語っていた。

彼女は佐川氏を味方に付ければ、政権の疑惑を明らかにできると思っていたのだろう。

加計学園問題で前文部科学事務次官の前川喜平氏が「総理の意向」メモに同調する証言をした例に味をしめて「二匹目のドジョウ」を狙ったのだ。 

政権打倒を目指すあまり、文書改ざん事件で佐川氏の果たした役割や、天下り問題で責任を追及され辞職した前川氏の過去を都合よく棚上げしている。

それほど官僚に甘い野党が「官僚の規律回復」などできるわけがない。

彼らが政権を握れば、官僚はますます野放図になるだけだ。

官僚を制御するどころか、官僚の手のひらの上で転がされて失敗した民主党政権の教訓から何も学んでいない。 

一部マスコミも似たようなものだ。

彼らは安倍政権打倒を目的にしているために、本来の真相解明どころか、逆に真相を歪めて報じる結果になった。

たとえば、森友問題で当初、安倍政権が関与した傍証であるかのように報じられた「特例取引」の真相は何だったか。 

なんのことはない。「十年間貸付後の売却」という契約が通達で定められた「特例処理」だった。

安倍首相が手続きを歪めたのではなく、逆に特例処理こそが適正だったのである。

「特例」という言葉を、首相が関与したかのような印象操作に使ったのだ。

加計問題でも「本件は首相案件」という愛媛県職員の備忘録メモを根拠に「首相の関与」を印象付けようとした。

だが、そもそも国家戦略特区という政策自体が安倍政権肝いりの政策である。

特区を認定する国家戦略特区諮問会議の議長は首相だ。

つまり、特区は最初から「首相案件」なのだ。

安倍首相が「総理の立場を利用して加計学園に特別な便宜を図った」わけではまったくない。 

世界に目を転じれば、朝鮮半島情勢は言うに及ばず、米国のトランプ政権が招いた勃発寸前の米中貿易戦争など、通商面でも大激震が続いている。

国の平和と安全、繁栄、それに北朝鮮に残された日本人拉致被害者をどう取り戻すか、はまさに「日本がトランプ政権にどう向き合うか」にかかっている。 

幸い、印象操作による追及は息切れ感が出てきた。

ここは安倍政権の踏ん張りどころである。

ジャーナリスト。1953年、干葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SA-S)卒。東京新聞論説委員などを経て2018年に中日新聞社を退社。著書に山本七平賞を受賞した『日本国の正体』(講談社)など多数。


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