文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

コバレント、台湾企業に売却…日経新聞8月12日9面より

2011年08月12日 10時06分12秒 | 日記
価格競争に拍車 投資負担重荷に
ウェハーにも外資の触手 


文中黒字化は芥川。

コバレントマテリアルが半導体ウェハー事業を台湾のシノ・アメリカン・シリコン(SAS)に売却する。
SASは太陽光パネル用ウェハーで急成長してきた新興勢力。日本の半導体産業の地盤沈下が続くなかで相対的に高い競争力を保ってきたウェハー業界にも外資の触手が伸びた。

ハイテク産業の地殻変動は最上流にあたる素材分野に及び始めた。

コバレントは2011年末までに、全額出資子会社のコバレントシリコン(新潟県聖籠町)など国内にある3つの製造・開発拠点を4億5100万ドル(約347億円)で売却する。従業員約1400人はSASに移る。

SASの事業の大半は市場が急拡大している太陽光パネル用ウエハーで、10年の連結売上高が225億台湾ドル(約600億円)。ウエハー事業の売り上げではコバレントを約200億円上回る。

半導体も太陽光パネルもシリコン製のウエハーを加工して生産するが、ユーザーが求める純度や品質の水準は半導体用が圧倒的に高い。半面、太陽光パネル用では大量生産体制を築く資金力が勝敗を分ける。

技術力で後れを取る台湾企業がウエハー産業で勢力を伸ばせた理由がここにある。一方、日本のウエハーメーカーの軸足は半導体分野に偏っていた。半導体需要は伸びているが、半導体メーカーの数が減っており、価格競争に拍車がかかっている。開発投資の負担も増しており、信越化学工業やSUMCOなど上位メーカーの収益力も低下している。

コバレントマテリアルの前身は東芝セラミックス。06年に米投資ファンド大手のカーライル・グループなどの出資を得てMBO(経営陣が参加する買収)で東芝から独立した。業界6位のコバレントは08、09年度にそれぞれ150億円超の連結最終赤字を計上。

大株主として収益回復を急がせたいカーライルが今回の事業譲渡を促した。
SASはコバレントの持つ高純度のウエハー製造・加工技術を獲得することで、半導体ウエハー事業に本格参入する。豊富な資金力を生かして、コバレントにできなかった大胆な設備投資に打って出る可能性もある。

半導体ウエハー市場は信越、SUMCO、コバレントの3社で世界シェア70%を占める。そこに台湾勢が加わった。素材から完成品までサプライチェーン(供給網)を台湾企業でつなぐ橋頭堡(きょうとうほ)となる。世界のIT(情報技術)生産基地としての台湾の存在感は一段と増す。

コバレントは今後、産業機器向けなどのセラミックス関連事業に経営資源を振り向け、収益基盤を立て直す。売上高がほぼ半分に縮小し、新規分野の開拓など新たな成長戦略を示す必要が出てくる。

最新の画像もっと見る