生駒高原で存分にコスモスを楽しみ、次に皇子原公園へと向かいました。
ヒガンバナの大群落が待っていてくれるはずです。
霧島の峰の裾野を快適に走り抜けました。
周囲には高原の牧草地が広がっていました。
標高が高いので、ヒガンバナの開花が期待できます。
そして、こんな光景に巡り合うことが出来ました。
実は、ヒガンバナに関しては、かねがね不思議に思っていることがあります。
日本に自生するヒガンバナは、種子が出来ない三倍体(染色体数33)のみで、球根の分球だけで繁殖していると言われています。
更に、ヒガンバナは人里植物で、人里をはなれた山中をどれほど歩き回ってみてもヒガンバナには出合うことはできないのです。
では、今目にしている光景は全て人の手を介して作られたものなのでしょうか?
とてもそうとは思えません。
ヒガンバナは球根に毒を含みます。
昔から田の畦などで植栽されたのも、ヒガンバナの毒を嫌って、モグラなどが畦に穴などを開けないようにする目的からだとされています。
もっとも、モグラは肉食動物なので、この説には多少の無理がありそうです。
しかし、それにしても、動物などがその根を穿り返し、それが理由で拡散し、繁殖しているのだとも思えません。
ほんとに考えれば考えるほど不思議な植物ではあります。
さて、皇子原で昼食時間を迎えましたので、コンビニでパンと野菜ジュースを買い求め、車の中で頬張りながら次の目的地「萩の茶屋」へと急ぎました。
「萩の茶屋」は有名な花の名所で、秋には100万本のヒガンバナが咲き揃う、とガイドブックに紹介されています。
しかし2005年の台風で大きな被害を受けたようです。その後復旧されたとは聞いていますが、どんな様子なのか気にかかりました。
「萩の茶屋」に着くと、颱風の被害は修復されている様子でしたが、残念なことにヒガンバナは二分咲きでした。
蕾のままの花が多く、朱一重の光景とは程遠い状況でした。
それでもアゲハチョウが二羽、ヒガンバナの蜜を求めて長閑に飛び交わっていました。
そしてこの光景は、本来花は蜜で昆虫をおびき寄せ、受粉を促すことが目的のはずなのに、種も作らず蜜だけを分泌するという、植物本来の機能から逸脱したヒガンバナの不思議をより深く、印象付けてくれたのです。
写真中央付近に花に舞うアゲハチョウ。