意匠を凝らした赤い城が、夜明けを待っている。太陽神が目覚めるまでには、まだ暫くの時がある。乾いた大地は城と同じ、赤みを帯びた色をしている。砂漠、ではない。さりとて、草波打つ光景、でもない。むきだしの、荒々しい、けれど、豊かないのちを内包した、沃野。どこからともなく、硬質な楽の音が響いた。かつて赤い城を建て、そしてこの地を追われていった人びとの悲憤に想いをいたした、無常と華やぎが交錯する調べが。それに呼応するように、沃野の地中深くで、何かが目覚めた。いまだ誰の目にも触れない、それは、地下水流。長い睡りについていた水神が、ひとつ大きく伸びをした。「……そろそろ表に出ようかしらね」凛々しい女戦士の姿をした水神は、水招きの歌を口ずさむ。だがその姿と声はいつしか、颯爽たる青年のそれに変化していた。男女双方の姿と声を操る双神──水神の歌が喚んだ水はやがて地表にのぼり、少しずつ乾いた沃野を潤していった。
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目を瞑って聴いていたら、まさにこのような物語が浮かぶような美しい世界でした。
さすがご名答です!
あの「ラ・ベーガ」にインスピレーションをもらいました。
本当に、詩情に溢れた演奏でしたよね(*^^*)
わかっていただけて嬉しいです。