ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

Quantum Of Solace

2009-01-18 18:18:41 | 映画
『007/慰めの報酬』を観た。

新世代の“ジェームズ・ボンド”を襲名したダニエル・クレイグによる、新シリーズの2作目であります。

本作はシリーズ初の2時間を切ったスマートさ、そして何よりもシリーズ初の前作の続編と言う異例だらけの本作。

賛否両論ある中、作品の面白さと完成度で、観る者を圧倒した前作の後だけに、本作への期待と不安は膨らんでいた訳だが…。
本作も期待通りに素晴らしい激しいアクション映画だったので、ファンとして一安心したのが本音(笑)。






(以下:ネタバレ発覚!!)







本作は前作のラストに直結しており、Mr.ホワイトの身柄を確保したボンドと、それを追う謎の組織との壮絶なカー・チェイスからスタートする。



今までのシリーズとは異なり、ダニエル/ボンドはシリーズ最強の肉体派であり、パルクールを駆使した過激なアクションを含め、贅肉を切り落としたスマートなアクション映画として素晴らしい。

しかし本作は、何処か70年代テイストのアクション映画の雰囲気が漂っている。

007云々を抜きにして、本作は愛する者を失った哀しい男の悲痛かつ壮絶な復讐劇であるのが本作のポイント。



元々“007”は政府のお抱えの非情な殺し屋と言う一面があるが、本作では殺し屋と言うよりも「殺戮兵器」である(笑)。
劇中でも上司に皮肉られるが、ボンドは出会う関係者を片っ端から皆殺しにしていく。
この重く殺伐とした雰囲気は、従来の007シリーズには無かったものだ。

しかし、それも愛する者を失ったボンドの抱える怒りや哀しみ、そしてやり場のない虚無感から来るものであるのが判るのが余計に悲痛だ。

この壮絶な復讐劇はボンドは本来の任務から離れ暴走しだし、敵となる謎の組織の全貌が徐々に明らかになってくる。
だが世界各国を巻き込んだ巨大な陰謀が明らかになるも、この辺りから物語が何故か急に失速し出すのが不思議で仕方ない。

本作の唯一にして最大の致命的な欠陥であり、残念なポイントでもある。



今回の敵である“Mr.グリーン”が、ボンドの敵として今一つインパクトが弱いのが致命的でもある。
所詮Mr.ホワイトもグリーンも、巨大な組織にあってのほんの末端でしかない事を意味するのかもしれない。

それを踏まえても、本作の敵はちょっと弱過ぎるのは事実だろう。

組織の存在(名前からして中国系か?)が明らかになり、ボンドだけでなくMI6の敵が明確となる。

ここで本作の持つ意味がやっと明らかになる。

前作が「ジェームズ・ボンド」に成るまでの物語だったのに対し、本作は遂に本当の意味でボンドが誕生する…と言う作品だと思えた。



それがあの「お約束」が登場するラストにつながる、そう思うとファンとしてはニヤリとなる。

壮絶な復讐劇の果てに、ボンドは本当の意味で「女王陛下の諜報員」となった。

次回作以降、リアルかつ肉体派の「人間」としてのボンドも良いが、シリーズの醍醐味でもある遊び心溢れる秘密兵器を駆使しつつ、荒唐無稽な物語の中で活躍する新たなボンドを築き上げて欲しい。

一部ではコレでクレイグ/ボンドも降板かとも言われるが、個人的にはまだまだ続投して欲しいと願っている。

是非、本作を観る前には『カジノ・ロワイヤル』を観てから本作を観て欲しい。
本作は前作と合わせて観る事によって完結する、一本の作品になるのだから。

「何よりも自分自身を許せ…。」