仁左衛門休演の激震が走った第三部が昨日、無事に千穐楽を終えられたようで心から安堵しています。
3時間越えの舞台、途中20分の幕間はあるものの主役の玉三郎は出ずっぱり、喋りっぱなしの過酷な舞台。
「源氏店」の予定が、共演の仁左衛門が帯状疱疹でカツラを被れないということで先行予約翌日に降板、演目変更になりました。
こちらはゴールデンコンビの彼らの手に入ったお役ですが、「ふるあめりかに袖はぬらさじ」は歌舞伎歴23年目の私でも一度しか見たことのないレアもの。
急な変更にも関わらず、玉さんは三日目にして膨大な台詞が完全に入っていたことに驚嘆しました。
もともと杉村春子の当たり役で新派の演目のため、歌舞伎調の台詞でなく現代的で超早口。
珍しく若干噛むところもありましたが、普通に喋っていてもあんなに早口だとむしろ噛まないほうが不自然。
何をやっても玉さんなら、さすがですね~となるすごさよ。
色は売らない三味線弾きの芸者さんですが、花魁より美しい。
「私もこう見えて昔は綺麗だったんですのよ~」と冗談口で愛嬌たっぷりに振る舞うものの、いえいえ今だって一番お綺麗ではありませんか。
異人さんも本音では玉三郎@お園さんのほうに行きたいのでは? と思いたくなるイイ女!
実際、玉さんを見る目は皆さんウットリして、座持ちの良い芸者を見る目ではない。
うんうん、分かるわぁ。
以前、勘三郎丈が勤めて愉快だったお役・岩亀楼主人は鴈治郎。
この人には丸っこい顔や体から醸し出す柔らかいムードに加えて、そこはかとないユーモアがあって大いに期待していましたが、
観劇した三日目はまだ台詞の多さとテンポの速さにノリきれていないご様子でした。
急遽、演目が変わって大変だったのは彼も同じですものね。
それでも台詞自体はきちんと入っているし、上方役者ならではの品の良いおかしみは健在。
それにしても過去の実際の舞台も、そのシネマ歌舞伎版も観ましたがその美は衰えることなく、ますます磨きがかかってます。
おそらくお衣装も変えてる?
幹部俳優の衣装は自前なので、玉さんのコーディネートセンスが光ります。
最後の白黒の粋なお召し物も素晴らしい。
真似したい~と見惚れるばかりの女っぷり。
その後、帰宅して同行者に撮ってもらった自分の和服姿を見て、やはりモデルの違いでこんなにも変わる……。
私が玉さんコーデを真似てもああはならないよね、と客観視できました。
内容が面白いのは無論のこと、玉三郎オンステージの趣きの舞台を
二列目真ん中で観劇できた喜びに浸った夜でした~。
はぁ~、眼福眼福。
27日千穐楽。