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歌舞伎鑑賞教室「色彩間苅豆(いろもよう ちょっとかりまめ)ーかさねー」@ティアラこうとう

2025-08-01 | 歌舞伎

国立劇場閉場後も各地の会場でたまに歌舞伎公演をしているようですが、専用の小屋がない悲しさで情報がなかなか行き渡らないのが現状です。

危機感を感じた萬壽さんたち歌舞伎役者が陳情に出向き、早期の国立劇場建設を働きかけているニュースを見たことがあり、奔走されています。

そんな折、萬壽さんの「かさね」があると誘われ、それは行くしかないだろうとチケットゲット。

 

国立劇場でも行われていた「歌舞伎鑑賞教室」では毎回、役者が解説を行ってから舞台が始まります。

今回の「歌舞伎のみかた」解説は坂東亀蔵さん。

 

お兄さんの彦三郎さんに負けず劣らずの美声の持ち主で、素の話し方も非常に聞き取りやすく滑らか。

真面目でやや面白みに欠けるものの、歌舞伎の基本を丁寧かつ簡潔に伝える話術はさすがでした。

 

音響効果の解説などに加えて裏方さんや職人さんにもスポットを当て、最近、彼らの存在がアピールされることが増えていると感じます。

菊ちゃんの襲名公演のときも同様。

どれほど立派で偉大な役者でも、一人で舞台を勤めることはできないのが歌舞伎です。

時代と共に縁の下の力持ち的な仕事に就く人が減って、役者だけでなく伝統芸能の世界全体で憂えている表れなのでしょう。

亀蔵さんの解説からもそれが十分伝わってきて好感を覚えました。

 

「かさね」の萬壽さん@腰元かさねは綺麗で上品で、相変わらずのたおやかな美声と折り目正しい踊りを久しぶりに堪能できて大満足。

 

後半、顔と姿が醜く変化したかさねになっても顔半分、目のあたりだけ傷ついたようになっていて美しさの名残りがありました。

以前、猿之助@かさねを見たときとはずいぶん雰囲気が異なり、役者によって解釈の違いがあるのが歌舞伎の面白さ。

猿之助は、恨めしさたっぷりにおどろおどろしく顔を作ってましたからねぇ。

 

一方、相手役の芝翫@与右衛門はどうしたのでしょうか。

先ず、その二重顎に愕然となり、脚はむくんでいるのか、白タイツを履いているのかと思うほど太くのっぺりしています。

全員に配られたパンフレットにあるインタビューで、芝翫自身が与右衛門を「頬がこけたようなスラッとしたイイ男でなければならない」と

評しているのに、これはいけません。

 

歌舞伎役者が役によって体重を落としたり太ったりするのはよくあることで、皆さんそうしているわけです。

野良犬のような荒んだ男でも美しさに女が惑うという姿が必要なお役を勤めるからには、プロ意識を発揮していただきたかった。

「色悪」と呼ばれるお役は誰にでも勤まるわけでなく、芝翫はできると期待されての配役なのですから。

 

2025年7月17日~26日

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七月大歌舞伎・昼の部@歌舞伎座

2025-08-01 | 歌舞伎

私が出かけた当日は高校生(?)の歌舞伎鑑賞授業日だったようで、2等席だと思われる良い位置で観劇する生徒さんで賑やかでした。

 

あまりなじみがあるとは思えない歌舞伎を学校授業の一環として半強制的に見るのは「いいことだ~」と、微笑ましく眺めていました。

ところが、いざ幕が開くとほぼ全員沈没。

私の席からちょうど視界に入る位置で、見たくなくても見えてしまい、気になってしょうがない。

 

申し訳ないけど、演目チョイスがハッキリ言ってよろしくない……。

昼の部は「新歌舞伎十八番四題」とあるとおり、いつもより一幕多い上に全て重厚な内容のため、終演は16時過ぎ。

毎月、観劇する私でさえ辛いのに、初めての人にとっては苦行とも言えるでしょう。

ちなみに、私のお隣のご年配のご夫婦は最初から最後までほとんど下を向いて寝ていらした。

 

涙あり笑いありの世話物「魚屋宗五郎」とか、夏にふさわしい驚きの仕掛けたっぷりの「四谷怪談」とか、いくらでも少年少女が楽しめる演目があるのに

よりによって、4つとも台詞自体何を言っているのか理解しがたい厳かなものばかり。

 

幕間に男子たちが「これが一番分かったね」と話していたのが「高時」。

これならアクロバティックな動きもあり、子犬や恐ろし気な犬の着ぐるみが登場したりして、関心も持てるでしょう。

実際、子犬が2匹飛び出して来たときは唯一、女子たちが「可愛い~」(と言ってるかのように)と身を乗り出していました。

確かに可愛いけど、歌舞伎座に来て受けたのがここですか? それじゃ、あんまり彼らが気の毒過ぎる。

 

私も高校生同様、巳之助@高時は良かったと思いますが、團十郎が二役で勤めた静御前は何だか顔が変だし、知盛には深みと言うか苦悩がなく

薄っぺらな佇まいで怖さも感じられません。

「紅葉狩」は姫の姿のときは綺麗でしたが、鬼女に変化してからは何となくしっくりこない。

 

ふと見ると引率の先生まで椅子の背もたれに反り返るように倒れ込み、思いっきり寝てました。

2階桟敷席の生徒さんは机に突っ伏してるし、これではいわゆる「リピなし」では?

 

こちらの気分も盛り下がる、色んな意味で非常に残念な昼の部でした。

生徒さんたちに罪はない、寝かせる側に問題あり。

 

26日千穐楽

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七月大歌舞伎・夜の部@歌舞伎座

2025-08-01 | 歌舞伎

外題に「二代目中村吉右衛門に捧ぐ」とあるとおり、「鬼平犯科帳・血闘」は随所に亡き吉右衛門丈へのオマージュが込められているものの

悲しいけれど、「鬼平」は封印したほうがいいと痛感しました。

 

幸四郎@鬼平が軽すぎて周囲に溶け込んでしまい、吉さまのような圧倒的な存在感が全くないのです。

これでは「お頭」と誰もが慕い恐れる鬼平には見えません。

吉右衛門@鬼平は普通に歩いていても、明らかに普通ではなかったですから。

 

甥として大切に受け継いでいきたい気持ちはファンなら皆、理解できるし、そうしてほしいのはやまやまですが、今回の舞台を見る限り、

地道に修業して十年後とかに満を持して再チャレンジしていただきたいと思わずにいられません。

 

ラストに定番のジプシーキングのテーマソングが流れると再放送している吉さまの「鬼平犯科帳」が浮かび、「鬼平はもうテレビでいいわ」と

力なく思いました。

 

幕間に、私の傍らで歌舞伎座のフライヤー(最近はチラシをこう呼ぶそうですね)ラックを物色していた年配のご婦人が

「鬼平、歌舞伎座に見参」と書かれたものを一瞬手に取り、「あ、これは要らない」とポイッと元に戻したのを見て

「いやいや、幸四郎ファンもいるんですから~」とドキドキする始末。

 

どうした?! 7月の歌舞伎座!!

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刀剣乱舞@新橋演舞場

2025-07-31 | 歌舞伎

初日に行って参りました。

 

2023年に新作歌舞伎として上演して大評判を取り、今回は第二弾。

なので、内容も構成も前回とは異なります。

キャストも若干変わりましたが、若手実力者の歌昇君や最近の活躍目覚ましい左近君が入ってさらにグレードアップの感あり。

 

莟玉@髭切と吉太郎@膝丸兄弟は同じ。

今回は彼らの立ち回りの素晴らしさが際立ち驚きました。

 

普段は可愛らしいお姫様役の女方の莟玉君が、これほど鋭い立ち回りを披露するなんて意外!

うまいだけでなく華麗です。

吉太朗の階段落ちもすごかった。

若いとは言え怪我でもしないかと案じていましたが、無事に千穐楽を迎えて何事もなかったようでひと安心。

8月も福岡、京都と公演が続きますから。

 

鷹之資君に存在感あり。

この人は人間国宝のお父様・故富十郎丈譲りの素晴らしい声を持ち、踊りも力強く颯爽としています。

 

一人、可愛い十代の左近君。

息子を心配した松緑が歌舞伎座を抜け出して見に来てたりしないかな? とチラチラ照明ブースを見る私。

 

歌昇君のずば抜けた身体能力にはいつも感心させられます。

腰がグッと据わってカッコいい。

一体どれだけ鍛えているのか?

顔良し声良しで文句なく、あと身長が15センチ高ければ荒事など全ての立役ができるのに惜しすぎるっ。

 

梅玉さんは歌舞伎座ご出演のため、今回は声だけの出演で残念!

常に淡々とした口調で特に個性的なわけではないけれど、品格あふれるお声をひとこと発するだけで梅玉さんだと分かる端正な美声。

お姿を見せなくても客を喜ばせることができるなんて、さすが人間国宝ですね。

 

松也君は珍しく早替りのある二役で客を魅了。

早替りが本当に速く鮮やかで体も大きく悪役・羅刹微塵を勤めるときは不気味なオーラを放ち、これまであまりやらない役どころが新鮮でした。

 

ラストのおまけ(と言っては失礼ながら)は所作事。

踊り巧者の若手役者がさまざまな舞踊を見せてくれます。

これは評価の分かれるところかもしれません。

前回の方が振り切れて勢いがあったように思われます。

 

前回とは違うストーリー、登場人物、演出で賛否はあっても、それも含めて一見の価値あり! の新作歌舞伎でした。

 

7月27日千穐楽

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玉三郎×小朝の東京夏・特別公演「越路吹雪物語」&「牡丹燈籠」@昭和女子大学人見記念講堂

2025-07-30 | 歌舞伎

今月は歌舞伎関連舞台を5回も観てしまいました。

お正月でもなく、この酷暑の中を出かける自分に呆れつつも迷うことなく観劇し、最も面白かったのがコレ。

 

歌舞伎でおなじみの演目「牡丹燈籠」を「落語芝居」と銘打ち、お二人が白の着流しで舞台中央に正座して玉さんが女方、

小朝が立役(男役)と語りを担当して、台詞とわずかな動きだけで演じ分けます。

 

玉さんの正座は天下一品。

こんなにも美しく動じない正座を拝見するだけで眼福です。

 

歌舞伎では仁左玉コンビで演じる女房・お峰は期待を裏切らず笑わせてくれます。

幽霊からせしめた小判を「ちゅうちゅうたこかいな」と震えながらも強欲丸出しで数える様子は大道具や小道具がなくても、やっぱりおかしい。

この場面は歌舞伎座でもシネマ歌舞伎でも客が爆笑しますが、落語芝居でも同じでした。

 

お嬢様のお露はあくまで可憐に想定内の安定感、その乳母のような女中・お米に凄みと艶があって歌舞伎でも見たい!

とは言え、やはりおかみさんお峰の早口や悋気の芝居は玉さんで見たいし。

うーん、三役は無理でも歌舞伎で二役勤めてほしいものです(場面的に無理だけど)。

 

「越路吹雪物語」はどういう趣向か全く予備知識なく出かけ、これまた感動マックスの時間を過ごせました。

小朝は自由に喋っているのに、きちんと玉さんの歌に繋いでいるのがさすが。

当日になっても話す内容を決めていないとは到底思えない、周到な流れです。

 

以前、玉さんの「お話」に参加したとき、この話題が出て「どんな話をされるのか全く分からず、尋ねても当日の客や会場の様子を見て決める

とおっしゃるので正直、戸惑いました」と。

思い余って弟子にまで「師匠は今日、どんな話をされるのかしら?」と聞いても「自分たちも本当に知らないんです」と周囲も困惑していたそうで。

 

ステージで小朝との会話は一切なく、小朝の話から玉さんにふられてスポットライトが当たって越路吹雪のレパートリーのシャンソンを

華麗に歌い上げるわけですが、確かに「ここで次は私の番ね」と心の準備をしたいであろう完璧主義者の玉さんにとっては少々やりにくい?

 

でも、実際に客席で聴くと小朝のプロフェッショナルな話術が光り、それも楽しさの要素であることが理解できました。

 

私の席はなぜか大変良くて行ってみてビックリしたほどですが、その隣でおじさんが「牡丹燈籠」でいきなり寝てた……。 

軽くいびきまでかいて熟睡状態。

こんな良い席、目立つ席で寝るなよ! と無関係の私がハラハラするほど失礼な客。

 

明らかにその客を当てこすっていると思われる小朝が、呪いの言葉を吐くのも当然です。

だって彼の目の前で、目に入らないはずがありません。

ただ、他の客は知るよしもなく単なる毒舌だと大受けで、それもまたよし。

 

歌手の玉さんは初めて拝見しましたが、本当にどれだけ底が深いのか。

声は若々しく姿も素晴らしい、越路吹雪を知らなくても偉大な歌手だったことが偲ばれる素敵な歌いっぷり。

 

あまりに面白かったので、10月にも江東区で行われる公演のチケットを購入してしまいました。

だってねぇ、これ歌舞伎座で「一夜限り」で興行したときは一瞬で完売したんです。

歌舞伎座より料金も安いし、席も良いし、もう行くしかないでしょと自身に言い訳。

小朝がまた違うお話をしてくれるはずで、それも大きな楽しみです。

 

7月6日

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