獅子丸のモノローグ

☆気まぐれ不定期コラム☆

私が愛したクルマたち(15) いすゞ・ピアッツァ

2014年01月02日 | カタログ倉庫

 私が中学生の頃。
 カー&ドライバー誌の「好きなクルマ・きらいなクルマ」のコーナーで、いつも「きらいなクルマ」の1位だったクルマがある。
 「きらいな理由」は、「マヨネーズのチューブみたいだから」・・・




 そのクルマは、あのジウジアーロがデザインした、初代「いすゞ ピアッツァ」であった。
 私も中学生の時は、このクルマの良さが分からなかった。
 だが、大学生になってから、このクルマの美しさに着目するようになったのだった。



 「美しさが基本」。当時としては先進の、エアロシェイプ。



 このクルマは1981年に登場したのだが、当時日本ではまだ「ドアミラー」が認可されていなかった。
 この無骨なフェンダーミラーが、このクルマの美しいシルエットに、水を差していたといえるだろう。




 最上級車の「XES」。5MT/4ATのラインナップ。
 ベージュの革シートに、本革巻ステアリング。
 贅沢感に溢れた、パーソナル・クーペである。
 この、モデルの女性も、イイね!




 「XG」は、走りを磨くスポーツ・バージョン。トランスミッションは、5MTのみ。
 DOHCエンジンを搭載し、「フロントサス強化ブッシュ」「オイルクーラー」「リミテッドスリップ・デフ」「バケットタイプシート」、そして「ハイグリップ185/70HRスチールラジアルタイヤ」で、武装する。




 「XJ-S」はSOHCモデルのスポーツ・マインド仕様。
 ピアッツアの記号的装備だった「デジタルメーター」を標準装備。




 「BELLA」はいわゆる「女性仕様車」。
 パステルな感じのシート地も、やり過ぎ感が無く、お洒落である。
 「バンパーコーナープロテクター」やボディ同色の「サイドプロテクトモール」で、駐車時の不安を払拭。
 加えて、「運転席バニティミラー」も、このグレード専用装備なのだ。



 「エレクトロニクスの粋を集めたデジタルメーター」。
 国産車離れした、このデザイン。日本車というよりは、フランス車・・・いや、シトローエンのようである。





 フェザータッチのサテライトスイッチは、奇妙キテレツな見た目とは裏腹に、なかなか使い勝手が良かった模様。
 実は、私の友人であるニータ氏尾車氏の両氏は、かつてこの初代ピアッツァのオーナーだったのだ。



 「XES」に標準装備の、この本皮革シート。
 そのカラーといい、シワの張り具合といい、きわめてイタリアンな上質感に溢れている。



 珍しいのは、スポーツグレード「XG」に標準装備の「助手席フットレスト」。
 コレ、実際には、邪魔なだけなような気がするのだが・・・実際、役に立ったのかどうかは、謎である。



 FRの2ドアクーペとしては、後席の居住性もまずまずだった模様。ちなみに、乗車定員は4名だ。
 後席のシートベルトが2点式なのは、まあ、時代である。
 ドルビーNR内臓のカセットステレオが、静かな室内にサウンドシャワーという名の雨を降らせたという。



 「熱い走りのスピリットに呼応するメカニズムの裏には、驚くばかりの計算の構築がある」。
 この透視図からも分かる通り、もちろん、スペアタイヤは標準装備だ。




 G200型エンジンは、DOHC系とSOHC系の2種をラインナップ。
 実用燃費は、カタログから推測するに、リッター8~9kmといったところか。
 この辺は、後日、元オーナー氏たちに確認したいと思う。



 インテリアも、個性に溢れている。
 目を引くのは、ポップアップ式の「サイドベンチレーター」と、左右ドアにそれぞれ配された「照明付シガーライター&アッシュトレイ」。愛煙家に嬉しい装備である。
 「植毛付リヤクォーターポケット」も、小物に優しい心遣いなのだ。



 「電動リトラクタブルのクォーターカバー付きヘッドライト」が、印象的なエクステリア。
 フロントのワンアームワイパーは、アームにウォッシャーノズルを組み込み、雨天時の良好視界の確保に寄与。
 余談だが、かつて雨の中。ニータ氏にこのクルマに乗せてもらった時、ワイパーのヒューズが飛び、私が外したワイパーブレードを左手に持ち、助手席の窓から手を伸ばして水滴を拭いて対処したような記憶が・・・
 このクルマ、電装系には、若干弱いところがあったかもしれない。



 そして、装備表。字が見づらい方は、画像をクリックすると、若干拡大されるかもしれません。
 ・・・それにしても、スペシャリティーカーとは思えないくらいのワイドバリエーションである。
 コスト重視の現代では、考えられないことだ。今から30年以上前か。いやあ、古き佳き時代ですネ。



 ボディーカラーとトリムカラーの組み合わせは、上の表のとおり。
 このピアッツァには、ブラウン内装の方が似合っていると、私は思う。




 全長4310mm×全幅1655mm×全高1300mmのサイズは、現代で言えばカローラよりも小さい。
 あの当時(約30年前)は、そんなに小さく見えなかったんだけどなぁ。やっぱ、現代のクルマが大き過ぎるのかもしれませんネ。









 1981年~1991年まで、10年間にわたって細々と作り続けられた、いすゞらしい長寿車の、このピアッツァ。
 我が家の書庫からは、その1987年版のカタログも、発掘された。



 やはりこのクルマは、ドアミラーでなければ、スタイリングが活きてこない。
 その長いフロントオーバーハングが、アートである。
 まあ、その功罪で、FR車でありながら重量配分は前70:後30という極端なフロントヘビーだったため、冬道にはめっきり弱かった模様。



 つるんと美しいヒップライン。思わず、撫で回したくなってしまう。



 窓面積も大きく、視界も良好そうだ。



 絢爛の中のまどろみ。静ひつの中の熱情。心に感光する一瞬がある。(カタログコピーより)



 都市のランドスケープに心象風景を見る。記憶の底でシグナルが点滅する。(同じく、カタログコピーより)






 スペシャリティカーでありながらも、やや非力だった、このピアッツァ。
 テコ入れ策として、180ps(グロス値)のターボモデルが追加された。





 脚回りも、4輪ベンチレーテッドディスクブレーキや、ハイコン・ダンパーで武装。



  「マヨネーズのチューブみたい」と揶揄されたそのボディは、空力抵抗に優れた「オーバルシェイプのバイオフォルム」であった。




 シートはそれまでのイタリア調から一新し、当時のドイツ車っぽい形状の「リアル・バケットシート」を、ほとんどのグレードに採用。



 空調やオーディオ等、快適性にも抜かりはない。
 ラジオアンテナは、流麗なスタイルの邪魔をしないよう、リヤとサイドのウインドウガラスにプリントされている。



 そして、なんといってもこの「サテライトスイッチ」が、素晴らしい。
 なにか航空機のようだと、言えなくも、無い。
 「ガンダム的」という言い方も、できるかな・・・



 やはりこのクルマには、デジタルメーターの方が、良く似合う。



 シートに身を沈めた瞬間、熱い鼓動に充たされる。深い森の安らぎと、大河のような時の流れ。ここにはドラマの序章を飾るにふさわしい空間がある。(カタログコピーより)



 色使いは上品だが、がっしりとしたバケット形状のシートは、あまりこのクルマのキャラクターには似合っていなかったように思う。
 なお、後席にもELR3点式シートベルトが装備されたのは、大きな福音である。



 徹底したフラッシュサーフェスボディ。
 開口部さえも美しいハッチゲート。
 この流麗なフォルムでありながら、スペアタイヤも標準装備!



 電動リトラクラブルのクォーターカバー付きハロゲンヘッドランプに、ウォッシャーノズル内臓の前後ワンアームワイパー。
 実用とスペシャルを両立した、素晴らしいアイディアの数々!
 電装系が丈夫だったならば、まことに心強い装備だったことであろう。



 登場当初から見ると、グレード数はだいぶ整理された。
 デジタルメーターは、最上級の「XE」のみのスペシャルな装備。



 「XS」は、フロントエアダムとリヤスポイラーを纏い、Cd:0.33を実現。



 「XG」はNAエンジンのスポーティ仕様。
 リミテッド・スリップ・デフが装着されるのは、このグレードのみである。



 「BELLA」はいわゆる女性仕様車。
 インテリアのカラーと、肉薄のイタリアンなシートが、実に魅力的。
 私がこの時代のピアッツアを買うなら、このグレードにするだろう。



 底辺グレードの「XJ」だが、パワステ・パワーウインドゥ・パワードアロックの3種の神器は標準装備。
 スタイルに惚れて買うのならば、このグレードでも充分だっただろう。











 美しく、装備も充実していた、4シータクーペ「ピアッツァ」。
 そのフォルム自体は、21世紀の今でも、輝きを失っていないと思う。
 だがしかし、昨今開催される「旧車系イベント」で、このクルマにお目にかかることは、ほとんど、無い。
 不人気車で生産台数が少なかったからなのだろうか。
 それとも、巷間伝えられているように、電装系に持病を抱えていたがために、生き残れなかったのだろうか。
 あの手のイベントでは、117クーペやベレットはよく見るのだが・・・ピアッツァは一体、どこに行ったんだろう!
 私がもう一度逢いたいクルマの筆頭が、このピアッツアである。
 特にブリティッシュグリーンの「ハンドリング・バイ・ロータス」を、もう一度、見てみたい。


コメント (29)
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