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アポロは月に行ったのか?

2016-12-03 05:24:35 | 歴史
  iPhone用ゲームアプリ(iOS6.0以上)

(担当S)

 
■結論を先に言うと、アポロ陰謀説を裏付ける証拠は何もなかった。
 皆さんいかがお過ごしでしょうか?ブログ担当の担当Sです、最近、めっきり寒くなったせいか夜空に輝く月がとても綺麗です。
 だからと言うわけではありませんんが、今回のテーマはアポロ陰謀説を取り上げたいと思います。
 ですが、表題に既に書かれている通りアポロ陰謀説はデマであったことが判明しています。ディスカバリーチャンネルの「怪しい伝説」でも陰謀説を検証していましたが、子供が見ても理解できるくらい分かりやすく陰謀説の矛盾を説明していました。
 と、結論が出てしまったので、ここで筆を置いてしまいたい所ですが、どうして陰謀説がこんなにも広まったのか担当Sなりに検証していきたいと思います。
 さて写真をご覧ください。写真は米タイム誌の1968年12月6日号の表紙です。
 二人の宇宙服を着た人物が月に向かって走っていますが、奥の銀色の宇宙服の人物は右腕にソ連の国旗を付けており、手前の黄金色の宇宙服の人物は右腕に星条旗を付けています。
 つまり当時の米ソのムーンレース(月面着陸競争)を比喩的に描いていると言うわけです。
 当時の米ソ両国は国家の威信をかけて宇宙開発競争を行なっていました。
 米ソの冷戦終結後に生まれた人には、宇宙開発がどうして国家の威信に関わるのかピンとこないと思います。
 それを説明するにはスプートニク・ショックから説明を始めなければなりません。
 スプートニクとはソ連(現在のロシア)が1957年に打ち上げた、世界初の人工衛星の名前です。人工衛星と言っても何かこれと言った特技があるわけでもなく、地球の周りをグルグルと周りながら単純な電波信号を地球に送ることくらいしか出来ませんでした。
 しかしスプートニクの打ち上げ成功を知ったアメリカは大きなショックを受けます。何故なら人工衛星を打ち上げる技術は、核爆弾を遠くへ運ぶことにも使えるからです。
 これが俗に言う「スプートニク・ショック」の始まりです。スプートニクを打ち上げ成功に対して、ソ連が思ってた以上にアメリカは過剰反応を示します。
 ここで少し当時のアメリカの核戦略を説明すると、核爆弾を何発も詰めるバカでかい爆撃機をソ連の戦闘機が飛んでこれないような非常に高い上空へ飛ばし、爆撃機がソ連本土に到達したら敵国に対して核爆弾の雨あられを降らすというものでした。
 しかしソ連が核爆弾を搭載したロケットを所有するようになったら、この方法は使えなくなります。アメリカが先制攻撃をすればソ連に壊滅的なダメージを与えることは可能ですが、もし仮に核爆弾を搭載したロケットが一発でも生き残っていたら、今度はアメリカ本土が核攻撃の危険にさらされます。
 それが更に核爆弾を搭載したロケットが十発くらい生き残っていたりしたら、ソ連の国土の殆どを核攻撃で更地にしても、今度はアメリカが自国の主要な都市をソ連の核爆弾搭載ロケットによって壊滅させられる恐れがあります。
 米ソの宇宙開発競争が始まるまで、アメリカはソ連に対して圧倒的な空軍力を誇示していました。もしソ連と核戦争が起きたとしても、アメリカは自慢の空軍力でソ連を一方的に叩きのめす自信がありました。
 その絶対的な自信はスプートニクの打ち上げ成功によって脆くも崩れ去ってしまったのです。
 今のロシアからは想像もつきませんが、当時のソ連は宇宙開発の面では明らかにアメリカを圧倒していました。
 「今後は宇宙を制するものが世界を制す」
 これは米ソの首脳が共通して持っていた認識でした。
 そんな状況ですから、宇宙開発競争でアメリカに対して優位に立ったソ連が、核爆弾を搭載したロケットを使ってアメリカや西側諸国(※アメリカに味方している国の事)を支配しようとするのでは?と言う恐怖がアメリカ人の間に広がります。
 こうして宇宙開発競争は技術開発という側面から離れ、政治的な問題へと発展していきます。
 今では考えられませんが、当時は共産主義革命を起こそうとしていた国や勢力がたくさんありました。こう言う国や勢力がスプートニクの打ち上げ成功を見て共産主義の勝利を確信して活気づくかもしれず、そういう事態をアメリカはとても恐れていたのです。
 
■人類初の有人宇宙飛行から僅か8年で月面着陸成功
 スプートニクの打ち上げの後も、宇宙開発でソ連の躍進が続きます。世界初の月探査衛星、ガガーリンによる人類初の有人宇宙飛行、そしてレオーノフ飛行士による人類初の宇宙遊泳。更には人類初の女性宇宙飛行士もソ連がアメリカに先んじます。
 この頃はソ連のワンサイド・ゲームでした。この成功の陰には、天才ロケット技術者と言われたセルゲイ・コロリョフの存在がありました。現在でもロシアで有人宇宙船(ソユーズ)の打ち上げに使われているR-7ロケットを設計したのがセルゲイ・コロリョフであり、彼がいなければソ連の宇宙開発が短時間でこんなに進む事はなかったでしょう。
 一方のアメリカと言えば、ロケットの打ち上げにことごとく失敗。失敗と言っても軌道がそれたとか、狙ったところにロケットが飛んで行かなかったとか、そんな生易しいものではなくて、ロケットが爆発炎上するのは当たり前、酷い時にはロケットが打ち上げ台で爆発炎上する事もありました。
 しかしソ連の宇宙開発が輝いていたのも、この頃までで、徐々にアメリカとの差が縮まっています。更にソ連の宇宙開発を引っ張っていたセルゲイ・コロリョフが1966年に他界します。
 こうなると元々、基礎工業力で勝るアメリカが宇宙開発でソ連を圧倒し始めます。1968年にアポロ8号で人類初の月周回飛行に成功すると、その翌年にはアポロ11号のアームストロング船長が人類としては初めて月面に降り立ちます。
 ガガーリンによる人類初の宇宙飛行から僅か8年と言う快挙。
 8年前にはロケットをマトモに打ち上げられなかったアメリカが、遂に宇宙開発でソ連に勝ったのです。
 担当Sの個人的見解ですが、この僅か8年の快挙と言うのが陰謀論者を調子付けていると思うんですね。
 宇宙開発真っ只中の時に書かれたSF小説を見てたら判るんですが、月を題材にした小説では月面着陸に成功した年を早くても80年代以降に設定している場合が多数でした。
 フィクションだけでなく現実の世界でもアメリカ人の多くが、まさか60年代が終わるまでに月面着陸に成功するとは思っていませんでした。
 アポロ11号の人類初の月面着陸の様子はアメリカ中にテレビ中継されていたのですけど「あれは映画スタジオで撮影しているにちがいない!」とジョークを口にするアメリカ人すらいました。
 当時からアポロの月面着陸に対しては、余りにも出来すぎた話で現実離れしていると感じる人が大勢いたんですね。
 
■アポロの月ロケットは設計に無理がある
 月ロケットの設計に無理があると書きましたけれど、それは陰謀説を肯定する意味で書いたのではなく、むしろ否定する意味で書きました。
 アポロを月に送ったロケットはサターンV型と言う名前のロケットなのですが(右下の写真を参照のこと)、月に有人宇宙船を送る事に特化しすぎて、それ以外の用途に使うには大き過ぎたり不経済過ぎたりする代物でした。
 アメリカが60年代が終わるまでに月に人類を送り込めたのは、このサターンV型の潰しの効かない無茶苦茶な設計に鍵があります。
 現在の宇宙開発で新型ロケットを一から作る場合は、経済性や安全性を第一にして作られます。経済性は衛星打ち上げビジネスで競争相手に勝つためには絶対に必要ですし、打ち上げロケットは可燃物を満載した爆弾のような構造をしてますから安全性はとても重要です。
 しかしサターンV型ロケットは経済性も安全性も二の次にして、人類を月面に送る為だけに開発されました。
 サターンV型が安全性を二の次にしていたと言うのは少し言い過ぎですけど、サターンV型が当時の最新技術ばかりを使っていたと言う事実は、安全性について懸念を抱かせる材料になります。
 打ち上げロケットに使われる技術は、本当であれば最新技術よりも若干、枯れた技術の方がいいんですね。
 最新技術だと、設計者が予期しなかったような不具合がでる事もあるので、安全性を最優先させるのなら、なるべく最新技術は避け、枯れた技術を使った方が無難なんです。
 しかしアメリカには、技術を熟成させるような時間は全くありませんでした。
 技術を熟成させている間に、ライバルであるソ連が先に人類を月に送るかもしれず、多少のリスクがあってもサターンV型ロケットにはどんどん最新技術を投入して急いで完成させて、一刻も早く月に到達する必要がありました。
 経済性については、これは笑ってしまうくらいに何も考えられていませんでした。
 例えばサターンV型ロケットで気象衛星や通信衛星を打ち上げたら、普通の打ち上げロケットを使った場合とは比較にならないほどコストがかかります。
 なぜならサターンV型は巨大な上に衛星を一個か二個、打ち上げるだけなら全く必要のない大量の燃料を積んでいたからです。
 普通の人工衛星を打ち上げる用途に使うには余りにオーバースペック過ぎて、とても使い辛いロケットだったんですね。だからアポロ計画(とその後継のスライラブ計画)が終わると同時にサターンV型は退役します。
 よく陰謀説を信じる人が「現代でも人類が月に行く事は技術的に難しいのに、今より技術が劣る60年代後半に人類が月に行ったなんて嘘だ」と口にしますけど、打ち上げロケットにだけに的を絞って言えば、昔の方が今よりも遥かに高スペックでした。
 ただし高スペックだけども経済性はゼロですから当然、民間衛星ビジネスとかには使えず、軍用衛星を打ち上げるにしたって、もっと経済性の高い打ち上げロケットが当時から何種類もありましたから、人類の月面着陸の偉業を成し遂げたサターンV型ロケットは短い期間使われただけで、早々に檜舞台から消えて行きます。
 こうして月ロケットとして生まれたサターンV型の生い立ちを振り返ってみると「細かいことはどうでもいいから、とにかくソ連よりも先に人類を月に送りこめるロケットを作れ!」と言う意図だけで作られたんだなぁ、としみじみ思います。良く言えば冒険的、悪く言えば無茶苦茶な設計思想で作られていました。
 米ソ冷戦なんて全く知らない若い世代の人達は、アメリカとソ連がどうしてそんなに鎬を削ってまで先に月に行こうとしたのかを感覚的に理解するのは難しいと思います。
 逆に当時の事を少しでも知っている世代だと、米ソがムーンレースを繰り広げたのは当たり前の事すぎで、そこに疑問を挟むのは、とても馬鹿げているように思います。
 当時を知る者にそう感じさせるほど、冷戦時代の米ソはあらゆる分野で張り合っていたんですね。
 一時、アポロ陰謀説が沢山の人から支持を集めた背景には、いわゆるジェネレーションギャップが大きかったんではないかと思います。
 陰謀説を信じていたのは当時の事をよく知らない比較的、若い世代の人でした。
 冷戦なんて知らない人から見れば、国家が威信をかけ莫大な費用を投じて月に行こうとした行為そのものが、とても馬鹿げてるように見えると思います。担当Sも当時の事を皮膚感覚で理解していなければ、そういう風な見方をしたでしょう。
 ロシアは今でも大国ですが、かつての超大国の座からは滑りおちてしまいました。今のロシアが昔のソ連みたいに共産主義革命で世界征服を企てているとか、そんな風には全く見えませんし、そんな力もありません。
 おっかない国であることは今も昔も変わりませんが、ロシアがソ連だった時代には共産主義で世界を征服するんではないかと本気で恐れられていたのです。
 この当たりの事を感覚的に理解してないと、アポロ陰謀説がいかに馬鹿げているのかは本当の意味で理解できないと思います。
 
 今回はオカルトチックなネタに挑戦してみました。
 次回こそ時事ネタに挑戦してみたいと思います。
 担当Sでした!
 
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