つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

鬼門らしく

2006-09-10 15:17:03 | その他
さて、やっぱり幻冬舎のはダメだなぁの第649回は、

タイトル:トップラン 第1話 ここが最前線
著者:清涼院流水
出版社:幻冬舎 幻冬舎文庫(初版:H12)

であります。

2000年1月1日に二十歳になった音羽恋子は、ふたつの両親(実の両親と隣のマンションに住む夫婦の兄と妹が互いに結婚したことによる)がヨーロッパ旅行から帰り、久しぶりの一家6人が揃った1月10日の翌日の11日に、客の入りが少なく、快適なマクドナルドへ出向いた。
ひとがいないだろうそこには、ひとりの男が先客としてハンバーガーを頬張っていた。

そこで恋子は、その男……よろず鑑定師と名乗る貴船天使に、人間の金額を弾くためのテスト、トップラン・テストに誘われる。
銀色のケースから出された100万の札束の1枚を抜き取らせ、500円の参加料で33問のテストに合格すれば、残りの99万が手に入り、さらにテストで弾かれた、場合によっては億単位の金額になる鑑定金額が恋子のものになる、と言う怪しげなテスト。

悩みながらも、恋子はトップラン・テストを受けることにする。
誰にも話さず、誰にも見つからずに、回答したあとに貴船天使を見つけて渡す、と言う条件のもとに。

総評、退学

なんなんだ、このいままでにないほどのくだらなさは。

裏表紙の文句からいちおうミステリに分類したが、これはまったく小説ではないね。
これを小説と言うなら、世に数ある作家に失礼だ

まず、話の大半を占める部分、恋子がトップラン・テスト……心理テストに回答するところと、その問いに対する恋子の思考だが、とにかくだらだらだらだらだらだらと読み進めるのがうざったい。
無駄に冗長で、なんかこの1冊が丸々伏線のためのネタでしかない感じ。

いちおう第1話と言うことなので、続きを大前提として書いているのはわかるのだが、1冊の本、または物語とするのであれば、ストーリー性の著しく欠如したこの1冊を読んで、続きを読もうとは遺伝子の先っぽほども思わない。
仮にも作家ならば、続きを読みたいと思わせるような、きちんとした「物語」を作るべきだろう。
それがない時点で、いくら第1話などと銘打ったところで、続きを手に取る可能性は万に一つもない。

もちろん、これが好きなひと、もしくは最後まで読んだひとは、続きを読めばおもしろいよ、と言ってくれるのかもしれないが、第1話としてこの程度のものしか書けない作家に期待する気は毛頭無い。

そして第1話のラスト。
トップラン・テストを渡した恋子に貴船がふたつ目のテストを言い渡し、それが達成できなかったら、という状況で。

「……君は、一巻の終わりということになるかもしれない」
「一巻の終わりですか?」
「その通り。それによって――一巻の、終わり・・・・・・さ」

あまりのくだらなさに声もない。

作品もくだらなかったが、ここでさらに追い打ちをくれるとは別の意味で感服する。

ペンネームのとおり、清涼さわやかに、流水ながれて、フェードアウトしてってくれ。
酷評した「ご愁傷さま二ノ宮くん」のほうが、まだ小説しているからな。

まぁ、こんな作家……いや、作家と呼ぶのすら他の作家に失礼な腐れ野郎の作る作品は、二度と読むのはごめんだ。
いや、ペンネームを視界に入れるのだけでも不快だ。