つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

いまごろになって

2005-11-27 16:34:11 | 古典
さて、ようやく続きの第362回は、

タイトル:有職故実(下)
著者:石村貞吉 (校訂:嵐義人)
出版社:講談社学術文庫

であります。

相変わらず、べらぼうに高いな、講談社学術文庫……。
400ページ前後の文庫で1200円~。
まぁ、資料だからいいけど。

さて、官職位階や儀式典礼などを中心に平安時代の制度を解説していた上巻に続いてようやく下巻。(有職故実(上)9月25日

下巻は上巻とは趣を変えて、「服飾」「飲食」「殿舎(寝殿造)」「調度・よ車(「よ」は興の真ん中の「同」が「車」になった漢字)」「甲冑・武具」「武技」「遊戯」の7項目で、どちらかと言えば、「公」が中心の上巻に較べて、「私」の部分が大きくなっている。

「服飾」
「私」の部分が、と言ってもさすがにここは「公」の意味合いが強い。
男女それぞれの礼服が名称ごとに分けられて、解説されているんだけど、……わかりにくい……(笑)
いくら何でも、「ここの帯の先をこう取り回して、後ろに回してから云々」と文字だけで書かれてもさっぱり。
いちおう、巻末あたりにいくつか図絵はあるんだけど、いかんせん量が少ないのが残念。

「飲食」
資料的にここは1、2を争うくらい役に立つところでは、と思うところ。
当時の朝夕の食膳のことから、当時で言う「菓子」(果物)など、どういうものが食べられていたのか、などが解説されている。
ただ、「服飾」のところみたいに項目別に分けられているわけではないので、探すのに難あり。

「殿舎(寝殿造)」
寝殿造とありながらも、鎌倉時代の書院造の解説まである。
いちおう、「寝殿造」と「書院造」の項目はあるけれど、もっと小さな項目分けはされていないので、やっぱり探すのがめんどい……。
巻末の図絵も、寝殿造の建物を鳥瞰したような感じの絵があるだけ。
服飾同様、豊富な絵が入ったのがやっぱりあったほうがいいなぁ。

「調度・よ車」
簾や御頂台などの屏障具、筵や円座などの座臥具、鏡筥なごの家什具、台盤などの飲食具、灯火具などの調度、牛車などの類のよ車の解説。
このあたりは、官職位階によって使うべきものや色などが決められていたので資料的にはここは重要。
つか、使ったらいけないよーなもんを平気で使ってる話なんかあかんやろ(笑)

「甲冑・武具」
いちばん読んでておもしろくなかったところ(笑)
……じゃなくて、やっぱりこれも身につけるもの、と言うものなので、読んでるだけじゃわかりにくいんだよね。
ただ、武具は、武官とか位によって身につけられるものが違ったりするので、疎かには出来ない。

「武技」
カテゴリーを「弓技」にしたほうがいいんじゃないかと思った(笑)
流鏑馬の作法とか、騎射とか、そういうのの作法とかが解説されているところ。

「遊戯」
古典にもよく出てくる貝合(かいあわせ)や歌合などの遊びや蹴鞠など、代表的な遊戯が解説されている。
てか、何とか合わせとか、そういうのってけっこういろんな種類があるのね、と感心。
菖蒲の根合(あやめのねあわせ)って、根っこごときで何競ってんねん、と突っ込みたくはなったけど(笑)

とこんな感じの本ではあるけど、やっぱりどー考えても一般的じゃなさすぎる本だよなぁ。
しかもほとんどが文字じゃわかりにくいものばかりなので、上巻よりも取っつきにくいだろうね。