つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

復活

2005-11-06 17:02:58 | 伝奇小説
さて、おまたせしましたになるんかなの第341回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争9 ルビヤンカ監獄大襲撃
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

アフリカ編に入ってから、ぜんっぜん出番のなかったヒロインのラミアがようやく復活(笑)
6巻以来のお目見え……と言いたいところだけど、序章と終章以外にほとんど出番がないので、ラミア萌えのひとには不満たらたらだろうなぁ、と思ったり。

さておき、ストーリーはきっちりと前半後半で分けられている。
前半はブドゥール王国に住む、ムー時代から生きるヴァンパイヤーのマヌーキ……メリッサと主人公の鴻三郎との話が中心。
ここで敵であるスペシネフが奉じる神と、その神と敵対……とまではいかないけど、封印した地球そのものの霊との関わりなどが解説されている。

まー、前半はけっこうだれだれかなぁ。
ほとんどが説明のために費やされてるって感じだしね。
当然、このふたつの神の存在とかがラストに向けた話に不可欠なのはわかるけど、説明ばっかりされるとどんどん斜め読みに近くなってくる。
だいたいの要所を押さえとけば、話はわかるから、さしてじっくり読もうなんて気にならないね。

あとは、鴻三郎が求めてやまない女性……最終的にそれがラミアであることを自覚するところあたり、ラミア再登場と同時にようやくヒロインらしい位置に来たかなぁ、ってところはあるけど。

後半は、スペシネフに捕らえられたとされるラミアと、奪われたヴァーオゥの棺を取り戻すために、鴻三郎と1巻から登場していたトランシルバニアのヴァンパイヤーであるミルチャふたりでKGBの本拠地を襲撃する、と言う話。

いちおう、戦闘シーンは前半にもあるんだけど、こちらはマヌーキの霊力であっさりと勝利。
後半もミルチャというヴァンパイヤーがいるおかげで、かなーり大味。
戦闘に関しては、この巻、すごいピンチとか、そういうのに乏しいのでいまいち盛り上がりに欠ける。

しかも前半のマヌーキの霊力や、スペシネフの弟子とされる超能力者の能力とか、とりあえず、これまではヴァンパイヤーの能力だけが突出していて、あとは人間対人間の戦闘だったのに、ここに来てそんなん出してもらったら、なんかいまいち……。

伝奇ものだから、ありだと言えばありだろうけど、アメリカ軍の歩兵師団やソ連のヘリ部隊をあっという間に倒してしまう力とか、ヴァンパイヤーであるミルチャの力と拮抗するサイコキネシスの使い手とか、最初っからそういうのを出してくれてたほうがいいんじゃないかなぁ、とは思う。

ま、別にいいけどね、そこまで期待してないし。
……その割には読んでるじゃねぇか、と言う突っ込みは受け付けないのであしからず(笑)
(まだ言い訳するか、オレ(爆))