迷宮映画館

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KANO 1931海の向こうの甲子園

2015年03月10日 | か行 外国映画
スポーツで泣けるか・・・・。泣けます。いろんなもんで泣けますが、やっぱ野球っしょ。勝った、負けたの結果でももちろんですが、なんかさあ、こうさあ、なんつか、・・・・・泣けるんだよなああ。

って、まったく言葉になってない自分が情けない。それくらいよかった~!!!ということでございます。泣けた!!とばかりほめててもしようがないので、中身のお話。

日本統治下の台湾、台湾の嘉義農林学校の弱小野球部に、一人の監督がやってくるところから始まる。近藤兵太郎。日本の名門野球部の監督だった彼は、都落ち・・・。気乗りのしなかった彼に火をつけたのは、高校生たちだった。大概の学校の選手は日本人のみ。しかし、嘉農は違った。日本人と漢人と原住民の混成チーム。

こんなチームが勝てるか・・と皆がいぶかしむ。自分たちだって、勝てるなどみじんも思ってなかった。近藤が目指すは甲子園・・・・。ほぼ可能性0の目標だったはずが、近藤のもとで、めきめきと力を得ていく嘉農の選手達。もしかしたら不可能が嘉農に、いや可能になるかもしれない。そのための努力は、並大抵のものではないことは、誰でも知っている。

勝つことはもちろん大事。勝つに越したことはない。一番大事なことは、あきらめない!勝ちたい!どんとこい!気持ちだよ。心の持ちよう。勝つという気持ち。でも、その気持ちを持つためには、それを裏打ちするだけの半端ない努力の積み重ね。それがあったのですよ、彼らには!

説得力あふれる彼らのスキル!選考基準は、とにかく野球ができることだったそうで、皆うまい!最初の下手くそなところもうまいです。言葉も大変だったろうし、演技なんかもちろんど素人同然。でも、体全体から伝わってくるエネルギーと熱情が半端ないです。私の台湾好きは侯孝賢(ホウシャオシェン)監督の映画からではないかと自分で思っております。

勝手に、台湾の方々は日本の事を好意的に思ってて、植民地として統治されていたときも宗主国を憎むことはなかったと。いまだに日本を大事にし、他のアジアの国々とは一線を画している・・・。などと解釈してました。甘いなあ、自分。支配下に置かれていた人たちが幸せなはずはないのですよ。豊かに暮らせるはずがないのですよ。精神が解放されることなどないのですよ。

でもでもでも、そんな時代にこんなふうに壁を越えて、一つのことをやり遂げた事実があった!ということを見せてくれたこの話。このことは私たちの多くが知るべきではないでしょうか。そんなことを思いながら、見入ってしまいました。

実はそんなころ、台湾の原住民が日本の統治に対して絶望的な抵抗を行っていた「霧社事件」。日本人と漢人と台湾原住民が力を合わせることができていた片方でこんなことが起こっていたというのが、「セデック・バレ」でした。

台湾の方々が、自分達の事をどう思ったらいいのか。あやふやな自分のアイデンティティを吐露した作品が「台湾アイデンティティ」でした。これらの作品は、誰よりもまず、日本人が見るべきものではないかと思っています。

◎◎◎◎○

「KANO 海の向こうの甲子園」

監督 マー・ジーシアン
製作 ウェイ・ダーション ジミー・ファン
脚本 チェン・チャウェイ ウェイ・ダーション
出演 永瀬正敏 坂井真紀 大沢たかお 伊川東吾 ツァオ・ヨウニン



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