迷宮映画館

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キングダム・オブ・ヘヴン

2005年05月10日 | か行 外国映画
時は1184年、フランスの片田舎で鍛冶屋をしていたバリアンは、妻と子を亡くし、失意の日を送っていた。そこに十字軍の騎士があらわれる。それは、いままで一度も会った事のない父親だった。十字軍に入る事を勧められる。家族を亡くした自分の居場所はここにはない。カトリックでは許されない自殺をした妻の罪を償うために、「神の王国・エルサレム」に行く決心をする。

100年前に始められた十字軍は、最初の遠征でキリスト教徒がエルサレムを奪回、エルサレム王国を作っていた。しかし、アラブにとっては憎きキリスト教徒たち。アラブとエルサレム王国とは常に緊張状態が続いていた。今は、現エルサレム王、ボードワン四世の優れた治世と、アラブのカリスマ・サラディンの指導力によって、つかの間の平和が訪れていた。しかし、ボードワン四世はハンセン氏病に冒され、明日をも知れぬ命。この微妙な均衡はボードワンの命にかかっていた。ボードワンの命がエルサレム王国の帰趨を決していた。エルサレム王の命が尽きるとき、戦いが始まってしまう。

失意の鍛冶屋から、清廉の騎士に成長し、はてはエルサレム王国の運命を、その手に握るまでになる一人の青年の成長物語にも思える。今まで、明るさが目立ったオーランド・ブルームが、一変して、憔悴感に満ち、苦悩し、究極の選択を迫られる男を、まさに好演している。いままでのオーランドの中で、最高だと思う。

なぜ今、十字軍なのか、ここで、アラブの雄・サラディンを狡猾な人間に描いてしまうと、「あぁ、またか」と思ってしまうが、非常に客観的で、かつ、騎士の生き方をまっすぐな目で見、様々な人間性を公平に豊かに描いていた。戦いの場面は少々過剰加減で、すこーし辟易したが、作りはさすがに丁寧。リドリー・スコットの面目躍如だ。

歴史大作ものが続き、「トロイ」・「キング・アーサー」・「アレクサンダー」と、どうにも下降気味だったが、歴史の先生から見ると、これが一番いい出来。

 もちろん、十字軍のお勉強付きです。

『キングダム・オブ・ヘヴン』

原題「Kingdom Of Heaven」 
監督 リドリー・スコット 
出演 オーランド・ブルーム エヴァ・グリーン ジェレミー・アイアンズ 2005年 アメリカ作品


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