心理セラピストのひとりごと

『象徴的イメージ統合療法』という心理療法を行っています。日々の中で感じたことを書いていこうと思います。

過去のメルマガから⑥『幼少期に、「子供として未熟で不完全であること」を受け入れてもらうことの大切さ』

2019年06月13日 | 子育て
閲覧が出来なくなっている過去のメルマガの記事の主要なものを抜粋して載せていっています。今まで一部の人にしか話していない、伝えることを躊躇していたものもいくつかありますが、このブログでも公開しようと思い立ちました。


ただし、ずいぶん前に書いた文章ですので、今の私の表現とはもうすでに違っているところもありますし、補足、追加したいところもありますから、その部分については加筆していきます。


よろしければ、お読み下さいませ(^_^)

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メルマガ しあわせに生きるための「トラウマ心理学」
幼少期に、「子供として未熟で不完全であること」を受け入れてもらうことの大切さ2014年8月

哲学や科学における思考法として「オッカムの剃刀(かみそり)」という理論があります。これは、たとえどんなに複雑に見えるものでも、余計なものを剃刀で削ぎ落していくと最終的にはシンプルな形に落ち着く、というような意味です。いわば、「シンプルな論理の方が正しいものである」可能性が高いということを示しています。


私も、真理はとてもシンプルなものだと日々感じています。人間の心のことについても、シンプルに捉える方が真実がはっきりと見えてきます。


そういう意味でトラウマを捉えると、人間の心がどこで傷つくかというと、ほとんどの場合が育った家庭環境の中からだといえます。それは、生まれた時にあれだけ純粋無垢だった赤ちゃんたちが、「なぜ成長するにつれてその純粋さを失っていくのか」ということに着目すれば、誰にでも理解してもらえるシンプルなことだと思います。


幼少期の子供は、「自分がどのような人間なのか」ということがわかりません。この時期の子供は、まだ自他を区別することが苦手で、自分と他人という認識がうまくできません。発達心理学では2才頃からこの認識ができはじめるといわれていますが、それは親との関係性の中から身につけていき、子供は親が自分に接する接し方、扱い方をそのまま自分がどういう存在であるかという自己イメージ、自己認識にしてしまうのです。


そして、脳がコンピューターのようにまったく機械的に、情報をそのままインプットする機能を持っているがために、その自己イメージ、自己認識は、まるで洗脳のようにその人の意識の奥深くへと刷り込まれていきます。


親から好かれた子供は、自然に自分のことが好きになります。
親から嫌われた子供は、自然に自分のことが嫌いになります。


親から成功をほめられた子供は、自分をほめて認めるようになります。
親から失敗を責められた子供は、自分を責めるようになります。


小さな子供は、未熟な存在です。
小さな子供は、不完全です。
だから、小さな子供は、物事がうまく出来なくて当たり前です。


小さな子供が、最初から物事がうまく出来るということはあり得ません。


小さな子供が歩き始める時には、転びながら、歩くという経験を重ねることで初めて、上手に歩けるようになります。


小さな子供がしゃべりはじめる時には、間違いながら、しゃべるという経験を重ねることで初めて、上手にしゃべられるようになります。


小さな子供がお箸を使い始める時には、落としながら、お箸を使うという経験を重ねることで初めて、上手に使えるようになります。


子供は、未熟で不完全な状態がまったく自然な状態です。


その子供を親がありのまま受け入れて、認めてあげられないと、その子は、受け入れてもらえなくて、認めてもらえなくて「すごく悲しい」というネガティブな感情を自然に抱きます。それでもずっと受け入れて、認めてもらえないと、「自分が悪い」からと思い、自分の価値感をなくし、自分が存在する理由さえもなくしてしまいます。
(これが反転すると、とにかく受け入れてもらう、認めてもらうことだけを目指して過剰に「出来る自分」になるために生きるようになる子供もいます。この状態をトラウマ心理学では、「アカデミックの呪縛」と呼んでいます)


子供は、親から受け入れてもらえない悲しさを感じてしまうと苦しくなるので、感じたくなくて、空想に浸る、忘れる、ぼ~っとする、すぐに寝る・・・等々、その子の得意なやり方で感じないように心を麻痺させていきます。また、よりよく安定して生存するために、脳の生存本能が過剰に働いて、思考を駆使して「そんなことは感じていない」、「これは普通のことで、何でもないこと」、「大変な人は他にたくさんいる。その人たちと比べると自分は大したことはない」などと思い込んでいきます。


そうすると、人間は感情の生き物であるがゆえに、ネガティブな感情の処理が出来ませんので、感情のエネルギーが解放しないまま心の中に残ってしまいます。また、その当時の感覚も脳や体に残ってしまいます。


思考は、その過去からの「感情」や「感覚」をただ止めているだけですから、それを隠して感じないようにするためには、ずっと一生、思考を優先して駆使して生きなければならなくなり、自分が心からほんとうはどう感じているのかという自分の中心を感じるということが、蓋されて麻痺されたまま生きるようになってしまいます。


これは、本来のありのままの自分ではなくなってしまっている状態ですし、赤ちゃんの頃には持っていた、あの純粋無垢な感覚をなくしてしまった状態ともいえます。


自分の中に、未熟さ不完全さを感じている人は、ただそれをありのまま受け入れてあげて下さい。それを敵にして否定したり、攻撃してしまうと、必ず、自分が未熟や不完全だと感じる人を自分自身に対してと同じように否定したり、攻撃するようになってしまいます。


そして、それは自分が親からされたやり方と同じやり方になってしまうことがほとんどです。実は、その裏には、親もその親から未熟さ不完全さを受け入れてもらえなかったという事実が隠されています。


ですから、親も自分の子供に対して、親からされたやり方、そして自分が自分を扱うやり方で子供に接するようになります。しかしながら、親の心のその根底にはいつも子供のしあわせを願う「愛」があるにもかかわらず・・・。


人間の苦しみは、こういう世代間からのトラウマの連鎖の影響を受けているのです。


自分の中の未熟なところも不完全なところも、まぎれもなくありのままの自分です。


親からそれをありのまま受け入れてもらえた子供は、失敗は失敗にはならず、ただ成長するための一つのステップに過ぎないことがわかり、たとえゆっくりであっても着実に一歩一歩成長していけるようになります。


どうぞ、まず、あなたがあなたの中の「ダメ」とか「悪い」などと、未熟で不完全だと感じている部分を出来るだけそのまま、ありのまま認めて受け入れてあげて下さい。


しあわせへの近道は「ありのままの自分を受け入れる」ことです。


あなたが、光も闇も、自分の中のすべてをありのまま受け入れ、許し、愛して、あなた自身との心からのつながりが出来ることをお祈りいたします。

◆編集後記
心を癒していくという流れや人間の心のことは、長年の現場での経験と研究からすべてわかりました。その原理にしたがって、心の内を解放していかれた方は誰もがみんな劇的に楽になられました。


私は、そういう事実をずっと目の当たりにしてきたので、最近は、国がトラウマ統合療法(特に、インナーチャイルド療法)を導入してくれれば、人々の心が根源的に安定していき、日本が本来のよりよい国へと変わっていく強力なサポートが出来ることを確信しています。


しかし、自分の心の奥に触れることに恐れを感じる人がかなり多いですし、心の奥に触れることでほんとうに根源的に楽になるということが経験がないがゆえに理解出来ない人がほとんどです。根本には心理学のアカデミックな専門職の人たちが自分の心の奥にほんとうの意味で触れられていないくて、根源的に心を癒すということがどういうことか、その感覚がわからないし、その理論を知らないという現状があると考えています。そのために、心の奥に触れることで劇的に人間が癒されていく、回復していくという事実が、社会全体にもう一つ広がっていかないことに強いフラストレーションを感じている今日この頃です。


ただし、この場合にも私がただ役割や使命感に囚われるのではなく、自分の心からのよろこびを感じられるにはどうしたいかに意識を向けることが大切であることがわかっています。


自分がありのままの状態で、よろこび、わくわくしながら、今後どのように進んでいこうかなぁ(*^_^*)

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ホリスティック・セラピー研究所 http://holistic-ti.com
心理や人間存在についての専門的な内容は、HPの「こころのこと」に載せていきます。



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過去のメルマガから⑤『母の役割と父の役割』

2019年06月13日 | 子育て
閲覧が出来なくなっている過去のメルマガの記事の主要なものを抜粋して載せていっています。今まで一部の人にしか話していない、伝えることを躊躇していたものもいくつかありますが、このブログでも公開しようと思い立ちました。


ただし、ずいぶん前に書いた文章ですので、今の私の表現とはもうすでに違っているところもありますし、補足、追加したいところもありますから、その部分については加筆していきます。


よろしければ、お読み下さいませ(^_^)

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メルマガ しあわせに生きるための「トラウマ心理学」
母の役割と父の役割2013年8月

人間の根本的なトラウマは、生まれ育った原家族(子供の頃に一緒に住んでいた家族)との関係から負うことがほとんどです。そのため、今回はその原家族の中心である両親の役割について少し書かせていただきたいと思います。


人間存在にとって、とてもわかりやすくはっきりとした事実があります。


それは、人間は母親のおなかの中に、出産までの10ヶ月ちょっとの間いて、へその緒から栄養をもらい一体となって共に生きていきます。そして、たいていの赤ちゃんが生まれてからも母親から、おなかがすいて泣けばお乳(あるいはミルク)をもらい、おしっこやうんちが出てなんだか気持ち悪くなって泣けば、おしめを替えてもらうという経験をします。


このように、赤ちゃんにとっておなかにいる時から、生命維持に必要なことや心地よく感じること、そのすべてにかかわっているのは母親です。生まれてから、祖母などに預けられるという場合もありますが、子供はおなかの中では母親としか命を共有していません。


ですから、この世界に生まれてきた当初、子供にとって「母親は世界のすべて」なのです。原初に母親とこの関わりを持ってきた子供には、「母親は必要不可欠な存在」であり、「子供は母親が大好き」です。それゆえ、「人間は母親とつながりたいという欲求を内在している存在である」といえると思います。(セッションの中で、『いいえ、私は母のことが嫌いです』とはっきりといわれる人たちも、心の奥深くを見ていくとみんなが、『ほんとうは母親のことが大好きだった』と自然に感じて驚かれることが多いです)


幼少期に、母親が安定していて、そのつながりをしっかりともらえた子供は、心が安定して安心感の中で自然に親離れができます。しかし、母親が安定していなくて、つながりをうまくもらえなかった子供は、親離れできなくなって過剰に母親を求めるようになります。


それがずっともらえないと、大人になっても母親をあきらめられなくなって、求め続けるようになります。この場合、実際の母親に求め続ける人もいますし、年齢は関係なくても、その人がどこか母親に似ていると感じた人に対して、愛情をもらおうとしてしまうこともとても多くあります。(これを投影といいます)また、自分にとって理想的な母親だと感じる人からもらおうとすることもあります。
【本日発表が有り、北野武さんが離婚されましたが、別れた奥さんも現在のパートナーさんも彼のお母さんと似ていて、気がとても強いがチャキチャキと仕事の出来る人のようです】


それから、会社組織などの男性が中心になって働いている男性社会では、ほとんどの場合、仕事の業績や結果がすべてですので、その人の人格や個性がどうあるのかということはあまり関係がないので、表現するとそこには「愛」がないといえると思います。そして、その愛のない環境の中でほとんどの男性がとても傷ついてきていると感じます。


それでも、私もそうですが、社会に出て仕事をしていく上で、そのお蔭で成長できたことは、ほんとうにたくさんあります。そのことには、今でもとても感謝しています。しかし、このような心理にかかわる仕事をさせていただいた今になってこそよくわかるのですが、「何が何でもやらなければならない」、「とにかく結果を出さないといけない」ということが至上命令である男性社会(資本主義社会)の中では、子供の頃のトラウマの上に、その社会からの影響によって、さらに傷ついてきています。(その環境にいる女性の方々も同様です)


男性社会で傷ついた父親は、それを自分の子供に無意識のうちに向けてしまいます。「しんどくて、つらかったが、自分もこんなに頑張ってきたんだから、おまえも弱音を吐かずにしっかり頑張りなさい」と・・・。


それが、その親にとっての愛情ではあるのですが、でも、ここには子供の心が満足する形での寄り添ってあげる、取りあえず、その子をそのまま受け入れてあげるという愛、無条件の愛がありません。(これについては、一人で頑張って、我慢しないといけない環境にいた母親も、これと同じ対応をしてしまうことがとても多いです)


男性社会(学校もそうです)を変えることは、今現時点では難しいですが、もしも、この子が親から「おまえも大変だね。わかるよ。しんどいし、つらかったね。私はおまえの味方だから、いつでも受け止めてあげるよ。いつでも助けを求めていいんだからね」などといって受け止めてもらえたら、子供は安心して頑張っていけます。例えしんどくなったとしても、味方がいて後で必ず無条件の愛をもらえ、守られ助けられるのですから。


この無条件の愛を子供に何かがあった時に、最初に与えてあげるのが母親の役割です。女性は、根本的に母性を内在して生まれてきています。母性とはいわゆる母性愛のことです。本来母性愛は、何も条件付けのないただただ愛するという無条件の愛です。


母親から、この母性である無条件の愛をもらった子供は、心の奥に安心感がしっかりと定着していき、自己価値感が自然に上がり、ポジティブな自己イメージを持つようになります。


子供と母親との関係上、母親からこれを十分にもらえなかった子供は強いトラウマを持つようになってしまいます。人間が持つ根本的な強いトラウマは、母親との間で負ってしまうといっても過言ではありません。


そして、父親の役割は、妻である母親が安心して、心の余裕を持った状態で子供に向き合い、母性愛を与えることが出来るように、妻を受け止め、守り、安心させてあげることだと感じます。


母親が幼少期に自分の親からの無条件の愛をもらえていれば、安心感が心の奥に定着して、心が安定し、自然に子供に対して、自分がもらったように無条件の愛を与えることが出来ますが、そうでない場合でも、父親である夫から、受け止めてもらい、守ってもらえている母親(妻)は、100%ではないとしても、安心して心が安定するのです。


母親が安心して、心の余裕がないと、母性愛が違う流れで出るようになって、ほんとうの母性愛ではなくなってしまうこともあります。例えば、子供がいい子だと褒められることで、母親自身が自分の価値を上げようとしている場合などは、子供がよく出来るしっかりした子になるとしあわせになれると教育していて、一見愛を与えているように見えても、実は自分が子供を使って子供の頃からの「認められたかった」「ほめてもらいたかった」という思いを無意識のうちに満たそうとしてしまう場合もあります。


あるいは、自分が親から無条件の愛をもらえなかったから、子供にはあげようと思い、意識してあげられている母親でも、自分に余裕がなくなった時には、自分が親からされたネガティブなやり方や言い方が脳に刷り込まれていて、それとまったく同じ行為を無意識のうちにとるようになってしまいます。


私がセラピーの現場でよく感じるのは、家庭の中で父親が怒ったり、不機嫌で安定していないことで、母親も不安定になり、家庭が安全な場所ではなくなり、そこから子供が強いトラウマを負っていくパターンがかなり多いことです。


ただ、もし父親が安定をしていなくて子供がトラウマを負う原因の人物であっても、母親が安定をしていて、子供をしっかり守ってやり、味方になって、無条件の愛を送ることが出来れば、子供が負うトラウマはかなり弱いものになることでしょう。


どうぞ、どうぞ、お父さんとお母さんがまず心を安定させて下さい。そして、家庭を子供にとっての安全な場所にしてあげて下さい。子供のホームグラウンドは家庭しかないのですから、家庭に居場所がなくなると、子供は安心感を感じられない中で不安を抱えて生きていくしかなくなります。


また、結婚している男性、女性だけでなく、独身の男性と女性もどうぞ心を安定させて下さい。そうすると、今パートナーがおられる方は、不思議なことにパートナーが安定してきはじめます。今パートナーがおられない方は、パートナーが欲しいと思ったら、必ず心が安定したパートナーが目の前に現れます。(これが共鳴現象である引き寄せの法則です)


安定したパートナーの間に生まれ、育った子は、トラウマのないワンダーチャイルドなのです。


世界では、多くの子供たちが今でも、家庭の中で心からの安心を感じられないまま、不安や恐れを感じながら生きています。そして、多くの大人たちが今でも、原家族との関わりの中で心からの安心を感じられなかったまま、それを今に引きずって生きています。


世界中のすべての子供たちが、親とのつながりが持てて、家庭の中で安心してしあわせに生きられますように・・・。


世界中のすべての子供だった大人たちが、今も引きずっている過去からの不安と恐れから解放されてしあわせに生きられますように・・・。


[おすすめ]
親が子供にどう接していくとよいのかをマンガや絵もたくさんあって読みやすく、わかりやすく書いてくれているよい本があります。これは、パートナー関係、上司と部下の関係、セラピストやヒーラーとクライアントの関係、先生と生徒の関係等々、すべての人間関係に当てはまる本でもあります。また、大好き=愛ですので、自分を愛するためにインナーチャイルドにどう触れていったらいいのかを教えてくれる自分と自分との関係の本でもあります。お勧めします。
『「子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わるほめ方・叱り方」明橋大二著、1万年堂出版』2,3もあります。お父さんへの子供への接し方のものもあります。『「忙しいパパのための子育てハッピーアドバイス」明橋大二著、1万年堂出版』

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心理や人間存在についての専門的な内容は、HPの「こころのこと」に載せていきます。



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過去のメルマガから④『潜在意識の言語は象徴的なイメージである』

2019年06月13日 | こころのこと
閲覧が出来なくなっている過去のメルマガの記事の主要なものを抜粋して載せていっています。今まで一部の人にしか話していない、伝えることを躊躇していたものもいくつかありますが、このブログでも公開しようと思い立ちました。


ただし、ずいぶん前に書いた文章ですので、今の私の表現とはもうすでに違っているところもありますし、補足、追加したいところもありますから、その部分については加筆していきます。


よろしければ、お読み下さいませ(^_^)

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メルマガ しあわせに生きるための「トラウマ心理学」
潜在意識の言語は象徴的なイメージである2013年7月

よく知られているように、人間の意識は顕在意識と潜在意識に分かれます。顕在意識は日常で普通に使っている「意識」で、潜在意識は自分でも気づいていない意識である「無意識」になります。


私が行っているトラウマ統合療法は、心を静めてゆっくりと自分の中から湧き上がってくるイメージを見ていくことで、「自分の心の奥に処理しないままにあった、もう手放してもいい思い込みや観念、それによって抑圧された思いや感情に、自分自身で気づいて受け入れて解放していく」という手法です。そして、私の手法は催眠療法(ヒプノセラピー)ではなく、イメージ療法に当たります。もっというと象徴的イメージ療法という表現がしっくりとくると思います。


この手法で、多くの方が自分で自分の心の奥に気づいて、それを癒し解放してゆかれる、とてもたくさんの様々な瞬間に立ち会わせていただきました。クライアントの皆様のお陰で、ほんとうに貴重な経験をさせていただいてきました。


そのセッション現場の体験と私自身の体験からも、潜在意識が表現する言葉は象徴的なイメージを使っているということがよくわかりました。


潜在意識(無意識)は、色んな表現を使って顕在意識(意識)に気づいてもらおうとしているのです。


例えば、周りのものを何となく無意識にじっと見ている時は、潜在意識が反応してそこに目が行っている場合が多いです。日常のことからの一例でいいますと、車を運転していたり、歩いていて、なんだか知らないけどお墓が目についてしまうという場合があったとします。それは、潜在意識(心の奥)でお墓参りをしていないことをどこかで気にしていたり、何となくお墓参りをした方がいいなあと思っている時だったりします。


私のことでいえば、かなり前のことですが、テレビを見ていて、ふとある場面をじっと目を釘付けにして見ている自分に気づいたことがありました。自分ではそんな風に見ようとしているつもりはないのに、そうしている自分に驚きました。それは、外国の港から海を映している風景でした。


私は、元々海は大好きですから、『この青い海に惹かれているんだなあ』と思いましたが、意識して改めて画面を見ていると、心が惹かれていたのは海ではなく、そこに停泊していたヨットでした。


心の内を感じてみると、『そうだ!自分はこんなヨットを所持して乗りたいんだ!』と、心の内のわくわくするほんとうの思いに気づきました。


私の顕在意識は、『ヨットなど持つのはお金がかかり、大変なこと』と思い込んでいて、かなりあきらめモード(-_-;)でヨットに意識が行かないようにしていましたが、私の潜在意識は、『ヨットっていいね。あれに乗って海を走ると、とても気持ちいいよ』と、ただただ純粋に心地よさを表現してきていたのでした。


顕在意識は色んな制限や制約を設け、観念をつくってしまい自然な流れを止めてしまいます。しかし、潜在意識はいつもただ感じたまま、ありのままのほんとうの思いを表現してくるのです。


これは、自分のインナーチャイルド(子供の頃からの「感覚」と「感情」。感じてきたものの総称)が表現しているものと同じであるといえます。不思議なことに、心の奥のありのままのほんとうの思いに従うと、物事がうまくいくようになります。


私の場合は、ヨットは買えませんでしたが(T_T)、そのようなものは手にできないというお金に対する限定、観念を外して、潜在意識の表現である『海を心地よく走る』という思いを現実にするために、海用のカヌーであるシーカヤックを買いました。おもしろいことに、私の仕事はそれから順調に行き始めたのです。


そして、潜在意識の表現を顕在意識でうまく聞くことが出来なければ、潜在意識は象徴的なイメージで伝えようとしてきます。


この伝達手段の一番わかりやすいものでいえば、眠っている時に見る「夢」がそうです。夢で見る映像は、ほとんどがそこに象徴が隠されています。これを読み取るものが「夢分析」です。


私の夢の例でいえば、ずいぶん前の一時期、大学の単位を落とす夢を見たことがあります。これを自分で分析してみたところ、『ちゃんと勉強をしないから単位を落としたんだ』という思いから(実際に落としたことは取りあえずありませんでしたが・・・f(^_^;))、今自分は『やるべきことがちゃんとやれていないと感じているんだ』ということがわかりました。


また同じ頃、水洗トイレの水があふれるという夢も何度か見たことがありました。あふれていたその水はきれいな水でした。これは、体の中で水がいっぱいになっているという象徴でした。『体の水分調節がうまく出来ていなくて排出する必要がある』ということがわかりました。その時には実際に、足がむくんだり、顔がむくむことがよくある時期でした。


そして、この水が汚れていたりしたこともありました。これは、体の中が不必要なもので濁っている時でした。また、汚い話ですが汚物が混じっている時もありました。これは、便秘だったりして『排泄で解毒がちゃんと出来ていない』という表現であることがわかりました。


また、おもしろいことに潜在意識は、よく覚えている必要のある夢の場合には、目が覚めても覚えていられるように、インパクトのあるイメージを出してくることも時にあります。例えば、誰かが自分の名前を呼ぶとか、好きなタレントが目の前に来るとか、猫が好きだとしたら、猫がしゃべりかけてくる等々、インパクトの強いイメージを覚えておいてもらいたい象徴的なイメージを出す直前に登場させることもあるのです。


それから、私のセッション現場からでは、クライアントさんに今現在の自分自身を客観的にイメージをして見てもらうことがありますが、どこかで自分の中に見たくないと感じるものを持っている人は、無意識のうちに、イメージの自分と正面から向き合わないで、横から自分を見るというイメージが出ることが多いです。


そして、その自分の中の見たくないものがさらに強いと、イメージの自分を後ろから見たりします。それがもっと強いと、後ろから見るだけでなく、かなり距離を離れて遠くから見ているイメージになります。


また、ちょっとややこしいですが、イメージの自分とそれを見ている自分という二人の自分を、さらに自分が客観的に見ているというイメージをまったく無意識のうちにする人もおられます。この場合には、もう一人自分をクッションとして入れて、見たくないものが何かを出来るだけ感じないようにしているのです。(セッションではこのような場合には、ゆっくりとどうして感じないようにしているのかその思いに気づいて、「そう感じているんだ」とそれを取りあえず受け入れていくと、その先に進めるようになります)


私はお話し会や講演会の中でも、人数が多くても、この今の自分に向き合うというイメージワークを行いますが、女性が多いある会では、多くの人がイメージの自分がズボンをはいている姿が際立って出てきたり、本人はそうでないのにガリガリで健康的でない自分のイメージを見られることがありました。この方々の潜在意識は、『自分は女らしくない』、『女らしくしてはいけない』というネガティブな自己イメージや思い込み、観念があることを象徴的イメージを使って伝えてきていたのです。


でも、その中でもある人は、静かに微笑んで安定した雰囲気を感じさせる自分が出てきて、ほんとうは自分が持っているエネルギーに気づいて、感動して涙を流された方もおられました。私が感じても確かにその人はそのような雰囲気の方でしたが、自己イメージが低くて、今までその自分を受け入れられていなかったのでした。


ほんとうに、潜在意識はイメージという象徴的な言葉を使って様々な表現をしてくれます。


もし興味がありましたら、ちょっと夢分析をしてみて下さい。自分の潜在意識に目を向けることで、夢も忘れないで覚えていやすくなりますよ。それと、夢を思い出すコツは、朝目が覚めたらすぐに起きたり、寝返りもせずに、じっとしていて『どんな夢を見ただろうか』と思い出そうとして下さい。そうすると、次第に思い出してきますよ。(人によっては、夢を見ないという方もおられますが、ほんとうは夢は必ず見ています。ここには実は、『夢を覚えていたくない』という思いが隠されています。でも、だからといってそれが悪いことではありません)


そして、夢の象徴は人によって、その意味するところが違う場合もあるので、自分の場合にはそれが何を象徴していて、何を伝えようとしているのかがわかるようになって、慣れてくると次第に、潜在意識の言葉を象徴的なイメージとして見る前に、顕在意識でダイレクトに理解できるようになります。


潜在意識は、あなたという個性に合った、あなただけのほんとうの流れを知っています。


あなたがあなたの心の内側にある自分のほんとうの思いに気づき、あなたらしいしあわせな人生を歩まれることをお祈りいたします。

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