いつも寝不足 (blog版)

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竹村雪秀『クロッシング25;』『Take On Me』

2006年03月19日 | マンガ・アニメ
『クロッシング25ツーファイブ;』は、発売直後に買ってから3年半くらい塩漬けになっていた。何と、その間に絶版になってしまったみたい。
クロッシング25;

角川書店

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しまった、もっと早く読んでおくんだった。面白い。傑作。しかし、こんな傑作が大して話題にならず既に絶版とは。世間の目は節穴? 私に見る目がない?

この作品が当初からこの長さなのか、打ち切りなどによって短くなったのかは分からないが、内容を鑑みるに、この長さはちょうど良い。連載時にはついていただろう扉なんかも全部取っ払っちゃって、作品にスピード感を与え、一気に読ませる力を生んでいる。

もちろん、この長さの故に説明が足りなかったり釈然としない部分もあるのだが、このくらいの説明不足は映画作品には良くある程度のものであって、そんな説明をくどくどしていたらせっかくのスピード感が失われてしまったに違いない。

何よりも一挙にラストまで進んでいく勢いが重用なので、読む側もワンシッティングで読み切りたい。30分もあれば読めるはず。言い換えると、連載時に読んだ人は「???」になっていたんじゃないかと思うが、如何。

話の筋は、明日を賭けて繰り広げられる戦い(@新宿 今日でも昨日でも明日でもない24時という時空の中で)に巻き込まれた主人公が、当初の無関心から抜け出して積極的に明日をつかみ取ることを選び取る様子を描いている。

「明日を賭けて」というのは比喩表現ではなく、この戦いに敗れると文字通り明日は来ない。物語の途中で明日が来ない(永遠の今日)という状況が約半年間発生するが、それまでのスピーディーな展開と比して、ここのタメが非常に上手く利いていて物語に説得力を与えている。

上にも書いた通り、説明が足りない部分はあるが、それを省いて生み出された勢いの方が遙かにまさるので問題なし。細かいことは気にせずに一気に読むべし。

そんな『クロッシング25;』を今回読むきっかけになったのが、『Take On Me』((成年コミックス)。こちらもかなり塩漬けになっていたのだが、カバーイラストが『キル・ビル』を彷彿とさせるものであることに今さら気がついて読んでみた。

Take On Me

コアマガジン

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内容は、脅迫に始まる純愛もの、乱交込み、という感じ。脅迫で始まって、乱交込みなのに純愛ものとはこれいかに、という感じはするのだが、ちょっと他の表現を思いつかない。

もちろん、エロマンガなので、内容上のご都合主義やお約束ってのは不可避的に存在するのだが、そういうものにもかかわらず、と言うか、そういうもの込みで、この作品は輝いていると思う。

こういう作品を読むと絵が上手いってのは本当に重用だと思う。イラストとしての、1枚絵としての上手さではなく、作品の目指すところを達成するために必要とされる上手さとでも言おうか。

特にエロマンガでは、そこに描かれる肉体こそが精神の表象であるから、作品を完成させるために要求される絵をものすることができなければ、お話にならない。その点でも、水準を十分に満たしている。