二男のいない食卓に緊張が漂う。
弟が久方ぶりに来ていたそうで機嫌がいいのかと思いきやビミョーな様子。
突然に畑を売ろうかと言い出した。
お金を弟に贈る腹積もりらしい。
急にどうしたのかと思ったら、弟が家の外壁がどうのみたいな話をしたからで、勝手にお金に困っているのではと気を回したようだ。
まさか、彼はしっかりした仕事を持って彼ほど安泰な人もいないだろうって私は思っている。
母親とは無闇に息子がかわいいのだ。
それはさておき、話題は隣の奥さんのファッションへ移る。
奇抜で派手な人らしくたまにその話題になり、あんな人はいないとやけにこき下ろしては、賛同を求めてくるが私にしたら全く興味もなく人の勝手でしょう以外答えようがない。
しかしそんなことをまともに言ったら怒り狂うだろうことはビシビシ伝わってくる。
弟にもこんな話をするかと変化球で聞いてみたら、黙って聞いているという。
だよね、答えようがないよなと、その話の不毛さに気づいたのか、逆にますます面白くなくなったのか、逆襲が始まり、これ以上いたら大ゲンカが予測されたのでさっさと帰ってきた。
帰りぎわ、弟なにか手みやげでも持ってきたか聞いたら、弟の娘がディズニーランドから買ってきたという一辺が10センチにも満たない菓子の箱だけで他には何もなし。
たまにくるんだから手ぶらは呆れると言ったら、弟の肩を持ち、何にもいらないだって。
弟の嫁も嫁だ。もう顔を見せなくなって何年だろう。
尻に敷かれてんだろうなあ。
優しすぎて。
顔を見せにくることが彼の
精一杯の親孝行なんだろう。
絶対にいい顔しか見せない母は弟にとっちゃ良い母なんだろう。
本性見せられてる私は、やっぱり合わないなあと、改めて思ったから、さっさと帰ってきた。
いったいなんなんだろうか、この差は。
いかに普段娘がばあさん孝行してるか、しあわせ者だ。