奥永さつき

日々のできごとをそこはかとなくつづります。

市川猿之助被告近く保釈へ 検察側の準抗告を東京地裁が棄却(日刊スポーツ)

2023-07-31 20:02:45 | 社会
 両親の自殺を手助けし死亡させたとして、自殺ほう助の罪で東京地検に起訴された歌舞伎俳優市川猿之助(本名喜熨斗孝彦)被告(47)について、東京地裁は31日、保釈を認めることを決定した。(中略)
 捜査関係者は3人が一家心中しようとしたとみている。同被告に自殺の意思があったとみられ、専門家は執行猶予が付く可能性を指摘している。


歌舞伎なんぞには興味がないし、「輪廻転生」などという馬鹿げたことを言っている人の話なので、どうでも良いのですが、この件が論理的にも矛盾しているように見えるので、あえてブログにあげてみました。
・致死量以下の向精神薬しか飲ませておらず、念を押すためにビニール袋(?) をかぶせたというのだから、どう考えても死因は窒息死です。それを向精神薬による中毒死と断定するのは不合理です。自殺ほう助罪ではなく、殺人罪が妥当だと考えます。
・猿之助被告が証拠品をゴミとして捨ててしまったから、検察は、公判を維持できないし「面倒」なので自殺ほう助罪で「お手打ち」にしたのでしょうか。不可解です。
・「捜査関係者は3人が一家心中しようとしたとみている。同被告に自殺の意思があった」のであれば、正常人の思考では、保釈したら再度自殺を試みる可能性が高いから保釈しないというのが合理的でしょう。それゆえ、「検察側は決定を不服として準抗告した」のでしょう。
・地裁が保釈を認めたということは、最新情報から自殺する可能性は低いと判断しているのか、あるいは、そもそも自殺の意思はなかったと判断しているのかは興味深いところです。そこまで考えているのか、よくわかりませんが。

猿之助は仏教に傾倒していたらしいが、宗教というのは「合理的な判断」にはマイナス要因にしかならない。この事件は、そのことを端的に示しています。

最近読んだ本_2023.7_その2

2023-07-22 14:13:05 | 社会
村上重良「国家神道」岩波新書、1970/11/27
概要
国家神道は、近代天皇制国家がつくりだした国家宗教であり、明治維新から太平洋戦争の敗戦まで80年間、日本人を精神的に支配しつづけた。本書は、国家神道の成立から解体までの過程を詳細にたどり、その構造と思想を分析して本質的性格を明らかにすることによって、神道が日本人にとっていかなる意味をもったかを追求する。(Amazon)
感想
「集団の祭祀としての伝統をうけついできた神社神道を、皇室神道と結びつけ、皇室神道によって再編成し統一することにやって成立した」国家神道の成立過程が詳細に示された良書で、現在の日本人が知っておくべきものである。

島薗進「国家神道と日本人」岩波新書、2010/7/22
概要
基本的には村上を踏襲している。
「村上の国家神道理解では、国家に支えられた神社や神職層が国体の教義や軍国主義・侵略主義の主たる担い手だったかのように見えてしまう。また、その影響力についても大きくみつもられすぎている。」ため、葦津珍彦、新田均などの右翼などが反発する。それら右翼の反論を論駁するとともに、村上がふれていない「国民こそが国家神道の担い手だったという側面」を事例をあげて論じている。
感想
明治初期に近代国家形成のために、祭政一致、祭政教一致というビジョンを掲げたが、大日本国憲法の「信教の自由」との裏表の関係をなかなか整理できなかった。しかしながら、大日本国憲法の翌年に発布された「教育勅語」がボディーブローとして効いて、下からの力で維新政府の目論見は達成されたようだ。
敗戦によりどうなったのか?
「実は国家神道は解体していない(p. 185)」
その多くが明治に始まった「皇室祭祀」は、「私的」という建前で継続されている。国家神道の大本はそのままということである。国民は「建国記念の日」「天皇誕生日」「春分の日」「昭和の日」「秋分の日」「文化の日」「勤労感謝の日」として、皇室祭祀を支えていることになる。
今上の後は国民に不人気のようだから、この機会に立憲君主制から共和制に移すのが良い。



最近読んだ本_2023.7 辻田真佐憲「「戦前」の正体」講談社現代新書、2023/5/18

2023-07-13 19:50:20 | 社会
「はじめに」
いうなれば本書は、神話を通じて「教養としての戦前」を探る試みだ。(p. 7)
いずれにせよ本書は、過度な細分化で物語を否定するのでもなく、かといってずさんな物語でひとびとを煽動・動員するのでもなく、両者のあいだの健全な中間を模索することで、目の前の現実に役立てることをめざしている。(p. 10)

結論としては、
現実的な落としどころは、日本は六割五分ぐらいよくやったというところにあるのではないか。日本は問題とされる行動をしたけれども、全体的にみれば欧米列強の侵略に対抗して近代化・国民化を成し遂げた。(p. 286)
戦前とは言い換えれば、国民的な物語で及第点を出した時代である。したがってそれを超克しようとすれば、別の国民的な物語を創出するほかない。(p. 287)


感想
・著者の得意とするサブカルチャー関連の話題以外には特に目新しいものはない。
・立憲制を確立するにあたって、西欧のバックボーンである「神」に代わるものとして「天皇」をもってきた(三谷太一郎)と、同様な考え方だろう。
・65点を付けていること、参考文献が右寄りに偏っていることから、左右中立ではなく、「日本はちょっと悪かったこともしましたが、致し方ないでしょう」的な右寄り史観と言える。
・デュメジル・吉田敦彦の三機能的構造論は極端としても、日本神話とギリシャ神話・スキタイ神話や東南アジアの神話との類似性はつとに知られていて、細部に独自性(物語)があるにせよ、「日本が一番」ということにはならない。紀元は660BCで、古事記によれば神武は137歳まで生きたから、ピタゴラス(530BC頃活躍)より少し前の人だったことになる。神武とピタゴラスの知的レベルの差は歴然。「日本神話」で踊らされた維新期国民の知識レベルが低かっただけだ。
・歴史にIFはないが、天皇制でなければ「欧米列強の侵略に対抗して近代化・国民化を成し遂げ」られなかったとは言えない。評価点は日本からだけの視点でグローバルなものではない。
・「別の国民的な物語」でまとまりましょうなんてのは、ごめん被りたい。一人一人が理性に基づいて生きる意義を持ち合わせていれば、それで十分で、「国民的な物語」がなければ外敵の侵略から守れないというのであれば、所詮が三等国で、「戦前」の焼き直しであろう。


プーチン氏とプリゴジン氏の会談、「小説より奇なり」 BBCロシア編集長(BBC)

2023-07-12 20:37:17 | 社会
プリゴジン氏は反乱を起こしたにもかかわらず、足かせをはめられ警察署に連行されなかった。それどころか、反乱5日後にはワグネル指揮官らとともにクレムリンにいた。そこでテーブルを囲んで座り、プーチン氏とおしゃべりしていたというのだ。
予想外の展開と謎だらけで、その点においてはただでさえドストエフスキー作品以上だったワグネルの物語に、もうひとひねりが加わった。(BBC)

<「プリゴジンが行方不明」と世界が探していたというのに、反乱のわずか5日後にクレムリンでプーチンと会談をしていたプリゴジン。いったいあの武装反乱は何だったのか
ロシア政府は7月10日、ウラジーミル・プーチン大統領が民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンと6月29日に会談していたことを明らかにした。プーチンがプリゴジンを「裏切り者」と非難してからわずか数日後に会談が行われていたことが判明し、「プリゴジンの乱」をめぐる謎はさらに深まった。(Newsweek)


謎でも何でもないですね。
6/24に小ブログが見立てたことが行われているだけ、それは「情報」がない素人でも理詰めで考えれば察しが付く。新型コロナ騒動でも見られたように、「専門家」と言われる人が信頼できないということがこの件でも明らかになったようです。

岸田政権、今度は〝退職金増税〟勤続20年以上が標的!?「いまになって長期で安定した働き方否定…倫理的にも問題」識者(夕刊フジ)

2023-07-08 19:45:44 | 社会
どこまで苦しめれば気が済むのか。「増税」や「負担増」の議論が相次いで浮上する岸田文雄政権で、今度はサラリーマンの退職金が狙われている。終身雇用や年功序列など日本型の雇用慣行の転換を図ることを大義名分として、退職金への課税制度の見直しが検討されているのだ。標的になるのが、同じ企業に20年以上勤めるサラリーマンで、税制優遇措置の縮小や撤廃が予想されている。「退職金増税」は定年後の生活に大打撃となりかねない。(夕刊フジ)

財務省の言いなり、日本型社会主義をさらに進める政権に対して、有権者は”No”の声を張り上げてゆく必要があると思います。
解体した自民党と、維新・国民民主で、米国の共和党・民主党に対応する二大政党ができることを望んでいますが、無理筋でしょうか。