ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/09/09 皇室は古典芸能の家と同じか?

2006-09-09 23:58:27 | つれづれなるままに
9/6の秋篠宮家の男子誕生。確かに紀子妃はあの年齢だし前置胎盤という大変な状況だったのを帝王切開というのは同じ女性として大変だったとは思う。そして無事に生まれたというのもよかったことだとは思う。
しかしながらそれからの異様な盛り上がりに私の気分は沈みっぱなし。「日本ってかなり男尊女卑の国だったんだ」といやがおうでも痛感させられる。上の女の子お二人と皇太子の家での女の子とはあまりにも違いすぎる。こんなお祭り騒ぎは起きなかったと記憶しているが一体なんなのだろう。お祭りしていた人に上のお子さんの時には同様にやったのか聞きたいぐらいだ。

女性天皇が何人もいたことがあるのだ。「皇室典範」の男系しか天皇になれない規定など明治以降のことだし、そのたかだか100年くらいのことを日本の伝統という輩がいるのもあきれていた(女性の論者もいるのが嘆かわしい)。皇室にはこの41年間男子が生まれず、皇位継承の安定的なしくみづくりということでしぶしぶと見直しの動きが始まっていた。諸外国の王室では男女平等という国際的な流れもあって男女を問わずに第一子を皇太子というように継承制度を見直している国が少なくない。女子の後から男子が生まれても変更されることはない。その程度の見直しの方向性が出されると、反対論とか慎重論とかがたくさん出てきてしまってあきれてしまう。それが今度の親王の誕生で当分見直しの必要がないということで先送りにされる気配が濃厚だ。
あのお祭り騒ぎも、面倒くさい論議なしに世継ぎができたことがめでたいということだったのだろうか。また皇室がずっと安泰に続いていくことは嬉しいことなのだろうか?

マスコミもお祭り騒ぎしすぎだと思う。それでこんなに「戦後、象徴天皇制が根付いた」とかなんとかコメントもあったが、自然と根付いたのではないのではないかということを問い返したい。
フェミニズムの旗手、上野千鶴子氏がこの問題をどう思ったかを書いた文章をずっと前に新聞で読んだが、皇室での男女平等問題を論じることは軍隊でのそれを論じることと同じで意味がない。権力装置自身の存在意義を問う方が先というような内容だったと記憶している。虚をつかれた。確かにその通りだと思った。
しかしながら現在の日本で皇室をなくすという政策を掲げているところはない。当面は続いていくであろう皇室の皇位継承が男子のみというのは国際的にみても時代遅れだと思う。
さて、この見直し論議はどのくらい先送りされるのだろうか。40~50年か。それならば私はもう生きていないだろうな。

さて、タイトルに書いたことについて。
日本の伝統芸能においてはアメノウズメノミコトの神話にもあるように女が舞い踊ってきた。それが次第に権力者によって風紀が乱れないようにという規制がかかり舞台に女を上げないということになってきた歴史がある。狂言師には女性も登場してきているが、能や歌舞伎では男性のみの伝統が守られている。それも見直すべきだという論者もあるようだが、私は様式性を重んじるものは男性のみでの上演を続けていく意義が大きいと思う。もちろん女優を起用するという舞台があってもいいと思っていて、それはそれで新しい取り組みとして可能性を否定する必要はない。
だからそういう古典芸能の家で男子が芸を継承していくという伝統は不可避であろうと思う。しかしそれでもどうしても自分は継承したくないということであればしなくてもいいのである。その家に生まれた女子の疎外感の大きいこともまた不幸なことだと思っている。そういう女性の葛藤の中で新しいものが生まれてくることも今後あるのではないかと注目はしていきたい。

皇室はそういう古典芸能の家と違うはずだ。「男子しか継承できない」という必然性はないと思う。
しかしながらそういう論議を避けることのできるラクな道を40~50年歩める状況ができてしまったことがどう作用するのか。それを見守っていかなければならない。

今日9/9は重陽の節句。菊に長寿を祈る日らしい。
日本文化いろは事典より「重陽の節句」
写真は菊ではなくて百日紅の花。我が家の隣の「すこやかプラザ」の敷地に枝がしなるほど花が咲いた木が2本並んでいる。出かける前に自転車を停めてしばし撮影。蜂が飛んでいるのが怖かった。蜜が美味しいのかな。
追記
①文中で「男子のみの継承」と「男系のみの継承」の用語の使い方が厳密ではありません。すみませんm(_ _)m
②「男系のみの皇位継承」は日本の「伝統」だから男尊女卑ではないという言い方があります。「伝統」であればイコール男女不平等でもかまわないという論理はおかしいと思います。「伝統」は守っていった方がよいものと改革していく方がいいものと両方あるからです。男系=Y染色体の継承を重んじるということ自体、大昔男女差別がなかった時代から私有財産制度が始まるとともに生まれてきた男女差別なのです。日本において男性のみで担われている伝統芸能のようなものとは違って、皇室の男女不平等という伝統はそろそろ改革すべき時代を迎えていると考えます。


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
同じ子供でも (お茶屋娘)
2006-09-10 06:44:47
祝われずに虐待されていく子供もいるのにね。





歌舞伎は、男性の、大人のみでやることになってから、演劇として完成されたんだそうです。女性や若衆では、どうしても見た目重視、媚を売る芸能になってしまいがちですから。





春猿さん出演の「Dの劇場」で、歌舞伎座の裏側も取材されてましたが、衣装や床山さんなど女性も大活躍でした。
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存続・・・ (すみよし)
2006-09-10 10:14:21
こんにちは、お久しぶりです。

皇室の系譜そのものがかなり怪しいと思っているのですが、勘違いされているようなので今まで女性天皇はいらしても「女系」天皇はいないということなのです。

女性天皇も男系女子なのですよ。



沢山の男性皇族のいらした時代はつい先ごろなのにお子様がお生まれで無かったり女性だったり。

40年後のことと言っていていいのかとおもいますが「夫婦別姓」の時代突入で女系天皇を受け入れる下地ができる、でしょうか。



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早速のコメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2006-09-10 12:41:48
★お茶屋娘さま

娘にきいた話です。「五体不満足」の乙武さんのブログでやはり「子どもが生まれたのがめでたいのか男の子が生まれたからめでたいのか」というようなことを書かれたら賛否両論で千を超えるコメントがついて炎上中と。2チャンネルでもすごいことになっているらしい。

http://sports.cocolog-nifty.com/ototake/2006/09/post_fa1a.html

今のぞいてきたけれど、言葉が足らなかったことについてのお詫び記事も続いてました。

戦後、宝塚でも男性を入れる試みがあったけれど陰コーラスまでで舞台に登場させるところまでいかなかったらしい。歌舞伎もそうだけど、アジア人の男女の性差の少ない身体を活かしたこういう芸能のよさはずっと続けていっていただきたいです。

★すみよし様

>女性天皇も男系女子.....は知ってました。記事の中で「男系」とか「男性しか」の用語の使い方が厳密ではなかったですね。ご指摘有難うございます。確かに過去の女性天皇は適任な男性皇族の成育を待つための

中継ぎ的な存在だったと思います。外部の男性と結婚した女性天皇のお子さんが継承されることは確かになかったですよね。後水尾天皇に嫁いだ徳川二代将軍の娘和子が産んだ明正天皇も結局そこで終わりだったですよね。

>40年後のことと言っていていいのかとおもいますが.....やっぱりそうなんでしょうかね。この気持ちの悪い制度の見直しはそんなに先になってしまうのでしょうか。男女平等でない皇室を象徴としていただく日本における男女平等は遅々としてすすまないはずだ。

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改正は見直しですか・・・ (あいらぶけろちゃん)
2006-09-11 22:06:56
TBを試みて自分の方ではできたことになってるのですがどうも反映されないようです。

ぴかちゅうさんと同感です。親王誕生翌日の昼のワイドショーで「典範改正問題」について視聴者に電話アンケートをとった結果「今のままでよい」30数%「愛子さまを天皇にするべきだ」60数%でした。北野大さんは「いやぁ~、今のままでよいという方が多くなると思っていたのですが」とコメントしてました。TVも政府見解の方に誘導したいんだなとうがった見方をしてしまいました。一般国民の方が冷静だと感じました。
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有識者会議を男子男系派でいきたいって..... (ぴかちゅう)
2006-09-12 00:14:19
★あいらぶけろちゃん様

TVの電話アンケートの情報を有難うございますm(_ _)m

まあこういうアンケートも割り引いて見ないといけないと思いますが、北野大氏の思ったような結果になるほど男尊女卑意識を持った人が多くなかったということでしょうか。少しは希望が持てました。

それにしても自民党総裁最有力の阿部氏は「皇室典範」見直しの有識者会議を男子男系派のメンバーを多数派でいきたいって言っているらしいですよ。まあ、あらゆる審議会とか有識者会議もどんな考えの方が選ばれるかにかかってますからねぇ。憂いは続くなあ。
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★「JOCV セブねっと」のTKさま (ぴかちゅう)
2006-09-13 20:41:18


TBを有難うございました。

元青年海外協力隊ということで海外での経験から、日本の男女不平等社会について考えられた記事の内容、大変勉強になりました。フィリピンでは伝統的に母系社会の名残からか女性の頑張りは仕事も家事もという頑張り方のようですね。それも問題があるとは思うのですが、日本は象徴としていただかされている皇室がこういう有様ですからね。溜息が出てしまいます。

今後ともどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
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丁寧なコメントありがとうございました。 (練馬のんべ)
2006-09-14 02:58:50
ぴかちゅうさま

この時季は季節の変わり目、喘息が辛いことはよくわかりますので、どうかお大事になさって下さい。自ブログでもそれ以上のコメントはいたしません。
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複雑です (らぶりー)
2006-09-14 16:46:51
我が家は皇室のおめでたいニュース報道みているものの・・・子供がもてないものとしてせつないです。雅子さまのことも含めて・・・イライラがつのりいらぬ喧嘩もしましたよ~

人の命って・・と考えます
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皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2006-09-14 22:19:29
★練馬のんべ様

TKさまのブログのコメントで横からいれさせていただいたコメントに対してわざわざ一本記事を書いていただきまして、恐縮でございますm(_ _)m

あなた様のブログのサブタイトルにも正直びっくりしました。日本においても家制度がなくなってきて(全てなくなってはいないと認識しています)社会として少しずつは進歩していると思っておりますので.....。やりとりをしても価値観が違いすぎるので気力体力の消耗も激しいことが予想されるのでこれ以上のやりとりは控えていただくようにご高配いただきました。有難うございましたm(_ _)m

★らぶりー様

子どもが欲しいのにできない不満をパートナーさんにぶつけられてしまったのでしょうか。せつないですね。でも一度きちんと話し合う必要があるんじゃないかしら。

皇室でいえば、イギリスにはエリザベス女王の兄が「王冠を捨てた恋」を選択されたということもあり、いろいろな生き方を選択するということも許されるべきです。皇太子一家がその立場を返上するなど思い切った生き方の選択をされたりしないかと楽しみにしているくらいです。それくらいしないと雅子妃の適応障害は治らないんじゃないかな。妻のために今の地位を捨てるくらいの覚悟を皇太子も持ってみたら~なんて、皇室廃止論者なので過激な案を考えてしまいました(^^ゞ知り合いに話したら同意見だと盛り上がって嬉しかった~。

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お久しぶりです (くーみん)
2006-09-15 22:15:13
何か、あちこちですごいことになっているんですね。

オトさんのブログも今、見てきましたが。

はっきり言って、騒いでいたのはマスコミだけで、一般人は至極冷静、盛り上がってなんかいないですよ。

株が上がるの下がるのって、笑っちゃいます。

昔、出産雑誌の関係者と話したことありますが、皇室の出産があっても、庶民は触発されて出産ブームなんて、ないんですって。



新聞も、おもしろかったです。次の日のゴジラ復帰の扱いのほうが、大きいんだもの。

なんだかんだといってもね、それが国民の本音。

白けきっています。

信じらなかったのは、出産された次の日に、「第4子を」なんて言う主治医の感覚でしょう。周囲に言わされているのかもしれませんが。



以前、子馬を出産した1週間後に、もう種付けされたサラブレッドの母馬の映像を見て、こちらの体が痛みました。それと同じ扱いじゃないですか。



権力の渦中にいる人たちも、悲惨です。
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