ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

05/05/22 『レ・ミゼラブル』石井一孝千秋楽!

2005-05-22 23:45:58 | 観劇
昨晩、別所哲也ラクの感想をあわてて書いたが、続けてバルジャン=石井一孝の千秋楽の感想を書く。今年の帝劇公演で4回目の観劇。今日は娘と一緒に観た。
以下、キャスト評
ジャン・バルジャン=石井一孝
前回の公演からの配役。前回は1回だけ観て、まだまだバルジャンを演じるには若すぎるなあという感想。『ミス・サイゴン』では終盤、喉を痛めて高音部が出ないひどい状態だったので、今回は長丁場大丈夫かとちょっと心配だったが、その時の経験から学んだのかこの千秋楽はとてもよかった。出だしは低音部を駆使する歌が多いが、彼は中音~高音部をきれいに歌う声域なので低音部はちょっと不安定。感情移入が強いタイプなので「独白」のところでもう涙で、これから大丈夫かハラハラした。ところが「フー・アム・アイ」の名乗り出ようかどうしようか一人で悩み苦しむところがすごくよかった。顔の表情も全身も悩み苦しむ感情が上手く歌に乗っていて、見直してしまった。次にファンテーヌが死んだベッドの脇でジャベールと「対決」する二人のかけあいが歌も芝居も迫力たっぷりでよかった。その後の高音部を活かす歌は全て安心して聞くことができて、彼の成長を喜んだ。
ジャペール=岡幸二郎
前回の公演からの配役。前回、本当にゾクゾクするくらい冷たい魅力たっぷりだったので、別所・岡でもう一度観たのだった。今回もなかなかよかった。初めて石井・岡コンビで観たが、同じ公演から『レ・ミゼ』デビューをしている二人が対峙するシーンは遠慮も何もなく力を出し切って四つに組んでいる感じがして見応えがあった。休憩時間に会った友人から岡幸二郎が木曜日に体調をくずしてカテコにも出られずに救急車で入院したのだとのこと。金曜土曜はもともと休みの日で今日の公演がジャベールの千秋楽だったのが出演できたからよかったという。だから今日は少しオーラが弱かったのかと納得した。
ファンテーヌ=シルビア・グラブ
今公演からの配役。『エリザベート』のマダム・ヴォルフが印象に残っている。それ以外の役は初めて観る。歌は上手いが、出だしの声から低かったのでファンテーヌのイメージから遠い感じがした。何かいい役はないものか。
エポニーヌ=新妻聖子
前回の公演からの配役。『ミス・サイゴン』のキムもよかった。歌は上手いが、「オン・マイ・オウン」は感情をのせすぎてちょっと重たすぎる感じがした。最後の砦で死ぬシーンでは、顔や首まで血のメイクをつけていて、マリウスがコートを広げて大怪我に気づいても大方のエポは相手にあまり見せたくないからコートの前を閉じる芝居が多いが、開いたままにして歌っていた芝居が珍しかった。でもそっちはあまり好きではないな。要研究でしょう。
コゼット=河野由佳
剱持たまきと同じく前回の公演からの配役で、容姿もコゼットとして申し分なく、コゼットの難しい歌をクリアしている貴重な人。剱持がきれいでやさし~い感じのお嬢さんとすると、河野はもう少し凛とした感じのあるきれいなお嬢さん。タイプの違うお嬢さんでどちらもありという感じ。この二人には今後も続けてほしい。
マリウス=岡田浩暉
前回の公演からの配役で、彼のマリウスはかなり好きなのだが、なぜだろうと考えながらみた。わかった。徹底的に恋愛に初心な役作りがいいのだ。エポに♪「この髪好きだわ」♪と髪を触られた時に緊張して♪「なんだよふざけて」♪とパッと手をはねのけた。他のマリウスはもっと笑って受け流す芝居が多い。この初心な青年がコゼットと出会って「燃える太陽の矢が胸にとびこんだ」と歌うから可愛らしいのだ。元々歌手なので歌もうまく、「エンプティ・カフェ」などは絶品だった。
アンジョルラス=東山義久
『エリザベート』のトートダンサーからの抜擢。かなりイケメン系でビジュアルはいいし、身体の動きもいい上に、歌が予想以上に上手かった。小柄なのと若い感じなので他の学生よりも下級生だけどリーダーという雰囲気だった。
テナルディエ=佐藤正宏
今回の公演からの配役。ワハハ本舗の佐藤氏である。顔のメイクは悪人顔でなかなか芝居も細かい。歌もまずまず合格というところ。森久美子の妻と組んだコンビの感じもまあまあ面白い。今後も続けてほしいキャストだ。
テナルディエ夫人=森久美子
「この家の主」のところでもお客に胸の間にお金を入れさせていた。若手アンサンブルの中でも姐御という貫禄十分。

石井一孝の千秋楽公演の特別カーテンコールがあった。今日は昼も夜もレギュラーキャストの千秋楽公演なので兼用のパネルが降りてきた。来年4月帝劇公演決定とでかでかと書かれていた。
司会はやはり森久美子。東山義久、河野由佳、岡田浩暉、佐藤正宏、岡幸二郎、石井一孝に挨拶をしてもらった。河野由佳は3時間15分の上演の中で30分くらいしかコゼットの出番はないが、しっかりと生きているコゼットを見せたいと思い入れの強さを語って森久美子に巻きを入れられてしまっていた。佐藤正宏も『レミゼ』はでっかい鯨のようで、いつまでたどって行っても「くじら、くじら」「レミゼ、レミゼ」だと。ワハハの佐藤氏も作品が大きすぎて役を掴みあぐねたということか。シルビア・グラブは18年前にリトルコゼットのオーディションを受けたが落ち、聞きたい、観たい、やりたいと思い続けて今、この舞台に立っていて、あと10年くらいしたらテナルディエ夫人をやりたいと言っていた(18年前って本当?)。
岡幸二郎は挨拶で感極まって2度ほど言葉をつまらせてしまった。体調をくずして今日出演できたことで万感胸に迫るものがあったのだろう。さらに1994年2月の中日劇場の『レミゼ』で参加し11年たち、前回公演よりのジャベールだったが今回はさらに自分のものにすることができたというようなことを言っていた(と思う)。「でも24日には『若返り』という大仕事が待ってますので」とスペシャルバージョン公演でのアンジョルラスでの出演にかける意欲を表明していた。
石井一孝の挨拶でも、1994年2月の中日劇場の鹿賀さんや滝田さんがバルジャンだった『レミゼ』から参加し、今は違った役をやっているが、皆さんのおかげでここまでやってこれたとあちこちに御礼していた(『ミス・サイゴン』の終盤で喉を痛め、それを起用し続けてもらったプロデューサーへの御礼をまず言って批判されたサイゴン千秋楽の轍を踏まなかった)。挨拶の最後に岡幸二郎とお互いの腰に手を回して客席にともに挨拶。特に先に体調不調によるつらさを経験した者として今回の岡の体調不調のつらさが深く共感できるという気持ちがよく現れていた。94年コンビの精神的絆の強さを感じた。これからも支え合って、『レミゼ』の屋台骨を背負っていってもらいたい二人だ。

次回は5/24の2000回記念公演を観る予定。
写真は東宝のウェブサイトより。
追記:この公演終了後、娘を連れて歌舞伎座へ。夜の部を幕見できたら見せてやりたかったが、150人定員のところ、すでに200人が並んでいるというので、舞台写真入り筋書だけ買って帰る。途中、初クレムリ!牛乳の味が濃厚なソフトクリームに二人で「美味し~い」。歩かせたが文句が出なかったのは言うまでもない。

夜、教育TVで森光子の『放浪記』をビデオ録画した。その前に綜合TVでやっていた特番も録ればよかったと思ったが、まあ特番は後から観たりしないだろうからまあ、いいか。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やっぱり (ももんが)
2005-05-23 03:36:10
『放浪記』へのコメントなさってましたね。NHKスペシャルは、観る価値のあるものになっているようですよ。わたしは、再放送を録画するつもりです。
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NHKスペシャルも録画しようかな (ぴかちゅう)
2005-05-23 10:13:31
「観る価値は大いにあります」と、ほとんど観た私が言う。舞台を録画したビデオに続けて、再放送のNHKスペシャルも録画しようかな。NHKのHPで調べたら

5月22日(日)放送の「森光子 『放浪記』大いなる旅路」の再放送は 5月25日(水)午前0:15~1:07(24日(火)深夜の放送です)とのこと。

[番組ホームページ] http://www.nhk.or.jp/special/

うう、忘れないようにしなくちゃ!

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そう、忘れないようにしなくちゃ! (ももんが)
2005-05-23 13:51:53
 そうなんだ、ご覧になったのですね。私は新聞等をチェックしていなくて、NHK教育を観ていたんです。新日曜美術館の放送前に、テレビ映像に登場した林芙美子が放送されていて、へえと思いながら観ていたら、その後『放浪記』がありました。



 わたしの中では、森光子と林芙美子、ちょっと離れて菊田一夫がいる、というようなイメージが出来上がったのですが、そういう「昭和」の話、これから演じることができる俳優はいるのだろうか、いや、『放浪記』じたい、「ポスト森光子」はあるのだろうか、と思ってしまいました。



高校の時、「風琴と魚の町」が教科書に入っていたのを覚えています。
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岡ジャベ (みゆみゆ)
2005-05-23 18:34:13
私は3月に山口・岡で見ました。

それ以来、岡さんが喉や体調を崩されたというお話だったので、とても心配していました・・・。

特に木曜の救急車騒動は・・・。

心配で心配で祈ってました。

でも、千秋楽は無事に終わって何より・・・。

言葉を詰まらせたのも、なんだか私まで言葉が詰まります・・・。

次はできれば大阪、そして名古屋公演を見たいと思います。

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わかりやすい解説です (ばなな)
2005-05-23 20:17:37
石井さんについて、あたっていますよね・・文が具体的で、わかりやすいです。石井さんと岡さんには、期待も込めて、そして親?ごころで、同じようなこと思っています。シルビアさんのコメントは、ツボにはいりました。<笑>
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TBありがとうございます♪ (plum56)
2005-05-24 23:22:33
ぴかちゅうさん、はじめまして。

レ・ミゼ千秋楽のTBをいただき、ありがとうございました♪

早速うかがわせていただきました。



詳細なキャスト評が、なかなか帝劇に遠征できない地方在住には嬉しいです。

岡さん以外にも、出来が気になっていたシルビアさんが書かれていたもので。



タナボタ企画のゲスト出演の様子を見る限りでは、

彼女の場合、歌にパンチが聞いたパワフルな役のが

しっくりきそうですね。

10年後のテナルディエの妻が実現したら

是非とも観てみたいものです。
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いよいよ2000回目前ですね (flyingcat)
2005-05-27 01:15:55
まず、先日の『レミゼ』山口バージョンCDの感想ですが…私が連れて行っていただいたときとキャストがだいぶ違っていたので新鮮でした。同じ役でも役者さんが変わると印象が変わりますね。森久美子さんなんて迫力満点でぴったりだと思いました。そして山口さん!やっぱり素敵ですねw コゼットに語りかけるシーンの甘い歌声にクラクラです。



現在の公演はいよいよ2000回目前ですね

最近もご覧になっているようでうらやましいです。スペシャルバージョンの感想も楽しみにしています。
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コメント、TBいただいた皆様へ (ぴかちゅう)
2005-05-27 14:47:11


皆さん、ありがとうございました。

ももんが様

再放送の「森光子 『放浪記』大いなる旅路」は『レミゼ』2000回公演に行って娘とご飯を食べて帰宅したら12時半くらいになっちゃって冒頭の録画がかけてしまいました。でも一応ブログに書くつもりではいます。



みゆみゆ様、雑記帳のplum56様、ばなな様

岡さん、体調悪くても声は出てるし、降板は絶対しないと思ってました。森光子さんのドキュメンタリーでも肺炎で病院から舞台に通ったっていうエピソード出てきました。

それと、シルビアさんは歌上手いと思います。でもファンテーヌは今のところハマッているとは思えなかったんです。正統派の歌い方をもう少し極めていただいたら強い女性の役、たとえばエリザベートとかできないかなあっていろいろ考えてしまいました。



flyingcat様

少しずつ書きますから、よろしくね。

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