【仮名手本忠臣蔵】Bプログラム
<七段目 祗園一力茶屋の場>
この場面の配役は以下の通り。
大星由良之助=仁左衛門 大星力弥=新悟
寺岡平右衛門=橋之助 おかる=孝太郎
斧九太夫=山左衛門 鷺坂伴内=松之助
2007年2月の歌舞伎座の通し上演の時の7段目(後半)の記事はこちら
今回Bプロにしたのは七段目の仁左衛門の由良之助が観たかったから。前回の七段目は仁左衛門と玉三郎の兄妹コンビが素晴らしく吉右衛門の由良之助という大顔合わせを堪能。
今回は祗園一力茶屋も間口が狭く、見立てのお遊びの場面もカットされていて少々寂しかったが、目隠し姿の仁左衛門の由良之助が登場して第一声を発声しただけで一気に華やかさが劇場いっぱいに広がった。これが観たかったのだ!お茶屋でしたたかに酔って遊んでいる時の声の艶のある軽やかにうっとりしてしまう。平右衛門に「足軽ではのうて口軽どのじゃの」と目尻を下げながら軽口をたたくところも可愛い~。
新悟の大星力弥はちょうど実年齢と同じということだが、若く美しくいい力弥だ。うっかりと大きな声でしゃべって由良之助が謡いでごまかすが、仁左衛門の謡の声もまたいい。七色の音使いの声も大きな魅力!!
山左衛門の斧九太夫はいい役がついたなぁと見ていたが残念ながら家老だったという雰囲気まではなかった。
孝太郎のおかるはさて七段目はどうだろうとじっくり見せてもらったが、これが予想以上によかった。女郎といっても太夫格まではいかないが若くて可愛く勤めに出て長くなくてすれていない雰囲気で、「ここのおかるも合格~」と嬉しくなった。由良之助の文を手鏡で盗み読みするところでかんざしが早く抜けて紐が着物にひっかかって次に落ちるというアクシデントが起きた竹本とツケの音で落ちたことにして由良之助の台詞になったので特に問題なしだったが、やっぱりまだまだ慣れてないのかなと思った。
仁左衛門の由良之助が孝太郎のおかるにじゃらつきながら秘密を知ったかどうかを確認する場面が実に見ごたえあり。さぐりの入れ方が実にうまいのだ。京の花街で遊び慣れている風情が嫌らしくなく漂い、これではおかるも口をすべらせるだろうと納得。惚れたからと身請けを持ちかけ、3日だけでいいと喜ぶおかるに「そんなに嬉しいか」と殺してしまわざるをえないことにおかるには見えないように哀れを滲ませるところも切ない。
また橋之助の平右衛門も明るさいっぱいの奴さんという感じで思った以上によかった。孝太郎のおかるとの兄妹のバランスもよく、再会からおかるが死を覚悟するところまでの場面も堪能。特に孝太郎はこういう大きいお役がきて化けてくれたと嬉しかった。
平右衛門とおかるに待ったをかけて鶯色の着物で登場した仁左衛門の由良之助が「心底見えた、平右衛門には東の供を許す」からは張った声がまたよく響く!獅子身中の虫と九太夫を成敗しての幕切れ。
色気と哀れと抑え目の憤怒の表情や義太夫がしっかり入った台詞回しの仁左衛門の由良之助をしっかり堪能させてもらった。歌舞伎座の大きな舞台でも是非観たいと切望する。
写真は公式サイトより今回公演のチラシ画像。
10/12Bプロの5・6段目
10/12Bプロの11段目
お薦めいただいた「平成中村座」Cプログラム、
おかげさまで無事に観てくることができました。
Cプロでは仁左衛門さんは本蔵だったのですが、
由良之助も素敵だったようですね。
ああ・・・こちらも観たかったなあ。
とても見ごたえのあるお芝居でしたので、
他のプログラムが観れなかったのがとても残念です。
勘平とおかるは全くの未見なので、
いつか観ることができるといいな、と思います。
今回は、本当にありがとうございました。
また機会がありましたら、是非観劇をご一緒させてくださいね。
大作レポ、一気に読ませていただきました。
併せて、昨年の歌舞伎座の通し上演のレポも再度一気に(笑)拝読いたしました。
今、大星由良之助を演じられるツートップは吉右衛門さんと仁左衛門さんと言われていますが、そのお二人の由良之助を通しでご覧になったぴかちゅうさんはお幸せですね。
そして、そのぴかちゅうさんがこれだけ絶賛されているのですから、やはり今回の仁左衛門さんの由良之助はほんとにすばらしく、私なんかがポ~っとなるのは当たり前ですよね(笑)。
見た目の美しさ、男の色気はもちろん、様々に変わる声の表情や細やかな心情の表現など、何度でも観たいくらいでした。
「歌舞伎座さよなら公演」に必ず入るであろう『仮名手本忠臣蔵』。叶うならば、昼夜でキャストを変えて、仁左衛門さんと吉右衛門さんの由良之助競演を観てみたいです。
勘三郎さんはこのような古典をもっとしばしば出してほしいですね。また多くの幹部俳優と共演することにより、息子たち勘太郎さん、七之助さんにも大変刺激になり勉強にもなると思いますから、是非企画マンの勘三郎さんに次の素晴らしい公演の企画を考えてもらいたいものです。
橋之助さん、孝太郎さんも頑張っていましたが、私はこの二人は別のプログラムの方がもっと真価を発揮して成長振りを見せていたと思います。
それにしても、平成中村座のチケットの高さは何とか再考して欲しいですね。
遅くなりましたが、TBをうちました。
仁左衛門さんの由良之助・・恐らく今回の前が松竹座でやった時でしょうか?ぜひ歌舞伎座でも見たいですね。
私の方は気力体力財力の関係で「平成中村座」はBプログラムに絞っての観劇だったのに、初日が開いてからCプロの評判のよさに譲渡サイトをのぞく未練の日が続き、やっぱりあきらめました。おかげさまで恭穂さんのレポで観た気になれました。有難うございます(^^ゞ
私の予感なんですけど、今回の4プログラム全部を収めた「平成中村座忠臣蔵箱」とかいってDVDセット出るんじゃないかしら。出ると我慢できずに買ってしまいそうです。
★「地獄ごくらくdiary」のスキップさま
昨年の歌舞伎座の通し上演の時の記事も再度お目通しいただきまして大変嬉しいです。
吉右衛門・仁左衛門のおふたりはお名前に右と左が入っていて江戸と上方の歌舞伎の魅力をそれぞれ濃厚に見せてくれる今が見頃の役者だと思っています。
>昼夜でキャストを変えて、仁左衛門さんと吉右衛門さんの由良之助競演......夢のキャスティングですね。そうなったらいいなぁ。それと三大狂言で近年通し上演がされていない「菅原伝授手習鑑」をリクエストしたいです。菅丞相=仁左衛門、源蔵=吉右衛門、松王丸=團十郎で是非と思っています。
★六条亭さま
全プログラムをご覧になってのまとめ記事のTBを有難うございますm(_ _)m私は「平成中村座忠臣蔵箱」とかが出ないかなぁと念じているところです。
平成中村座のチケット代の高さは私にとっては尋常ではなく、今後も演目によって厳選して観に行くことになると思います。
>是非企画マンの勘三郎さんに次の素晴らしい公演の企画を考えてもらいたい......同感です。歌舞伎座さよなら公演で一つ、歌舞伎座建て直し中も帝劇あたりで何か一つ、とか勝手に期待しているところです。松竹も東宝に頭を下げて一年に一回くらい帝劇を借りて帝劇歌舞伎を再現して欲しいと思うのは無理なことでしょうか。
★みゆみゆ様
スキップさんの配役案のように吉右衛門との共演で通しというのがいいかもしれないと私も思っています。それと菅丞相を通しでやっぱり観たいですよね!