ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/09/28 TVで平成中村座NY公演「法界坊」

2007-09-29 23:59:07 | 観劇

ついにNHK教育TVで「平成中村座ニューヨーク公演2007“法界坊~隅田川続俤~”」を観られる日がやってきた!前回の「夏祭浪花鑑」も同様にTV鑑賞。
友人が転職の合間にちょうどその時期のNYに短期の勉強に行っていたので、メールで観劇をすすめて当日券で観てもらったら面白かったという。筋書をお土産に買ってきてくれたが、納涼歌舞伎の時に歌舞伎座でも売っていて日本で買うほうが安かったような。まぁ日本でつくってNYに運んだ経費が乗っているということで(^^ゞ写真はその裏表紙のロゴマーク部分を撮影したもの。
(追記)スキップさんの「地獄ごくらくdiary」の筋書についての記事もご紹介

2005年の納涼歌舞伎で「串田戯場(くしだワールド)法界坊」観た時の感想はこちら
一昨年の納涼歌舞伎が「法界坊」の初見。歌舞伎座の舞台の上に江戸時代の芝居小屋の雰囲気を作り出した装置が印象的だった。勘三郎の左右を塗り分けた顔の合体霊による宙乗りまでは楽しかったのだが、「双面」の舞踊劇でガラッと雰囲気が変わるのについていけなかった。
今年の純歌舞伎版の「法界坊」が2回目。「双面」の舞踊劇の合体霊は野分姫をやった染五郎で見てこういうのもアリかなぁと思えるようになった。前半→後半も歌舞伎テイストの統一感があったせいかもしれない。
今年の演舞場の「隅田川続俤」の感想はこちら
はてさて今度の「串田版・法界坊」はどうだろう。
主な配役は以下の通り。
法界坊=勘三郎 道具屋甚三=橋之助
永楽屋権左衛門=彌十郎 娘お組=扇雀
手代要助実は吉田松若丸=勘太郎
番頭=亀蔵 大阪屋源右衛門=笹野高史        
松若丸許婚・野分姫=七之助 若党五百平=山左衛門

今回は串田和美が黒衣姿で舞台に登場。要所要所に出て狂言回し的な役割も演じる。要助に筆と紙などの小道具を渡すところでは勘太郎を自分の方に気づかせるためにトントン叩いたりして存在感のある黒衣という本来のありようを真逆に使った手法で笑いをとる。
全体に歌舞伎座版よりもかなり派手に笑いをとる演出になっている。評判になっていた勘三郎の法界坊の独り言の英語の台詞もなかなか堂々としていた。客席との英語のやりとりも盛り上がっている。さすがにいい役者は耳がいいから普段使い慣れていない外国語の台詞でもきちんとこなせるのだなぁと思った(「大地の子」の上川隆也も然り)。             
笹野高史の半端な白塗り顔の大阪屋源右衛門が滅茶苦茶可笑しい。お組に言い寄るところ、かなりドギツイ下半身の動きにまいった。最後に顔をスッパリ切られてから短いトランペットを吹いたのにはもっとまいった。「上海バンスキング」のバクマツの技だ。終演後の観客インタビューでもここが面白かったという声もあり、NYでウケル演出になっていたわけだ。

それと私が一番気になっていた、前半の芝居から後半の「双面水照月」の移行部分がとてもわかりやすくなっていた。法界坊と野分姫の合体霊の宙乗りはない。合体霊が赤姫の衣裳からしのぶ売りに身をやつしたお組の衣裳に変わるところも見せ、後半の舞踊劇に偽のお組に化けて出てくるのを無理なく受け止めることができる。

前回の違和感=「合体霊が後シテ、甚三郎が押し戻しのようになって終わるのがなんか道成寺みたいで変」って思ったのが、今回は肯定的に受け取れた。
「双面水照月」だし、川水デザインの衝立を何枚も動かして合体霊が少しずつ変身していくのが見事。美しい女→本性をさらけだしてハジケを出した状態→ぶっかえった状態→また引き抜いて顔も髪型も悪霊的な男のようになった状態で赤い台の上にたっての幕切れ。これは超喜劇→歌舞伎の舞踊→荒事風の絵面の幕切れと、歌舞伎の面白い要素を全部見せてくれた感じだ。

ブロードウェイもあるNYの演劇界でも、これならば相当インパクトがあったはずだと納得。歌舞伎座建替えの際はしっかりとNYで本格的な公演をうってほしい。
ただし、気になったのはけっこう空き席があるのが映像でもわかったこと。友人も「当日券ですぐ観れたけどチケット代が高い。これじゃぁ普通の人が観られないから勿体ないよ」と言っていた。空き席が出ないレベルの価格設定も検討すべきだろう。

あとひとつ気づいたこと。以前、朝日新聞の夕刊で読んだ勘太郎の記事。勘三郎の一家は世界のディズニーランドを全部制覇しているという。歌舞伎役者の家ではうちだけでしょうとのこと。フロリダのあるアトラクションでは夢の世界に感動して泣いてしまったとのこと。なるほど、中村屋のエンタメ度の高い芝居はディズニーのエンターテインメントと通ずるところがある!アメリカでもウケルはずだし、日本のディズニーランド好きの世代にもウケルはずだ!!
                        


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4 コメント

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ほほ~~~♪ (かずりん)
2007-10-03 11:13:55
勘九郎BOXに入っているものを見たときよりも
かなり分かりやすくなってっるなあ・・・と
思っていたのですが
現在貸し出し中で、どことも比べようがなく・・・と
思っていたら!!おおっ!!ここだったか~~!
さっすがぴかちゅうさまっ!!
>川水デザインの衝立を何枚も動かして合体霊が少しずつ変身していくのが見事。
・・・そうそう!これはなかったですよね!
ここは、確かに分かりやすくなっていた。
納得できる形に仕上がってましたよね~!

席・・余ってたんだ~~!行きたかったなあ♪♪
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★かずりん様 (ぴかちゅう)
2007-10-06 00:40:00
返事が遅くなってしまい恐縮ですm(_ _)m
>席・・余ってたんだ~~!行きたかったなあ♪♪......おお、素晴らしいご発言です。それでは歌舞伎座が建替えになっている間にあるであろう少し長くやるというNY公演の際は是非是非NY遠征してくださいませ。そう歌舞伎座遠征がなくなる分ね。
私は平成中村座という公演は全く未体験なので、一度経験してみたいと思っていたら、来年の10月か11月かで浅草でありそうです。早くも楽しみになっています(^O^)/
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Unknown (スキップ)
2007-10-06 01:09:01
ぴかちゅうさま
ご紹介いただいてありがとうございます。
2002年に大阪・扇町公園に芝居小屋を建てた平成中村座でこの「法界坊」を初めて観ました。が、その時の記憶があまりなくて、幕間に勘九郎さん(現勘三郎さん)が「お大尽席」と言う4席しかない高い席に法界坊の扮装のままやって来て、その席の人と一緒に写真撮ったとか、そんなことばかり思い出しました(笑)。
で、比べるのは5月演舞場の吉右衛門さんの「法界坊」ということになってしまうのですが、いかにもアメリカ向き、エンタテインメント向き、勘三郎さんのサービス精神とケレン味たっぷりの舞台となっていましたね。私は舞台中継をTVで観るのは苦手なのですが、集中が途切れることなく最後まで観ることができました。観客を惹きつける力はさすがですね。
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★スキップ様 (ぴかちゅう)
2007-10-06 01:28:20
今回のTVオンエアの「法界坊」を観た友人との会話は「アメリカは勘三郎に任せよう!」という結論でした。ディズニーランドのエンタメテクニックにも対抗できるのは中村屋だけでしょう(笑)
浅草の平成中村座では平土間席にしようかなぁと膝の痛さをどう耐えるかと早くも気を回していたりします。あぁでも予算統制もしなくてはいけないので、きっとチケット前売りの頃には真剣に悩むと思われます(^^ゞ
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