ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

12/09/08 浅草公会堂チャリティ企画「伝統芸能の今2012」夜の部で大盛り上がり!

2012-09-10 00:01:56 | 観劇

市川亀治郎×三響會で2009年に始まったチャリティ企画「伝統芸能の今」を初体験!
開演前のロビーの行列はチャリティの募金受付とプログラム販売に並ぶものだった。奥なのでわかりづらかったが、階段の上に続く列がすすんでいくと2つに分かれ、募金受付は猿之助、亀井広忠たち3人が並んでいて、プログラム販売は愛之助と田中傳次郎の2人。売り上げも募金に回すということだったので、そちらに並び、愛之助から購入してしっかり握手もしていただいてしまった!
このところの勢いに乗って、6500円の席を張りこんだら端席だが5列目GET!!その関係で「対談」後の幕間、この企画に初参加の愛之助の直筆サイン入り舞台写真先着10枚に間に合ってしまった。この日は何やら愛之助デー(笑)

【新作狂言劇 源平双乱「六道の辻」】茂山逸平作
閻魔大王=市川猿之助 平忠度=茂山逸平
源義平=片岡愛之助
囃子=田中傳次郎 笛=一噌幸弘
地獄に落ちる亡者が減ったため、閻魔大王は自ら地獄ゆきの亡者を増やそうと六道の辻に出向いてきたが、誰もいないので居眠りを始める。そこに平清盛の弟忠度がやってくる(昨年の国立劇場歌舞伎公演で團十郎が演じた薩摩守忠度)。ところが金への執着が激しいキャラ設定がどうも義弟の時忠っぽい(笑)「地獄の沙汰も金次第」とうそぶき、腰に大きな金の袋を下げている。
そこに大音声を響かせて薙刀を振り回しながら悪源太義平がやってくる。修羅道に落ちていたが、平清盛が死んで極楽に行ったと聞きつけて、追いかけているという。
そこで源平の亡者が鉢合わせして諍いを始めるが、閻魔大王が目を覚まし・・・・・・追いつ追われつして3人とも姿を消すのだが、忠度の持ってきた金の袋は後からやってきた後見さん(広忠さん??)が捧げ持ってきた募金箱に入れての幕切れ。という実にチャリティ企画らしい筋書になっていた(大笑)
茂山逸平の本格的な狂言と、歌舞伎役者二人は後の対談で猿之助が「狂言もどき」と言っていたように、全く次元が違うのであえて「狂言劇」としているということだが、これはこれでコラボ企画として面白いということが重要。
それよりも公演の後半日程に参加している笛方の一噌幸弘の演奏に驚いた。横笛ではなく邦楽にはない
縦の笛で2本持って左右の指でそれぞれに穴を押さえて違うメロディをいっぺんに吹いている!持ち替えていくつも種類を変えるし、中には角笛まで使っていた。
邦楽の枠さえ超えている企画にびっくりし、広がり融合する可能性を感じてしまった。

【対談】
舞台中央に赤い毛氈をかけた床几が二つ。田中傳次郎、市川猿之助、片岡愛之助、茂山逸平が登場し、傳次郎が司会進行役をつとめる。
まずは、チャリティ企画の寄付先の2団体の代表の方からご挨拶をいただいてのやりとり(「公益財団法人 がんの子どもを守る会」(ゴールドリボン)と「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを日本委員会」:プログラムに活動が詳しく紹介されていた。まぁチャリティ企画のプログラムだから当然か!)。
若手の芸能者が社会に目を向けて自分たちができることを始めていて、それでこういう企画が始動したわけで、猿之助は昨年の3.11以降の生き方の変化にも言及し、私の聞いた過去のトーク企画も彷彿した。

後半は伝統芸能のジャンルを超えたコラボ企画についての対談。40歳になったばかりの愛之助をのぞくと全員30歳台ということでほぼ同世代。20代では古典的な技術をしっかり身につけることに重点を置いてきたが、30代に入ってからジャンルを超えた交流をさらにすすめ、コラボレーションに取り組みだしたのは、みなこのままではいけないという危機感を共通してもっていたからだとのこと。その積み重ねの中で化学反応のように新しいものが生まれてきているという。
狂言劇は茂山逸平が作ったが、どんどん自分の手を離れ、アウェイ感が強まったとか言って笑わせた。朝ドラ「オードリー」で全国区になった彼だが、実にいい雰囲気だった。

一世代上で傳次郎が先生と呼ぶ一噌幸弘もさまざまなアーティストとのコラボ企画を展開されていて、笛の多重演奏にもつっこみが入り、最高は5本をいっぺんにくわえて吹くという!!ルネッサンス・リコーダーとかの洋物の笛の名前も飛び出した。一噌先生の天然キャラも炸裂して、盛り上がる。

そして、8日この日だけの特別ゲストが招き入れられた。傳次郎が共演した際に告白し、お願いし、今日だけ日程の都合がついたとのこと。津軽三味線プレイヤーの上妻宏光(あがつまひろみつ)だった。そして特別に2曲(アレンジつきのじょんがら節とオリジナル曲)をその場で演奏してもらえるというサプライズで盛り上がりは頂点に達した。私は津軽三味線大好き派なので聞いているうちにこの音楽を生み出した津軽の厳しい風土とそこに生きる人々のイメージが湧いてきて涙腺が緩んでしまった。猿之助は上妻の左手に見入っており、愛之助にそれを耳打ちしている。その表情から「自分も三味線を弾くがあの左手で弦を弾く弾き方はできないよなぁ」という感じが見て取れた。やはりその後のトークもそこに触れていた。

伝統芸能の枠を超えて新しいものが生まれてくる取り組みへの期待が高まり、最初はぐだぐだと迷走しそうだった対談もぐっと引き締まって幕となった。
それと長兄広忠はチャリティ部門を主に担当。幕間の特別グッズ(4人のサイン入り鼓の革、愛之助のサイン入り写真)を案内し、かけつけたらしっかり売り子をつとめていたけれど(笑)

【創作 「龍神」】一噌幸弘作曲、田中傳次郎作調、市川猿之助振付
狂言劇で20分、この舞踊で15分と演目自体は短く、メイン企画はやはり対談(^^ゞ
最後の竜神の扮装になるのに休憩20分はやっぱり必要だろう。
青色のカシラに竜神像を頭につけた姿は文楽で見た「小鍛冶」の狐明神のようだ。神の使いの化身などの場合につけるのだろうと思う。袴には白い雲、小袖には黒い雲と稲妻だろうか、肩脱ぎになった下の着物には銀の波模様。猿之助の青やグレーの隈取をとった顔が引き締まっていて素敵だ。
一噌先生(笑)は笛を3本使いで吹いていて、その不思議な音の中で竜神が空を舞いながら飛ぶ様を踊る姿が幻想的に見えた。序破急でつくられているのだと思う。
終盤は持ち替えた横笛(能管?)によってぐっと張りつめた踊りになり、最後は船弁慶の花道の引っ込みのようにくるくると回りながら能舞台から橋ガカリのような角度で下手に引っ込んでいった。
そこからのカーテンコール。「亀治郎の会 さよなら公演」の時もそうだったが、舞台中央で客席の三方を向いて観客に応える姿の堂々とした姿が実に立派だった。こうして座頭役者に成長した姿を見つめながら、これからも私の観劇人生を充実したものにしてくれそうな役者を見つけた喜びを噛みしめた。

観劇後のデニーズでのおしゃべりで、さちぎくさんから3階席からの「龍神」の猿之助の足遣いの美しかったことを教えてもらった。一階席だとそういう動きは見えないので有難い。
終演後、10/27の「第8回-15周年記念公演-三響会」のチラシが追加で置いてあったのを見つけ、さっそく議題(笑)にして、またまたご一緒しようと盛り上がったのだった!

冒頭のプログラムの表紙をよく見ると、龍の背に鼓を打つ田中傳次郎、笛を吹く一噌幸弘、尺八を吹く藤原道山がいて、下の方では「六道の辻」の三人が追いかけっこをしている凝ったイラストだった。

その前後のオフ会、散策企画の記事はこちら


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
記事3本!熱い内にUP!! (さちぎく)
2012-09-10 12:49:45
こんな形でチャリティーに参加出来るなんて願ったりだわ。伝統芸能に携わっている今三十代の人達はこの日の人達以外もみんな同じような意識を持っていますよ。私は微力ながら彼らを応援したいと思っています。「龍神」は出てきた時にすぐ「小鍛治」を連想しました。澤瀉○○になっていると思う?先代猿之助で数回見ています。きっと四代目えんのすけも踊ってくれると思いますよ。
返信する
★さちぎく様 (ぴかちゅう)
2012-09-16 22:55:35
返事が遅くなり、恐縮です。職場の女性の先輩が八ヶ岳に旅行され、9/2(日)に身曾岐神社 能楽殿(山梨県)での公演を観たのだそうです。旅行に行ったらそういう企画があるのがわかって、私に猿之助の話をさんざん聞かされているので観てみようという気になって、チケットもまだあったので観てくださったということです。
ネット検索したら、[出演]市川亀治郎改め四代目市川猿之助/片岡愛之助/藤原道山 (尺八)/茂山逸平/田中傳次郎という顔ぶれでした。
なんか、ほとんど四代目猿之助の宣伝部長となってしまっている私です(^^ゞ今日も急遽、映画「天地明察」を観てきました。四代目の関孝和、はまり役でしたよ!!
三代目さんが踊っているという「小鍛治」、きっと四代目も踊ってくれるでしょう。しかしながら文楽と違って、童子から狐明神に変わる時はどうするんだろうといろいろと考えてしまって楽しいです。
返信する

コメントを投稿