幸福学専門30年 筬島正夫が語る本当の幸せ


自著『第3の幸せ』【60ページ無料プレゼント中】         

河合隼雄さんの死と、キューブラ・ロス

2007-07-23 | 



心理学者の、河合隼雄さんがなくなりました。

 
 河合 隼雄(かわい はやお)
 1928年6月23日 - 2007年7月19日
 兵庫県多紀郡篠山町(現・篠山市)出身の男性心理学者、心理療法家。
 専門は分析心理学、臨床心理学。
 2000年、文化功労者。
 平城遷都1300年記念事業特別顧問。
 第16代文化庁長官。
 学歴は京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。
 学位は教育学博士(京都大学)。
 分析心理学(ユング心理学)を日本に紹介した学者として
 知られて以来、日本におけるユング心理学の第一人者とされる。



7月21日付 編集手帳に、こんな記事がありました。

 臨床心理学者の河合隼雄(はやお)さんは美しい花を見ると、
 
 ときに心のなかで花に語りかけたという。
 
 「あんた、花してはりますの? わて、河合してまんねん」
 
 ◆俳人の斎藤慎爾(しんじ)さんは「生と死の歳時記」(法研)に書いて

 いる。
 
 「『わて』という存在が、一回しかない人生の中で河合隼雄という壮大な

 劇を演じる」と。
 
 人は誰もが透明の仮面をつけ、「…してまんねん」の人生を生きている
 
 ◆「世界は劇場、男も女もみな役者」はシェークスピア劇の言葉だが、

 「いい人」と見られることに疲れたり、「元気者」の看板が重荷になったり、
 
 ひとたび楽屋に戻れば、役者は誰しもへとへとだろう
 
 ◆「わて、…してまんねん」。
 
 自分の姓をあてはめて呪文(じゅもん)を唱えると、すうっと肩の力が抜ける。

 疲れた現代人に数々の著書を通して薬剤を調合してくれた河合さんの、これも
 
「心の処方箋(せん)」に違いない

◆高松塚古墳の国宝壁画を損傷した事故など

 で心労を重ねたのだろう。文化庁長官当時に脳梗塞(こうそく)で倒れ、
 
 療養していた河合さんが79歳で亡くなった。
 
 いまの世では数少ない「大人(たいじん)」の風格をもつ人だった
 
◆ついつい上っ面の正義を振りかざしたり、きれいごとの建前を並べ立てて

 しまったときなど、ひとり、花につぶやくことがある。
 
 あんた、花してはりますの? わて、編集手帳子してまんねん。
 
(2007年7月21日1時42分 読売新聞)

------------------------------------------------------------

 河合隼雄さんは「心の処方箋」をはじめ、たくさんの本を残して
 
 いますが、私にとって一番心に残っているのは、丁度10年前の
 
 京都新聞に載ったキューブラ・ロスについての記事です。

 

 エリザベス・キューブラー・ロス(Elisabeth Kubler-Ross, M.D.)
 1926年7月8日-2004年8月24日
 精神科医で、死と死ぬことについての画期的な本(『死ぬ瞬間』)の著者 。
 その本の中で彼女は初めて今日死の受容のプロセスと呼ばれている
 キューブラー・ロスモデルを提唱している。
 まさに死の間際にある患者とのかかわりや悲哀(Grief)や
 悲哀の仕事(Grief work)についての先駆的な業績で知られる。



『ウィキペディア(Wikipedia)』の『死』という項目にも
 キューブラ・ロスについて書かれてありました。

 コチラ

------------------------------------------------------------

<老い・死 重い言葉>

 キューブラ・ロスと言えば、日本人でも知っている人は多いだろう。
 
 不治の病で死んでゆく人の傍らに付き添って、たじろがずに
 
 その話に耳を傾けることをはじめ、「臨死体験」について多くの
 
 発表をした人である。
 
 著書も多く訳され、日本の読者も多い。私も二度対談をし、
 
 その素晴らしい人柄に感心した。
 
 彼女は今、何回も脳卒中に襲われて入院中であり、彼女に対して
 
 ドイツの新聞シュピーゲルがインタビューを行い発表した記事を、
 
 ノンフィクション作家の柳田邦男さんより送っていただいた。
 
 これについては、いつか柳田さんとゆっくり話をしたいと思って
 
 いるのだが、実はこれを今朝、奈良から京都に向う電車のなかで
 
 読んだ。
 
 柳田さんも書いておられたが、内容はショッキングなものであった。
 
 全体は暗いトーンに包まれており、キューブラ・ロスは孤独であり、
 
 今は誰にもあまり会いたくない、夜になって鳴き声の聞こえてくる
 
 コヨーテや鳥こそが自分の友人だと語る。
 
 死んでゆく自分を受容する事は、実に難しい。
 
 それには「真実の愛」が必要だが、自分にはそれがない、と彼女は言う。
 
 インタビュアーが、
 
 あなたは長い間精神分析を受けたので、それが役立っているだろうに、
 
 と問いかけると、
 
 精神分析は金と時間の無駄であった、とにべもない返答が返ってくる。
 
 彼女の言葉は激しい。
 
 自分の仕事、名声、たくさん届けられるファンレター、

 そんなのは何の意味もない。
 
 今、何も出来ずにいる自分など一銭の価値もない、と言うのだ。
 
 これを読みながら、私の心はだんだん沈んでいった。
 
 キューブラ・ロスほどの人が、と思う。
 
 この頃は、自分の老いや死について考える事が多いので、
 
 死を迎える事の困難さに思い至らざるを得ない。(後略)
 
               (平成9年12月10日 京都新聞)

------------------------------------------------------------

 時に美化される「死」
 
 でも、そんな簡単な問題ではないと思います。
 
 40年間、直接、1万人の患者の死に立ち会った、キューブラ・ロス。
 
 しかも、その道で、世界中これ以上の人はいない、と言われた人物にしても、
  
 いざ、自分の死に直面したとき、今までの全ての努力も、得たものも、
 
 「何の意味もない」「時間と金の無駄」とはき捨て、全ての信念を覆して、
 
 後悔の言葉を残して、死んでいったのです。

 キューブラ・ロスの最後を知った時の驚きは、そのまま、河合さん自身の、
 
 死に対する不安を強く確認するばかりであったのではないでしょうか。

ラ・ロシュフコーは「箴言集」の中で

 

「死を理解する者は稀だ。

 多くは覚悟でなく愚鈍と慣れでこれに耐える。

 人は死なざるを得ないから死ぬわけだ。」

 と言っています。
 
「死」の問題に目を背けてはならないと思います。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
トラックバックありがとう! (魔女みならい)
2007-07-29 20:03:57
 マジョマジョレターの魔女みならいです。はじめまして!7月23日付けトラックバックありがとうございました。おかげさまでさらにキューブラ・ロスのことを知ることが出来ました。最期は孤独だったのですね。グーグーパンダさんの新しいブログ楽しみにしています。
返信する
Unknown (ぱんだ⇒魔女みならいさん)
2007-08-03 23:12:08
コメント返しできているつもりが出来てなくてスミマセン☆
コメントありがとうございました♪
キューブラロスのように死に向かいあった人も
希ですよね。
そのキューブラロスが自分の死に向き合うことの
困難さも教えてくれたんですね。

またお越しください!
返信する
Unknown (Unknown)
2008-04-28 22:38:06
数週間後に事故で他界した1例ですが、画像でその異常が見えました。その人の体からえも言われぬ発光現象が現れ、足がリングから浮き上がります。

そのケースの場合は当人の表情はとても嬉々としてそれこそこの世の人の喜びとは思えないものでした。その当人はその後事故で他界したのです。

映像に表れた死の予兆のケースです。

返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。