「フェルメール展に行ったんだって?」
「ああ、先週の木曜日に行ったよ。」
「その日は雨だったし空いていただろ。」
「そう思ったんだが、上野駅の公園口を出る前に券を買った時は40分待ちと書いてあった。」
「東京都美術館でも買えるだろう?」
「駅の方が並ばずに買えていいんだ。」
「なるほど。それで40分待ったんだ。」
「いや、それが美術館では20分待ちとなっていて、実際に並んでから入るまで12~3分だった。」
「『話半分』というが、三分の一で入れたんだ。よかったじゃないか。フェルメールって作品が少ないからすぐ見終わっただろう。」
「フェルメールは7作品だけだが、同時代、同地域の画家の絵もたくさん飾ってあったので結構時間がかかった。」
「水増しか。」
「言葉を慎め!フェルメールの作品をよりよく理解するために並べてあるんだよ。」
「そうなのか。じゃあ君はよく理解できたんだな。」
「特徴はわかった気がする。ただ、他の画家より素晴らしいと言われる理由はよくわからない。」
「何だ、その程度か(笑)。」
「いつかはもっと深く理解できる日が来るよ。そして本物を見ていてよかったと思えるようになる。」
「いつか、って一体いつ頃だ。」
「そんな先のことはわからない。」
「映画のセリフかよ!」