公園や林では、セミたちが、ミンミンのミンミンによるミンミンのための大合唱を繰り返し、北京では、中国人民の中国人民による中国人民のためのオリンピックが華やかに開かれていたが、そうした喧噪もようやく止んだかと思うと、今度はゲリラ豪雨の雷鳴が朝まで響き渡り、といううちにも、今年の夏はあわただしく終わろうとしている。
さて、今回の覇権主義型オリンピックに対する違和感や興ざめの感覚は、日本人なら誰しも多少なりとも味わっていたようで、私などは、そうした「イマイチ」の気分を代弁してくれた星野ジャパンや野口みずきに「裏金メダル」を、こっそりとあげたくなってしまったほどだ。
それにしても、ソフトボールやサッカーなど、女性選手の活躍に比較して、男性選手の不振が目立ったのも確かで、わがジャパンの若き男性の行方が心配になってくる。たとえば、J-CASTニュースのサイトには、
結局、日本はもっとダメになると思っているんです。成功する人は1割にも満たないはずだから、慎ましく生きるしかないんです。
という、22歳の男子大学生の何とも気弱な発言が掲載されており、また、現在の20代を「かわいそうな世代」と評する経営コンサルタントも
20代の若者が保守的になっているのは、同世代にたくさんニートがいてその現実を知っていること。さらに、株の乱高下、年金、サブプライムなど経済面の問題が山積し未来を描ききれないことや、両親が不況の時代を生き、今でも家のローンや、教育費を抱え「カネがない、カネがない」とシャワーのように言葉を浴びせられてきたからだ。
と、「かわいそうな世代」の誕生した背景事情を要領よく説明しているものの、それは、結局のところ、客観的な分析でしかなく、これでは、彼らのマイナス思考が強くなるだけだろう。
こうした点、女性は状況を冷静に分析することはしない分、感覚的、本能的に、現代の危機にも対応できるようだ。先日も、大手銀行の総合職を辞めて、個人でビジネスをしている三十代の女性にインタビューしたが、
「月収500万は欲しいですよね」
と事も無げに話していたのが印象的だった。
この不況下に、どんなそろばん勘定で月収500万になるのかはわからないが、自社ビルをたて、多くのスタッフを雇い入れ、店舗数を増やす、といった古典的(覇権主義的)な経営感覚からの発言ではなさそうだ。
あくまで、同じ仕事の仲間とおいしい食事をし、好きなワインを飲み、素敵な時間を共有し、本物の人生を送るためなのだという。いかにも、消費社会で育った若い女性の好みそうなビジネス感覚=ライフスタイルというべきで、こうした「なでしこビジネス」ならば、これからまだまだ伸びる可能性を持っているように思うが、どうだろうか。
追記
インタビューの後の雑談のおり、小生の持っていた本が彼女の目に留まり、ちょっと見せてください、といったきり、現在に至っている。こうした、楽天的で陽気な厚かましさというのも、「なでしこビジネス」の特徴なのかもしれない。いずれにせよ、「かわいそうな世代」を通り過ぎた私にとっては、「奪われた、ひと夏の体験」であったのだった。
さて、今回の覇権主義型オリンピックに対する違和感や興ざめの感覚は、日本人なら誰しも多少なりとも味わっていたようで、私などは、そうした「イマイチ」の気分を代弁してくれた星野ジャパンや野口みずきに「裏金メダル」を、こっそりとあげたくなってしまったほどだ。
それにしても、ソフトボールやサッカーなど、女性選手の活躍に比較して、男性選手の不振が目立ったのも確かで、わがジャパンの若き男性の行方が心配になってくる。たとえば、J-CASTニュースのサイトには、
結局、日本はもっとダメになると思っているんです。成功する人は1割にも満たないはずだから、慎ましく生きるしかないんです。
という、22歳の男子大学生の何とも気弱な発言が掲載されており、また、現在の20代を「かわいそうな世代」と評する経営コンサルタントも
20代の若者が保守的になっているのは、同世代にたくさんニートがいてその現実を知っていること。さらに、株の乱高下、年金、サブプライムなど経済面の問題が山積し未来を描ききれないことや、両親が不況の時代を生き、今でも家のローンや、教育費を抱え「カネがない、カネがない」とシャワーのように言葉を浴びせられてきたからだ。
と、「かわいそうな世代」の誕生した背景事情を要領よく説明しているものの、それは、結局のところ、客観的な分析でしかなく、これでは、彼らのマイナス思考が強くなるだけだろう。
こうした点、女性は状況を冷静に分析することはしない分、感覚的、本能的に、現代の危機にも対応できるようだ。先日も、大手銀行の総合職を辞めて、個人でビジネスをしている三十代の女性にインタビューしたが、
「月収500万は欲しいですよね」
と事も無げに話していたのが印象的だった。
この不況下に、どんなそろばん勘定で月収500万になるのかはわからないが、自社ビルをたて、多くのスタッフを雇い入れ、店舗数を増やす、といった古典的(覇権主義的)な経営感覚からの発言ではなさそうだ。
あくまで、同じ仕事の仲間とおいしい食事をし、好きなワインを飲み、素敵な時間を共有し、本物の人生を送るためなのだという。いかにも、消費社会で育った若い女性の好みそうなビジネス感覚=ライフスタイルというべきで、こうした「なでしこビジネス」ならば、これからまだまだ伸びる可能性を持っているように思うが、どうだろうか。
追記
インタビューの後の雑談のおり、小生の持っていた本が彼女の目に留まり、ちょっと見せてください、といったきり、現在に至っている。こうした、楽天的で陽気な厚かましさというのも、「なでしこビジネス」の特徴なのかもしれない。いずれにせよ、「かわいそうな世代」を通り過ぎた私にとっては、「奪われた、ひと夏の体験」であったのだった。