濃さ日記

娘もすなる日記(ブログ)といふものを父もしてみんとて・・・

感想二つ

2019-02-26 12:15:00 | Weblog
1 夜・舗道・文学

幼少の時から、言葉を出すのが遅かった。
特に慎重だったわけではなく、反射的に言葉が出ないのである。
現在でも、無口な人間で通っている。
心の中での「内語」は饒舌なのに、外にはなかなか出てこない。
とすれば、私にとって、言葉とは夜の舗道を彷徨う「文」なのだ。

「文学を急がせてはならない。
答えにならない口ごもり、行動にむかうまえの足のためらい、出発の夜明けがくるまえの待機の夜の期待を、
「文」とのつきあいは、日々ひきうけるのだから。」(管啓次郎)



2 忘却

アストル・ピアソラのバンドネオン、
ブエノスアイレスの場末の街角でタンゴを踊る男女、
それを見守る人々、
切なさと懐かしさいっぱいの曲の名はOblivion(忘却)。
──思い出が傷だとすれば、忘却は癒しになるのだろうが、忘却だって、それはそれなりにわけありだ。
忘れたくても忘れられないことがあり、忘れたくなくても忘れてしまうことがあるから、
忘却は後ろ向きの予言なのかもしれない。

Astor Piazzolla plays Oblivion - Bandoneon and orchestra

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