ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

避難所が次第に解消に?

2011-09-04 03:18:29 | 能楽の心と癒しプロジェクト
【前回の記事で石巻・湊小学校の避難所につきまして書きました記事に誤りがありましたので、あらためまして訂正して書き直しました。】

伊豆での子ども能の稽古を終えてただいま東京に帰って参りました。

伊豆では懇意にして頂いている旅館 ゑびすやさんから、来週は宮城県の多賀城市からのお客さまが宿泊に見えることを教えて頂きました。伊豆の国市は多賀城市と姉妹都市となっていまして、その関係から以前から多賀城市の被災地の方々をお招きして、温泉に入って頂いたり、観光地にご案内をしておられるのですが、たまたま来週はご来訪と ぬえの稽古日とが重なるとのこと。場合によっては ぬえのお稽古に遊びに来てくださるかも。ををっ! ちょうど翌日が子ども能の公演日でして、先日石巻に同行して頂いた囃子方のTさんもいらっしゃるので、もし実現したら喜んで頂けることができるかも。

さて数日前に岩手県ですべての避難所が解消された、という報道がありましたが、他の県でも夏休みの終了に合わせるように、順次避難所は解消される計画であるとのことです。

ぬえが2度に渡ってお邪魔させて頂いた湊小学校も、同じように解消に向けて、だんだんと住人の方も減ってきたようで、現在では100名を切った状態なのだとか。避難所の解消は、被災者が普通の生活に戻るための一段階の前進でありましょうから喜ぶべき事ではあるのですが、一方で仮設住宅の最終抽選に漏れた方があったり、仮設住宅では公的な食料支援などが打ち切られる、話し相手がおらずに孤独をつのらせる人ができる現実など、問題も言われているだけに複雑な気持ちも残ります。

それより前に、湊小学校には現実にまだ住人の方が残っておられるのですね。このところ湊小学校の避難所を運営しておられるボランティア団体「チーム神戸」のみなさんと連絡を取り合いましたが、住人さんの最後の一人が退去され、本当に解消になるところを見届ける、自分たちが最後の住人になるまで支援活動を続けられる、とのおつもりなのだそうです。それどころか、湊小学校の避難所が解消されてからも当分現地に留まって、引き続き支援を続けられるのだそうで…その計画は来春まで続いておられるとのこと…絶句。

たしかに避難所の解消というものは行政の計画の通りには進行できず、住人の方々みんなが居住する場所を定めて、納得して退去されるところを以て円満に解消されるべきものでしょう。しかし仮に仮設住宅に移られても、上記のように問題は山積…。とはいえこれら被災された方々に寄り添い、先の見えない未来に向かってまで支援するのは、支援者にも生活があってみればほぼ不可能に近いはず…。震災の直後からこれまでずうっと湊小学校に駐留して(自衛隊が去ったあとも変わらず!)避難者の支援に当たられたボランティアのみなさんの活動を目にした ぬえは本当に衝撃を覚え、感動しましたが、このビジョンの深さは、ちょっとそれらの感慨も、想像をも超えた、まさに献身的な活動でした。ぬえは心から彼らを尊敬し、日本人として誇りに思います。

さて ぬえは先日石巻に同行してくださった友人の能楽師 TさんとOくんと、三度目の東北旅行を計画しておりますが、避難所のような大きな施設が解消され、被災者が仮設住宅という個人のスペースに分散される今後は、活動の場を考え直さねばなりませんね。大きな集会施設…実際には学校の体育館や、老人ホームを廻るとか…意味は大きく違っても、震災前と同じような場所に活動の場を見つけることが必要でしょう。それら受け入れてくださる施設の担当の方を見つけだし、出演の可能性を相談するのには時間も掛かりますが…また一から活動をやり直していく作業をしなければ。

ほかにも、先日の訪問で参詣した塩竃神社で復興祈願と鎮魂のために舞や謡を奉納する計画があって、こちらは神社のお許しも頂けると思います。とはいえ、なんせ東北は遠く、せっかく訪問するのであれば、できるだけ多くの活動もしたいので、被災地への慰問も同時に行えるよう、やはり当地の関係者とのパイプを作るのが急務ですかね。

また少額でよいとはいえ資金も訪問には必要です。ぬえは初回の訪問は自己資金で、二度目の訪問では善意の資金提供を頂いて、ようやく実現することができました。三度目、四度目となると やはり協力者を募る必要もあって、いまチャリティのイベントを東京で行おうか、という計画も検討中です。

簡単ではない支援の方法…模索ばっかりが続いているような気もしますが、ともかく何か見つけられるよう努力は続けて行こうと思います。



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