投資における「72の法則」というものをご存知だろうか?
これは特定の利率を採用した場合に、元本を2倍にするのにかかる年数を知るために使われる、いわば便利な計算式である。
そして、金利が資産や負債にどう影響を与えるかについても「72の法則」を使うことができる。
単純に72という数字を金利で割った結果が、お金を倍増させるのに必要な年数となるのだ。
例えば金利が5%なら、計算式は72÷5=14.4。
つまり、14年余りで元本が2倍になる。
この法則は、金利を受け取るのではなく、金利を支払う場合にも適応できる。
例えば、クレジットカードで2万ドルを借りていて、銀行が未払い元本残高に対して20%の利息を課しているとしよう。
その場合、恐ろしいことに、借金は約3年半で2倍になる(72÷20=3.6)。
毎月の最低支払い額を支払い、次月の請求額もほぼ同じだと仮定すると、42か月分の利息をプラスした元金は2万ドルから4万ドルになるということだ。
利息30%でローンを提供する銀行であれば、わずか28か月で2万ドルの借金が4万ドルになる。
これは未払い残高に対する利息を加算したものであり、新たなクレジットカード利用分はカウントしていない。
兎にも角にも、あなたのクレジットカード支払いが常に利用限度額いっぱいであれば、一種の債務地獄にいるようなものだ。
最終的な唯一の逃げ道は、債務不履行か破産であり、そうなれば信用格付けは大幅に下がる。
そして、債務不履行に陥る人の増加は、銀行にも影響を与えるだろう。
ブルームバーグによると、その影響は米国に現れ始めている。
実際、連邦準備制度理事会(FRB)によると、クレジットカードの支払い延滞件数は2023年10 - 12月期に過去最高を記録。
出所:Bloomberg size
また、毎月の返済が「最低支払い額」に留まっている借り手の割合も上昇し、過去最高となった。
つまり、現在の借り手の返済能力が著しく乏しいことを意味している。
このクレジットカードの利用状況は、3つの懸念点を浮上させる。
第一に、クレジットカードの利用限度額全てを使っていれば、今後の消費は減速する。
第二に、消費者の貸し倒れが積み重なれば、銀行のバランスシートが縮小する。
第三に、米国人の誰もが油断している景気後退が差し迫っていることを示唆しているのだ。
数学者でなくとも、「72の法則」さえ理解できれば状況を掴めるだろう。
銀行の危機は間近に迫っているかもしれない。
〜編集部〜
アメリカの三大銀行も、2024年1月決算において…
JPモルガンチェース:前年比15%の減益
バンク・オブ・アメリカ:前年比56%の減益
シティグループ:約2,700億円の赤字に転落
(1ドル150円換算) size
このように減益を重ねています。今、金融業界に何が起きているのか?
私たち個人投資家には知られていない「隠れた株価急落シグナル」とは?
続きはこちらご覧ください。
|