仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

二流小説家 シリアリスト

2017年02月20日 | ムービー
『二流小説家 シリアリスト』(2013年/猪崎宣昭監督)を見た。
物語は、「小説家・赤羽一兵(上川隆也)は官能小説を書いていたが、鳴かず飛ばず。今野純子(黒谷友香)にも見限られて婚約を破棄された。ある日、彼のもとに連続殺人犯で死刑囚の呉井大悟(武田真治)から、執筆依頼の手紙が届く。自身の告白本を書いてほしいというのだ。再審請求中である呉井の弁護士・前田礼子(高橋惠子)に相談したところ、呉井の生存中に出版しないという条件を出された。とにかく、告白本を書けば一流の小説家になれるかもしれないと考えた赤羽は、東京拘置所に収監されている呉井に面会を申し込む。そこで出された新たな条件とは・・・」という内容。
なかなか煮え切らない性格の主人公の相談相手は、高校生の小林亜衣(小池里奈)。
相談というようりは、何事にもずけずけと意見してくるわけだが、「ねぇ、一流になりたくないの!?」と言われたのには、赤羽も一瞬心を動かされたようだった。
しかし、迷っていた赤羽が決心したのは、かつての婚約者・今野純子に出くわした時。
「あなたはいま何をしているの?もしかして相変わらず?」
これはキツイ。
「僕はいとも簡単に書くことを決めた」
というのも納得の展開だ。
弁護士の前田礼子といい、呉井の被害者の遺族・長谷川千夏(片瀬那奈)、小林亜衣、弁護士事務所の鳥谷恵美(平山あや)、今野純子など、この物語に登場する女性達は皆ナカナカにハッキリした性格の持ち主で、主人公・赤羽の優柔不断さが随分と強調される。
その優柔不断さも二流と見られる所以なのか・・・。
(^_^;)
原作は、『二流小説家(原題The Serialist)』(2010年/デイヴィッド・ゴードン/アメリカ)という小説らしく、舞台を日本に置き換えて映画化されたのが本作らしいのだが、ほんのわずかではあるものの、かつての事件の捜査に当たったという刑事・町田邦夫(伊武雅刀)と新しい事件の深みにはまっていく赤羽の関係が、横溝正史による一連の長編推理小説に登場する、等々力警部と金田一耕助の関係をほうふつさせもして妙に面白いとも思った。
とても良く出来た面白い作品だった。