仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

バーバレラ

2016年05月18日 | 映画サークル
ましけ映画サークル5月例会(2016年5月17日)は、小○企画『バーバレラ(原題Barbarella)』(1968年/ロジェ・ヴァディム監督)だった。
物語は、「あらゆる兵器を廃棄、世界を統一し、平和な星になっていた遠い未来の地球。宇宙船でくつろいでいたバーバレラ(ジェーン・フォンダ)に通信が入り、地球国大統領(クロード・ドーファン)から直接に、"将来的に脅威ともなりえる光線兵器を開発したデュラン・デュラン教授(ミロ・オーシャ)の身柄を確保せよ"との指令が下された。転送により数々のアイテムを与えられたバーバレラは、そのまま一路タウ星へと向かうのだが・・・」という内容。
登場する宇宙船はヘンテコな形をしている乗員1人の随分と小さなものだった。
ふわふわのじゅうたんのようなものが壁や床全面に張られていたり、通信装置がブロンズ像のような形状だったり、おおよそ宇宙船の内部には見えない感じだったが、宇宙船のコンピューターは人間と対話ができるようで、それなりのSF的考察もされているようだった。
(^_^)
『2001年宇宙の旅』(1968年/スタンリー・キューブリック監督)でも同様に描かれているので、人間とコンピューターの対話というのは、この当時のSFものとしてはすでに一般的な設定だったのかもしれない。
そして、いくら物語が進行してもなかなか登場しない謎の博士だが、"デュランデュラン"と聞いて頭に浮かぶのは1980年代に人気だったイギリスのロックバンド。
気になったので調べてみると、そのバンド名はどうやらこの映画のデュラン・デュラン博士の名前を拝借したものだったらしいことが分かった。
主役のジェーン・フォンダありきのおばか作品だったのかもしれないが、ジェーン・フォンダやアニタ・パレンバーグ(黒い女王役)は十分すぎるほど魅力的だったし、ロックバンドに名を遺すほどの登場人物がいたり、これはある意味名作なのかもしれないと思ったりもする。
劇中、鳥人間のパイガー(ジョン・フィリップ・ロー)とバーバレラが飛びながら戦闘機と戦うエピソードは、なんとなく『フラッシュ・ゴードン』(1980年/マイク・ホッジス監督)の一場面に似た雰囲気があったので、これも少し調べてみると、『バーバレラ』はフランスのSFコミック(ジャン=クロード・フォレ原作)、『フラッシュ・ゴードン』はアメリカのSFコミック(アレックス・レイモンド原案)が原作。
そして、両映画作品ともディノ・デ・ラウレンティスという人がプロデューサーのようだった。
何か似たような雰囲気を感じたのは当然といえば当然だったのかもしれない。

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時計じかけのオレンジ

2009年12月21日 | ムービー
『時計じかけのオレンジ(原題Clockwork Orange)』(1971年/スタンリー・キューブリック監督/アメリカ)を見た。
物語は、「近未来のイギリス。共産体制が確立した世の中で生きる少年アレックス・デラージ(マルコム・マクダウェル)は、3人の不良仲間と"ドルーグ"というグループを組んで、夜な夜な暴行、強姦、強盗を繰り返していた。しかし、リーダー争いを切っ掛けとしてグループ内に亀裂が生じ、強盗に入った家で仲間から裏切られ、彼1人だけが警察に逮捕された。懲役14年の実刑判決が下り、収監されたアレックスだったが・・・」という内容。
物語の中では"独自の言葉(単語)"がスラングのように使われていて判りにくい所があるのだが、さほど気にしなくてもその内にまぁ大体判ってくるだろう。
(^_^)
「それなら、そんなヘンテコな言葉なんて使わなくてもいいんじゃない?」と思ったりするものの、そうすると、タイトルの意味がなくなってしまうのだから、そうもいかないらしい。
なんとも厄介だ。
(^_^;)
主人公のアレックスは何とも悪い奴。
何の苦労もしない物質的に満ち足りた世の中で、昨日の続きで今日を生き、惰性で明日がやってくる。
1971年に、近未来の特別な住人として描かれたこの15歳だが、2009年の世の中ではどこかにこのような人間が存在していそうで、怖いような気もするのだった。

博士の異常な愛情

2009年11月30日 | ムービー
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(原題Dr.Strangelove or:How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)』(1963年/スタンリー・キューブリック監督/イギリス)を見た。
物語は、「米ソ冷戦下、アメリカ・パープルソン空軍基地司令官のジャック・D・リッパー将軍(スターリング・ヘイドン)は、同基地に所属するB-52爆撃機34機に暗号電文を送り、"R作戦"(対ソ連核攻撃)の遂行を指示した。異常な事態を察知した部下から報告を受けたバック・タージドソン将軍(ジョージ・C・スコット)は、国家安全保障会議に出席し、"法に則って大統領以外の者が核攻撃を命令できる"ことをマーキン・マフリー大統領(ピーター・セラーズ)に報告する。一方、作戦発動後の爆撃機はCRMと呼ばれる特殊暗号装置に接続され、通常の暗号通信を受け付けない事態になっていた。例外パスワードを知っているのは司令官室に籠城しているリッパー将軍だけなのだが・・・」という内容。
反共産体制の権化であるリッパー将軍が、「奴等が水を飲んでいるのを見たことがあるか?奴等はウォッカしか飲まん」等と言って軟禁中のライオネル・マンドレイク大佐(ピーター・セラーズ/2役)に、共産主義者による陰謀説を切々と説くのだが、どんな馬鹿げた話でもそればかりを耳にしてしまうと、"そうなのかな?"と思ってしまいそうな人がいそうで怖く思える。
まぁ常識人のマンドレイク大佐は、ただ大きいだけの声には耳を貸さないのだが。
(^o^)
しかし、もっと怖いのは、秘書とよろしくやっているタージドソン将軍で、それは、兄弟喧嘩の様子がテレビで日本中に知らされていた頃の横綱貴乃花のような怖さだ。
目つきが尋常じゃない。
(^◇^)
ところが!!
世の中、上には上がいるもので、ストレンジラヴ博士(ピーター・セラーズ/3役)の怖さは格が違う。
彼の発想もさることながら、その右手は本人の意思に関係なく勝手に動き出すのだ。
登場場面は少ないが、さすがに題名になるだけあって、本事件の象徴的な存在なのである。
劇中、挿入歌として使われている「When Johnny Comes Marching Home(ジョニーが凱旋するとき)」は、『ダイハード3(原題Die Hard with a Vengeance)』(1995年/ジョン・マクティアナン監督/アメリカ)でも使われていて、気持ちを奮い立たせるようなマーチ曲なのだが、元は「Johnny I Hardly Knew Yeh」という反戦の曲なのだそうだ(メロディーは同じで詩が違う)。
パープルソン空軍基地司令官執務室や、事務室に掲げられている【PEACE IS OUR PROFESSION】の言葉等、皮肉が沢山散りばめられていて面白い。
(^_^)
この作品は一見の価値ありだ。