仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

深く静かに潜航せよ

2017年04月14日 | ムービー
『深く静かに潜航せよ(原題Run Silent,Run Deep)』(1958年/ロバート・ワイズ監督/アメリカ)を見た。
物語は、「太平洋戦争中の1942年。四国と九州に挟まれた豊後水道において、アメリカ軍の潜水艦計4隻が日本軍の駆逐艦・秋風により撃沈されていた。沈められた潜水艦の艦長だったP・J・リチャードソン中佐(クラーク・ゲーブル)は、1年間にわたって任務を外されていたのだが、艦長の重傷により帰投した潜水艦ナーカ号の次期艦長にと自らを売り込む。副艦長ジム・ブレッドソー(バート・ランカスター)は乗員からの信頼も厚く、誰もが彼の艦長就任を疑わなかったが、艦長はリチャードソン中佐に決定。ブレッドソーはリチャードソン宅を訪ねて退艦を申し入れるものの、彼と奥さんローラ(メアリー・ラロッシュ)の人柄に打たれ、艦への残留と艦長への服従を心に誓ったのだった。そして、新艦長を迎えたナーカ号の出撃先が、豊後水道がある第7海域と決定し・・・」という内容。
乗員たちが次の出撃先をめぐって賭けをするのだが、何も知らない新人以外は"第7海域"には賭けようとしない。
「生きて帰れなくなるぞ」という台詞があったが、それが第7海域の評判らしく、そんな場所に出撃するだなんてことは誰も考えたくなかったのだろう。
(^_^;)
豊後水道には行かないと言って乗員たちを安心させたリチャードソン艦長は、それどころか、出くわした敵艦と交戦することをせず、急潜航から魚雷を発射するという内容の訓練を執拗に繰り返す。
「感謝しないとな。彼の偉大なモットーに。石橋を叩いても渡らずだ」などと喜んでいる場合ではない。
敵艦を見つけても攻撃せずに訓練を続けるだなんて、乗員はこれを絶対に怪しいと思うべきだ。
(^。^)
艦内では時折ジャズが流されていたが、これは日本政府が連合国軍向けに行っていたプロパガンダ放送の"ラジオ・トウキョウ"で、「音楽の途中にごめんなさい。私はご存知、東京ローズです。大日本帝国を代表して皆さんに戦うことの空しさを・・・。今月だけでもすでに16隻の敵艦を沈めました」などと、女性の声も聞こえてきていた。
こういったプロパガンダ放送は、1943(昭和18年)3月から1945(昭和20)8月14日まで実際に日本から放送されていたのだそうで、連合国軍の兵士らに評判だったらしい。
いろいろと興味深い内容の作品だった。
(^_^)

或る夜の出来事

2017年01月14日 | ムービー
『或る夜の出来事(原題 It Happened One Night)』(1934年/フランク・キャプラ監督/アメリカ)を見た。
物語は、「1932年のアメリカ合衆国。銀行家の令嬢エリー・アンドリュース(クローデット・コルベール)は、女たらしの飛行機乗りキング・ウエストリー(ジェムソン・トーマス)との結婚を父親(ウォルター・コノリー)に反対され、ヨットで説得し続けられていたが、海に飛び込み泳いで逃げた。父親はマイアミからニューヨークへ向かうだろう娘を再度取り押さえようと、交通の要所を見張らせたものの、探偵たちは箱入りのお嬢様がバスなどに乗るはずがないとたかをくくってバスターミナルの見張りをやめてしまう。一方、新聞記者ピーター・ウォーン(クラーク・ゲーブル)は、なけなしの金でやはりニューヨークへ向かおうと深夜バスに乗り込んだのだが、せっかく確保した座席をエリーに奪われてしまう。何とか隣に座ることができたものの、険悪な雰囲気の中、1,600キロの長旅が始まった」という内容。
身につけていた時計を売ってお金を用意したお嬢様だったが、4万ドルの所持金が翌日には1ドル60しか残っていなくて、大雨による通行止めでバスが通れず宿泊を余儀なくされた際には、2ドルのホテル代も払えず、ピーターと新婚夫婦のふりをして一緒の部屋に泊まるしかなかった。
部屋の真ん中にロープを張り毛布を掛けて、"ジェリコの壁"と呼んだピーターはなかなかの紳士。
途中で、新聞の一面をも飾るお嬢様の逃亡劇に気づき、1万ドルの懸賞金をせしめようとした同じバスの乗客シェプリーを丸め込んで諦めさせ、彼女には結婚相手のもとに送り届けることを条件に独占記事の執筆を持ちかけるほど交渉も上手で、電話や電報も必ず受取人払いにする。
(^。^)
バスで1,600キロの長旅だなんで、今ならエコノミークラス症候群だなんだと騒がれるのだろうが、世界的な大不況だったこの頃は、劇中に登場した親子のように、有り金をはたいて切符を買い、「ニューヨークにたどり着きさえすれば仕事が見つけられて何とかなる」との一心でバスに揺られ続けた人も多かったのかもしれないと想像するのだった。
不況の最中であり、トーキー映画が商業化されてまだ何年も経っていない頃に、もうこんなラブコメ作品が作られていたのかと驚いたのだが、さらにこの作品は、ノミネートされたアカデミー賞の主要5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞)とも受賞した大人気作だったらしいことが分かって、さらに驚いたのだった。
映画作品はやはりラブコメが王道なのだろう。
随分と古いモノクロ作品だったが、なかなかに面白かった。
(^_^)