虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自閉っ子 と トラブルの解決法 1

2012-12-17 14:21:58 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

今日は自閉っ子と対話能力でレッスンの様子を記事にさせてもらった●くんと☆くんのレッスンでした。

言葉のない5歳の男の子という記事にさせていただいた

★くんもレッスンに参加してもらいました。

☆くんと●くんは、それぞれ写真のようなレールを作って、

自分が連結させた列車で遊んでいました。☆くんの列車の先頭部分には、汽車のパーツがついています。

●くんの列車にはそのパーツがありません。

そのため、それぞれ自分の線路を作った後で、相手の列車を取り合う

こぜりあいが何度か起こっていました。

 

☆くんは、お友だちが自分の列車や線路に触れるのが

いやでたまらないようで、不機嫌そうに追い払っていました。

 

けんかが起こらないように

「あれはお友だちのよ」と相手のおもちゃに触らせないようにしていたら

けんかは起こりません。

でも同時に仲良くもなれないのです。

また、トラブルの解決法を学んだり、

「ちょっと嫌だけど、これくらいならいいや」と軽く受け流す力も身につけられないのです。

 

ですから、越えられそうな小さなけんかを見守りながら、

トラブルにぶつかった時に、気持ちを切り替えたり、トラブルがなくなる方法を提案したり、

どんなことをするとお互いに気持ちのいい楽しい結果につながるのかを

体感できるように配慮しています。

 

☆くんは、●くんに対してはこれまで見知っているお友だちですから、

自分のお気に入りを取ることがあっても、ぶつぶつ言って不満気な表情をしながらも

許しているのです。

でもはじめて会ったまだ言葉がしゃべれない★くんが

自分の列車にブロックをつけようとしたり、

よそから持ってきた列車を走らせようとしたりしていることには、今にも爆発しそうな様子でピリピリしていました。

 

★くん用の線路や電車を用意して、「★くんの電車だよ。こっちで遊ぼうね」と誘っても、

★くんはしつこく☆くんの線路や電車に触りたがりました。

 

☆くんは、★くんが近づくたびに、

「自分の電車でしてよ(ブロックをつけてよ)」とかんしゃくを起こしかかっていました。

 

そこで、☆くんに向かってこんな声をかけました。

 

「☆くん、★くんは☆くんの線路が自分のよりいいなぁって

思っているから、触りにくるのかな?

トンネルを作ってあげたら、★くんの線路で遊ぶのが楽しくなるんじゃない?」

すると、☆くんは、「ぼく、トンネル作れるよ。だから作ってあげるよ」と

言いながら写真のトンネルを作り、「はい、どうぞ」と★くんにプレゼントしていました。

 

「☆くん、★くんはどうして自分のがあるのに

☆くんの列車がいいんだと思う?

見てみて、☆くんの列車は1,2,3,4,5も連結しているけど、

★くんの列車は、1,2,3,4だけよ。★くんも5つ連結したいんじゃない?」

 

☆くんは分析することが大好きなので、

「あっ、わかった、1つ列車を探してあげたらいいんだよ。

そうしたら、★くんは喜ぶんじゃない?」と言ったかと思うと、

★くんのために列車をさがして連結してあげていました。

 

すると、その後の☆くんは、「★くんは、こうしたら喜ぶんじゃない?」

「★くんは、こうしたかったんじゃない?」などと、

★くんが喜びそうな遊びを披露して、

★くんが大笑いするたびに、「やっぱりそうなんだよ。★くんは、この車のボタンをこうやって

押したら喜ぶんだよ」と解説していました。

 

次回に続きます。


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2 コメント

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いつも勉強になります。 (ciao)
2012-12-17 18:19:48
我が家にむ自閉症の息子がおります。

小競り合い、いつもどう扱ったらいいか悩みます。

今まで療育で学んだことだと、小競り合いのとき、
1.想像される本人の気持ちを代弁してやる。
  「~って思ったかな?」
2.相手の気持ちも想像させてみる。


とかだったのですが、
1.と2.の間に「どうして」が入ると関わりの幅がとても広がりますね。いろんなアプローチを試行錯誤していて、どれもイマイチだったので、今回のお話には関心してしまいました。

この流れなら更に子供の様子を観察できますね。

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本来 (koro0113)
2012-12-18 13:05:01
いさかいの場が、先生の一言で☆くんと★くん両方の笑顔の場になるのですね。
★くんのために、と一生懸命知恵を絞る☆くんの様子を想像して涙がでそうになりました。
自我のぶつけあいもいいけど、誰かのために努力するって、やってる本人が一番気持ちのいいものだと思うし、その喜びを小さいうちからいっぱい味わえるのが素敵です。うちの兄弟にも試してみます。
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