虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『地頭力』が育つ幼児期 (シアトルからのお客様)

2010-06-23 06:21:08 | 通常レッスン

前回の続きは次回に書きますね♪

昨日は、シアトルからからもうすぐ4歳になる★くんが遊びに来てくれました。
去年の夏のレッスン以来、1年ぶりの再会です。
元気いっぱいのやんちゃくんで、去年は自分の我を通そうとがんばる姿が目立ちましたが、今年はその強い気質が
集中力や我慢強くがんばりぬく根気に変化してきていました。
「この一年、虹色教室で紹介してくださっている工作や実験に励んだところ、
以前は物を見たら、買おうよ、買おうよと騒いでいたのに、
このごろは、何でも工夫して自分で作るようになってきました。」
とうれしい報告をいただきました。

ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てなくてはならないことを教えようと、
「あんなところにペットボトルが落ちているね。どう思う?」とたずねると、目を輝かせながら、
「あれがあれば面白いものが作れるね。~や~が作れるよ」
という返事が返ってきて、思わず吹き出してしまったそうです。

一般化するほどたくさんの事例にあたったわけではないのですが、
海外から教室に来てくれる子たちと会うと、
身体の引き締まり方や目の力、自分がしっかりある感じに、、
「子どもってこういう存在だったのか……」という驚きます。
今の日本で暮らしていると、身体感覚や「自分」という感覚がスポッと抜けたように成長しがちですよね。
スポーツをさせて、体を鍛えている子も、
大人に「見て!見て!自分のことを評価して」とアピールすることに忙しく、心の面では自分がないように見える場合がよくあります。
海外にはその国なりの子どもを「ダメ」にしてしまう要因も多いそうですが……。

★くんといっしょに「ピタゴラスイッチ」を作って遊びました。
「このエレベーターの先をあっちのコロコロ落ちるのがついてるところにつないで、それを、やどかりさんのお家のところにつないだら?」
「これはね、こういうお話なの。
ここから、誰か出てきたら、あっ、上から何か落ちてくる!危ない!そうだっ、ここに逃げよって、この下に行って、それが、こっちにつながっていて、こことここが引っ付いているの」と、遊び方がダイナミック。

部分に集中して製作しているときも、
常により大きな視点からも自分の作業を眺めて、いくつもの物を複合的につなげていこうとする姿や、ストーリーをこしらえて展開しようとする姿が見られました。

しっかり『地頭力』が育っているな~!と、感心

『地頭力』という言葉は、幼児を育てている方の間で、けっこう話題になっているものの、正確に定義するとどういうものか言い表しにくいものですよね。

『地頭力を鍛える』問題解決に活かす「フェルミ推定」
 細谷 功  東洋経済新報社

が、地頭力というのは本当のところ、どのような能力なのか、どのようにすれば鍛えられるのか納得できる良書でした。

著書によると、
地頭力の本質は、「結論から」「全体から」「単純に」考える三つの思考力。

地頭力を鍛えるための強力なツールとなるのが「フェルミ推定」という小難しげな名前がついているものですが、
物理学者フェルミが得意だったことから命名された
「つかみどころのない物理量」を短時間で概算することです。
「フェルミ推定」は、問題解決の縮図で、地頭力を試したり鍛えたりするツールとして有用とされていますが、
自由工作や自由なブロック製作の場では、
簡単な形とはいえ、自然に使いこなせるようになっていく力でもあります。

地頭力って、
要は、
どれも幼児期にこそ育つもので、
幼児の幼児らしさを奪わないことこそ、子どもに地頭力のベースをつけてあげられるのだな~と感じました。

フェルミ推定に一番求められるのは、問題解決に対しての好奇心なのだそうです。

幼児はもともと自分のぶつかった問題を失敗を通して解決しようとする
強い好奇心を持っていますが、
大人が失敗させず、手助けばかりし、子どもの自由を少なくすると、そうした性質はなくなっていきます。
教室の子たちを見ていると、年長さんくらいになると、自分の全頭脳と全経験を総動員して、問題解決に、好奇心いっぱいで自分を投入しようとする姿がありますが、
育ちの中で、そうした力をほどんど失ってしまっている子も多いのが気がかりです。

「結論から」「全体から」「単純に」考える地頭力の本質といえるものは、
子どもが生得的に持っている物の捉え方や考え方、物への取り組み方そのものといっていいものです。
幼児が、外でたっぷり遊んだり、
友だちと群れて遊んだり、悩んだり、我慢したり、喜んだり、創作したりする
うちに、自然に身についてくるものです。

日本の場合、時間も空間もやたら区切って、
子どもが大きな視点から世界を眺めることが難しいのです。
すると、「結論から」「全体から」見ることが難しくなります。
また子どもの成長を急がせることで、「単純に」考えることができなくなってしまいます。
ただ何より子どもの地頭力を育む元凶となるのが、
大人の狭いステレオタイプな物の見え方や見方を
ちょっとでも早く賢い子に仕上げようとして、教え込んでしまう、刷り込んでしまう、干渉しすぎてしまうことに
あるように思います。
幼児には大切なことを手短にしっかり教え、それ以外は
自由にたくさん遊ばせ、たくさん失敗させるのが一番です。

次回に続きます。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (yukie)
2010-06-23 12:01:23
こんにちは。
『stress-free zone』の yukieです。
さっそくですが、実はこっそりブログを引っ越しました☆

URL:http://ameblo.jp/eleguard/で『Kind-of free zone』です。
今後はこちらをメインに更新していきますのでよろしければまた
遊びに来てくださいm(_ _)m
(このコメントに対する承認はいただかなくて結構です。勝手いいましてスミマセン)
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不安です... (まゆまま)
2010-06-23 15:00:23
我が家の娘は6歳になった今も、一人で遊ぶことをまったく好みません。一人っ子のため、今まで私が遊び相手をすることが多かったのですが、私が忙しくいっしょに遊ぶことが出来ないといつも、「何して遊んだらいいの?」と言います。自分で何かを作る、考える、試してみる、ということがまずありません。
今からでも、自分をしっかり持つ、という方向に変わっていってくれるでしょうか?今日のような記事を読むたびに不安になります。
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