虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

やる気のない態度 と あとから振り返る子育て 教育

2009-08-18 08:31:13 | 教育論 読者の方からのQ&A
2歳、3歳のころから接してきた子どもたちが、
5歳、6歳、7歳と成長してから、
数年前の姿を思い返すと、教育にとって大事なことに気づきます。
わが子なんて0歳からいつも見てきて、もうすぐ社会に出て行こうという年に成長した年してるのですが、そこから十数年前の姿を思い出すと、
そこで気づく大事なことというのも、それと同じです。

大事なこと……というのは、子どもの態度やノリについてです。
幼児を持つ親御さんは、
何か働きかけるたびに、特に教育的なことの場合、
目をキラキラさせて、意欲的で積極的で熱心な姿をしるすことを望んでいます。
そうして子どもからそういう態度が得られたときだけ、
価値がある時間を過せたと感じがちです。

また教えたことが、すぐさま結果としてあらわれて
何かを覚えたり、周囲を驚かせたり、目に見える数値で成果を確かめられる場合のみ、子どもに正しいことができた、良いことをしてやれたと思いがちです。

とても短い期間に、子育てに近視眼的になればなるほど
そう感じがちです。

けれど、いったん、子どもがある年齢まで成長して
さまざまな年齢の子どもの姿を振り返ると、
何をするのも乗り気ではなくぐずぐずしていた時期も、
反抗ばかりして少しも成果が見えなかった時期も、
どちらも非常に重要で、

大人が食いついた~と評する状態で学んでいる時期
同様に

子どもを大きく成長させていたことがわかります。子どもにはさまざまな成長段階もあるし、個性もあります。物との関わり方も、無関心を装いつつ、実は熱心に観察している子、頭の中ではあれこれ考えている子がいます。

たとえば、虹色教室には、5~6歳の3トリオさんが通ってきていますが、
この3人のうち、TくんSくんが3歳、4歳のときのレッスンなんて、
2時間、私のすることに1から10まで反抗して、レッスンとしてなりたたないときもよくありました。かなりのやんちゃさんでしたから……。

それでも私は淡々とその時期の子の心にひびく
体験を用意していきました。子どもの態度にまどわされず、
その子に必要なものを与えていくのです。

反抗期がひどくなると、部屋にいることすら嫌がってかんしゃくをおこすので、
TくんとTくんのお母さんと私とで
外を散歩しながら、花を見たり、建物を見に行ったりしてレッスンとした日もありました。それでも泣きつづけて機嫌をなおさないTくんに、根気良くつきあうTくんのお母さんの姿を見て、今さえ乗り越えれば、
1年もすればこの子はとてもしっかりしたお兄ちゃんになるだろうな~と感じました。
なぜそう感じたかというと、
Tくんを見てそう思ったのでなく、
Tくんの態度に動じないTくんのお母さんの姿を見てそう感じたのです。

そして、私が推測していた通り、1年たたないうちに、
Tくんの中から、自立していて、意欲的で、まじめで、がんばりやで勉強好きの性質がどんどんあらわれてきました。
お友だちとのグループのレッスンになってからは、
リーダーシップを取りながら、お友達の意見をよく聞き、自分の意見をきちんと表現し、大人の話にも集中して耳を傾ける「できすぎくん」となっていました。
態度が悪くて聞いていないように見えた時期の学習は、
なぜかすべて覚えていて、まじめに取り組んでいた子以上によくできます。
しっかり反抗期を超えているので、
依存的なところや、赤ちゃん返りがあまりなくて、
学んだり、何か技術をマスターすることにいつも心が集中しています。
幼稚園でも「根っからの優等生」と先生から評されているのだとか……。

Sくんも同じような経緯をたどっています。

またうちの子の子育てを振り返っても
娘はフランス語の暗唱でも英語の暗唱でも、4歳のころには、教えればすぐさま吸収して、アウトプットし、手先も器用で幼稚園時代から絵画で賞をもらったりしていました。
息子は、わが道を行く子で、私がすることをいっしょに楽しむものの、ふざけるだけで幼児期にはアウトプットはなし。
絵なんか、卒園時に棒人間でしたけど……。

でも大きくなれば、娘も息子も
私が働きかけたことは、その時期の子の態度や外からみえる成果にかかわらず
同じようにすべて吸収されていたんだな~と感じることが多々あります。

あとから振り返ると、子どもの中に生き続け
芽を出し、成長し続ける幼児体験というものがあるのです。

それは、子どもがどんな態度をしるしたとか、乗り気かとか、何ができるようになったとか評価しないで、
ただ子どもの周辺を「質の良い学ぶことの喜びと美しさ」で彩る行為です。

子どもの環境を知的なものと友だちになれるように整える

ただそれだけです。

また子どもの中から、肯定的で前向きで好奇心あふれる姿勢があらわれてくるまで、
急いで評価を下したり、大人がふらふらせずに、
気長に楽しみながら待つことです。
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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (もんまま)
2009-08-18 10:38:33
心にズシンとくる素晴らしい記事をありがとうございます。
先生のような経験豊かな子育ての先輩&専門家の先生が増えて、我々のような新米ママ達に助言を頂けると、どんなに子育てが楽しくなるでしょう!!!
そして幸せな子供達があふれ、素敵な国になると思うのです。これからも応援しています♪
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気持よく (ところてん)
2009-08-18 10:50:54
大人が気持よくなるだけではなく、
子供の成長になるように、
それを伝えられるように、
子供に接したいと思いました。

子供は1週間ほど田舎で星を眺めていると思います。
帰ったら、遊びを取り入れた勉強をしたいと思います。

気に入らなかったら、粘土、チャンバラ、
読書(読み聞かせ)でもしたいとおもいます。

下の娘は、吸収の時期なので、好きなジグソーパズルや塗り絵を増やしてやりたいです。
返信する
Unknown (タイママ)
2009-08-18 15:36:20
子供の態度に惑わされず、必要なものを
与えていく・・・肝に銘じて、前向きな態度が見えてくるまで気長に待ちたいと思います。
なかなかできないんですけど(汗)
ついつい近視眼的になっている自分がいます。

息子さんは卒園時に棒人間を描いていたとのこと、今は息子さんも絵がお上手ですよね。
なおみ先生は子供さん達に絵に関して何か働きかけはされましたか?

うちの息子は3歳2ヶ月です。
最近顔を書くようになってきました。
輪郭と目と鼻口のみです。ママの頭についてるのなーんだ?って聞くと髪を書いたりします。
そこで調子に乗って他の部分も描かせようとすると嫌がるのでやめます。
うまく描かせようなんて気はないんですが・・
(心の底にはあるのかしら)先生は何か働きかけしてらっしゃいました?
返信する
思い当たることが… (ひいら)
2009-08-18 22:39:01
私はピアノ講師をしていますが、お預かりしたお子さんは長い目で見られるんです。
できなくて当たり前。
気乗りしてくれなくても、そんな時もあると割り切れるし、わかるまで工夫をこらして何度も何度も説明し、ゆっくり手間ひまかけてチャレンジさせて、それで失敗してもそれも過程の一つとして見られます。
けど我が子でその態度を通すのは、ものすごく難しいです。
どうしても頭の中が、『私に出来てたことがなぜあなたに出来ないの!?』になってしまう。
結果、スパルタになってしまうんですよね、いけないとわかりながらも。

この、親ゆえの近視的な視点をスパッと切り替える、よい秘訣があれば、教えていただけないでしょうか。
意識して意識して視点を変えるのはかなりのストレスにもなり、何かの瞬間ですぐに意識がお留守になってしまったりも。
Tくんのお母様のように、根気よく息子に付き合える自分になりたいです。
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Unknown (みゆここ)
2009-08-19 07:58:47
いつもたのしく、参考にさせていただいてます。

何かの取り組みではないのですが、次女(3歳8ヶ月)が、
何かするにも自分の思い通りにならないと(お店に行って何かを買いたいけど、買ってもらえないとか、長女(7才)と同じ行動をしたいけどできないとき)泣く→叫ぶ→泣き狂う(頭を壁に当てたりする)のです。このような状態のときもT君のお母様のように根気よく見守ることができません。
このなくエネルギーを何かに変えてやりたいのですが、どうもこのように泣き叫ばれてしまうとお手上げ状態です。

根気よく見守るにはどうしたらよいのでしょうか?
なにかよいアドバイスがありましたら、お手すきのときでかまいませんのでよろしくお願いします。
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