虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 1

2011-07-25 07:42:30 | 子どもの個性と学習タイプ


虹色教室では子どもの性格タイプを把握して、
それに合わせた接し方をすることがよくあります。

このように話すと、子どもを一時期の外からの見た目で分類して、
「○○タイプ」という情報のフィルターを通して、
小さな枠に押し込んだ形に育てるのじゃないかと心配する方もいます。

でも、実際に性格タイプについて思いをめぐらすことは、
そうしたステレオタイプな見方や考え方とは
真逆にあるとも言えるものです。

もともと人は、自分以外の人を眺めるとき、
「自分」というフィルターを通して眺めているものです。


自分の感じ方や見え方や感じ方

それまでの自分の経験や教えられたこと

自分が良しとするもの、価値を感じるもの、あこがれるものによる格付け

今いる環境にある価値観をどうとらえているか……


そのように「自分」を通して相手を理解しているものです。

わが子についてより広い視野で理解しようと思っていても、
自分にとって「わからないもの」「ネガティブに捉えてきたもの」は、
やっぱりそのようにしか見えないし、
理解しようと思うあまり、極端な甘やかしに傾いたり、
嫌な部分は見て見ぬふりをしてしまうこともあります。

一方、欠点は小さいうちからしつけて修正していかなくてはと思うあまりに、
その子の個性的な長所まで押さえつけて、
子どもの性質となじまない親の価値観を押しつけてて育ててしまうことも
多々あります。

性格タイプを知るということは、
まず、自分の見え方や感じ方や価値観が
全てではないと知ることです。

また、今、子どもの置かれている環境にある価値基準も、
あるひとつの価値観を体系化したもので、
絶対的なものではないことを学ぶことです。

たとえば、ユングのタイプ論では、
人の構え(態度)を大きくふたつに分けて考えています。

外向性と内向性です。

といっても、人はそのどちらかに分類されるのではなく、外向性も内向性も持っているけれど、
ふだん表に出ている態度がどちらなのかで、「外向的な人」と「内向的な人」という違いが生じています。

外向的な人とは、関心が外の世界に向かっていて、どんな環境や状況にも
合わせることができる人です。
内向的な人とは、外の世界よりも自分の心の中の世界に関心が向かう人で、
身の回りの環境は、
自分の心に合っているか、受け入れられるかを一番に考えます。

環境や出来事が、みんなからうらやましがられるようなすごい価値を持ったものでも、
自分にとって興味がなければ価値を感じないのです。

わが子が、外向的な人にも内向的な人にも
その性質だからこその長所があります。どちらかが正しくて良い態度だから、
どちらかの態度に矯正していくものではなく、
一方に偏り過ぎずバランスよく、
長所を磨きながら生活していくのがよいのだと思います。

外向的な人の長所はどんな環境にも合わせられることです。
でもそれは自分が何をすると、楽しい気分になり、充実できるかを、
環境や状況に依存しているともいえます。

内向的な人は、新しい環境や状況になかなかなじめないけれど、
ひとたび自分に自信を持つと、
トラブルが起きたり、周囲から批判されたりしても、
強く信念を抱いてやりすごせるところがあります。

そのように、人の態度に、外の世界か、自分の内面かという
ふたつの方向性のようなものがあって、
どちらにも長所と短所があることを知っておくと、
次のような良い点があります。

たとえば、子どもをサークルや幼稚園に連れて行った時、
そこになじまず、嫌がって泣くことが続くと、
「この子は、社会性が育ってないのかしら?」「今まで甘やかしすぎたのかしら?」
「発達障害があるのかしら?」
「どうしてこんなに頑固でわがままなんだろう?」と、
子どもに対するネガティブな思いでいっぱいになってしまう時があります。

確かに、そうした態度を取る子の中には、社会性の育ちがゆっくりで、
発達障害の疑いのある子もいます。

でも、そうではなく、内向的な性質のために
新しい環境になじむまでに時間がかかる子もいることを知っておくことは、
大事なことだと感じているのです。

もし、それを知らないと、「この子は協調性がないから」と
子どもに無理させたり、攻撃的な言葉で責めて自信を失わせるような
こともあるからです。

特に外向的な方が内向的な子を育てている場合や、内向的な方が外向的な子を育てている場合は、
誤解や偏見によって、子どもの心を傷つけたり、
本来の子どもの性格を抑圧して、親の価値に添うようにゆがめて育てることがないように
注意しなくてはなりません。

そうした意味で、私は子育て中、
性格タイプに考えをめぐらせることや、
子どもの性格タイプを把握するように努めることは大事なことだと
感じています。


次回に続きます。




今日からユースホステルのレッスンです。
次の更新は明日の午後からになります。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ろっきー)
2011-07-25 21:29:51
タイプ論の区分ごとの性質を熟知している訳ではありませんが、この存在を分かっているのと分かっていないのでは大きな違いがありますよね~♪
なんか子育ても人付き合いも気楽になった感じがしました。
返信する
オンライン教室 ブロックについて (高岡 恵美)
2011-07-25 21:32:35
こんばんわ。虹色教室に出会ってから幼児教育に興味ができて、いろいろ参考にさせていただいています。
ところで、以前、「オンライン教室 ブロック」があって、閲覧させてもらっていたのですが、今はもう見れないんでしょうか?夏休みに入り時間があるので見てみようと思ったのですが見れなかったので・・・。
返信する
高岡 恵美様 (奈緒美)
2011-07-26 11:11:19
時折、パスワードの変更を行っています。
事務局から届いたメールを確認してみていただけますか。
もし、パスワード等を忘れてしまった際の連絡先も載せています。
返信する
Unknown (sho)
2011-07-26 12:31:54
子供の性格タイプを考えるとき、自分の子供でも、第3者の目から見ることができるような気がします。冷静に見れるというのでしょうか。前は自分の子供だから、とか、自分の子供なのに、というような見方が強かったような気がします。最近は自分の子供の性格タイプがなんとなくですが、わかってきたような気がします。それによって、子供への接し方も自分の子供に合った接し方に少しづづですが、変わってきたようなきがします。
(何度かコメントしているのですが、反映されてないようです。コメントする際に何か間違っているのでしょうか?奈緒美先生に読んで頂いてるだけで、嬉しいのですが、その確認ができずに疑問に思ってました。個人情報を記載しない他に、何かし忘れているのでしょうか?)
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