虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

変えられる性格 と 変えられない性格 2

2011-05-03 11:47:14 | 日々思うこと 雑感
変えられる性格 と 変えられない性格 1
の続きです。

精神科医の水島広子氏は、『10代の子をもつ親が知っておきたいこと』

という著書の中で、遺伝の影響を受ける因子と、環境的な因子の関係について
次のように述べておられます。

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「自分はねばり強くないほうだから、ねばり強さが要求されることは避けておこう、コツコツやらねばならないときは特別な工夫をしよう」
などと考えられるのは、自尊心の高さを示しています。

自分をよく知り、肯定的にとらえると、このような建設的な考え方ができるのです。

また、すべての人が性格について科学的な知識を持っているわけではありませんから、時には「君はどうしてそんなに我慢が足りないんだ」「君はどうして新しいものに関心を示さないんだ」などと責められることがあるでしょう。

その際に、それは自分には変えられないものなのだということがわかっていれば、
自分を責めて自尊心を低下させることもなくなるでしょう。
変えられないのは自分の性格だけではありません。相手の性格も同様です。他人の不完全なところを受け入れやすくなるので、協調性を高めることができるでしょう。
(略)世の中にはまったく同じ性格の人はいません。いろいろな人がいて、いろいろな出会いがあって、その中でお互いに学びあっている、というふうに考えれば、精神性も高まるでしょう。

      (『10代の子をもつ親が知っておきたいこと』p28より)
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大人は子どもに対して、
「どの子もねばり強くなければならない」
「どの子も慎重にミスのない行動を取れなければならない」
「どの子も人に共感的で優しくなければならない」
といった理想を押し付けがちです。

そして、欠点や弱点はできるだけ幼いうちに、
しつけて克服させなければならないと考えることがよくあります。

大人たちを見てみれば、誰もが、ねばり強くてミスをしない性格ではないし、
どの社会人も共感的で優しい性格でもありませんよね。

もちろん、欠点は見てみぬふりをしたほうがいい、弱点は克服しなくてもいい、というわけではないのです。

ただ、生まれ持った遺伝的な気質は、
直そうと思ってすぐに直せるものではないし、
それぞれ高くても弱くても良い部分があるものです。
叱ったり責めたりして直そうとすれば、「自分はダメだ」「努力しても無駄だ」と感じるようになります。


幼稚園や学校での集団の場では、
「心配性」の子は、集団に溶け込みにくく、活動に積極的でなかったり、
泣いたり、ぐずぐずしたりする困った面が目立ちます。
それで、親御さんは、社交的で活発な子とわが子を比べて、
がっかりするかもしれません。

でも、心配性は直さなくてはならない悪い気質ではなくて、
自尊心を育てながらその子らしさを大切にすれば、
慎重できちんとしたミスの少ない人となって、
周囲の人々から信頼を得るようになるはずなのです。

また、学校の宿題をさせようとしたり、習い事の課題に取り組むときには、
「ねばり強く」ない子は、厳しくしつけていかなければならないよう
思えるかもしれません。

でも「ねばり強く」ないことは、必ずしも悪いわけではなく、
ものごとにこだわらず柔軟性があってさっぱりしているという
周囲の人々から愛される性格のもととも、言えるのです。

ですから、生まれ持った気質は、それぞれ良いものとして
大切にしながら、
生活をしたり勉強したりする上で困ったことにぶつかったら、
自分の持っている条件の中で最善をつくせるよう工夫していくと
いいのではないでしょうか?

たとえば、大量に出る計算の宿題を嫌がって、
いつもぐずぐずする子がいるとします。
その子の「ねばり強さ」が低いとすれば、
「帰宅するなり、自分から進んで一気に最後までやりきってしまう」ことを期待しても難しいはずです。
「いつになったら、さっさと宿題をすませるようになるのかしら」と毎日ため息をつくのも無駄なことです。

期待するとすれば、「ちょっと嫌々でも、寝るまでには何とか宿題をすましている」くらいでも、褒めてていいのかもしれません。
そういう子は、目新しいことや自分が考えたことには
乗り気で取り組みますから、
「めんどくさい宿題を、どうやったら楽しいものにできるのか」アイデアを出しあっては、試してみるのもいいかもしれません。

ひとつ飛ばしで計算するとか、
めんどくさい苦手な計算を先にするとか、後回しにするとか、
10問解くごとにスタンプ帳にはんこを押していくとか
さまざまな方法があるでしょう。

そうして自分が得意なことや長所を使えば、
苦手なことは何とか乗り越えられる‥‥‥それほど嫌ではなかった‥‥‥
という体験がたくさん必要なのではないでしょうか。

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