虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

飽きっぽい子、我慢が苦手な子に根気をつける方法 9

2011-05-08 19:26:25 | 子どもの個性と学習タイプ
感覚が優れている子の補足です。

感覚が優れている子は、
外向的か、内向的かで印象がずいぶんちがいます。

外向的感覚の子はお出かけやおいしい食べ物や
新しい刺激的な出来事が大好きで、快活で何でも経験してみたがると思います。
図鑑を眺めたり、新しい知識に触れたり、
音楽を聴いたりすることが大好きという子も多いです。


『子ども時代の内的世界』F・G・ウィックス  海鳴社 
に、外向的感覚タイプについての次のような一文があります。

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……この人たちは経験の深さや意味よりも、感覚の多様な世界に生きている。
こういう傾向をもった子どもにとって、大都会のあわただしさは、
人生の息吹のように思われるだろうが、実は最も油断ならない毒となる。

かつて家へ帰る支度をしている子どもたちを見守っていた時、
八歳になる少女が、他の子に走りよって、お昼を一緒に食べて公園で遊ぼう、と誘っていた。

母親によれば、その子は二週間もの間、映画、ダンスの景子、音楽の練習、子どもたちのパーティーと、ぎっしりとすることがつまっていて、一日も自由な日はなかったという。

街中の遊び場しかない哀れな子どもには、感覚の刺激ばかりで余裕がない。
人気のある効果的な遊びの時間でさえ、集団行動は子どもの時間を奪い、
必要なゆとりや静けさは押し出される危険がある。

この感覚的行動の旋風は、緊張を解いて、人生の新しい局面への適応に大事な時である青年期に、かえって増大することもある。
このときこそ、私たちは子どもたちの混乱した感覚的刺激を除き、よりよい理解を与えなければならない。
青年期の過剰な刺激は、特に感覚タイプの人には危険であって、
抑制や方向づけを最も必要とする時に、
感覚を極端にまで追いこんでしまう。
               (『子ども時代の内的世界』より)
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上の文の中にあるように、外向的感覚の子は、
さまざまな多様な感覚を味わうのを喜ぶけれど、
表面的な感覚の刺激だけを求めていくところがあります。

教室にいる外向的感覚の子のひとりは、科学ショーや実験教室や科学の図鑑が大好きなのですが、
「どうしてこうなるのだと思う?」という問いには、
すでに知っている知識を披露する場合以外、
無関心です。

原因について考えたり、データーを分析したり、仮説を立てたりする時は、
「どうして図鑑に答えが載っているのに、ぼくが考えなきゃいけないの?」
と文句をつけることがあります。


外向的感覚の子は、見たり聞いたりする受動的な刺激を求め出すと、
溜めた感覚的な刺激を整理しないまま、次々新しい感覚的な刺激を求めるので要注意だと感じています。

好きな活動の中で、少しずつ自分の手で行い、自分の頭で考える作業に
慣れていく必要があると思っています。

このタイプの子らが好む水溶液の実験や鉱物の観察や
光やレンズの実験に誘うと、
そうした好きな作業をしているときは、
とても集中して落ち着いて作業をしています。

けれども、熱心に作業をし終わった後で、
「こんなの科学じゃないよ」とむくれていたこのタイプの子もいました。
どうも映画やショーのように
たくさんの感覚刺激のシャワーを浴びないことには、
何かをしっかり体験したという心地がしなかったようです。

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内向的感覚の子たちも、水溶液の実験や鉱物の観察や
光やレンズの実験といった美しかったり、触れた時の感触を味わえたりするものが大好きです。
地層や宇宙や恐竜を好む子も多いです。

内向的感覚の男の子は、他のタイプの子たちのように
武器や忍者グッズなどは興味がないか、大嫌いという子がよくいます。

体の痛みや、心の傷にも、
とても敏感で、オーバーなほど怖がったり、
他の子は気にかけないような小さな不安がもとで、さまざまな課題を避けることがあります。
ささいなことをきっかけに恐怖心が膨らみやすいのです。



『子ども時代の内的世界』F・G・ウィックス  海鳴社 
に、内向的感覚タイプについての次のような一文があります。
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彼女は誰であれ怒っている人を見るのを恐れた。別にその人が危害を加えるからではなく、醜い表情のためで、その怒りがあらわれている顔が、
内的なイメージを誘いだすからであった。
これらの子どもたちには、人間関係の安定が必要である。
鋭い感覚をもった犬が、街の騒音や混雑に出会ったときに、主人の傍らに
おじけて寄るように、これらの子どもたちは、移り変わる外の世界での安全を求めて愛の保護のしたに身を寄せる。
こういう子が孤立感や劣等感をもつと、まるで対象が恐ろしい力をもっているように感じる。
             (『子ども時代の内的世界』より)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このタイプの子は、
幼稚園の先生が時々、誰かを叱っていて怖い表情をしているというだけで、
自分が叱られているわけでもないのに、
幼稚園に行くのをしぶったり、園で緊張して何も手につかなくなることがあるようです。
1度だけ小さな注意を受けただけでも、
意気消沈して、なかなかそこから立ち直れない子もいます。


このタイプの子には、
いつでもそっと受け入れてもらえる安全地帯のような家庭が
必要なのでしょうね。


私は内向的感覚の子たちも、外向的感覚の子たちと同じように
美しい色や素材の感触を楽しむようなさまざまな作業が
必要だと思っています。

モンテッソーリ教育の本にある働きかけの多くも
このタイプの子に合っていると思います。
こうした作業をするうちに、頭の中で感覚的な刺激が整理されたかのように
体験したことに対する理解が深まります。

発掘グッズにはまって、砂を削り続けたこのタイプの幼稚園の男の子は、
ある時、世界の国々の名前や動物たちの住んでいる地域や、
恐竜時代の歴史について、
大人顔負けの理解をするようになりました。

積み木で階段を作り続けていたこのタイプの4歳の女の子が、
足し算も引き算もそれだけでしっかり理解していて驚いたことがあります。

感覚が優れている子たちは、あわててたくさんのことを求めると、
パニックを起して、
たったひとつのこともやろうとしなくなるので注意が必要です。

といってもあまり神経質になって、
このタイプの子が嫌がることを、いっさいさせないのも、
問題です。
あまり気にかけないで、取りあえずやらせてみて、
「不安が強くなっているな」と感じたら、ちょっと働きかけるのを
控えておくくらいで いいのではないでしょうか。
そうして加減しながら、さまざまなことに耐性をつけていくことも
大事だと感じています。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (noayumeママ)
2011-05-08 23:02:07
感覚が優れている子というのがどういうことなんだろうとわからなかったのですが、この記事を読むうちに、これは、あ!うちの下の子では!!

刺激を与えすぎることを私の本能が黄色信号を
だしていました。

反応がよすぎるのです。

工作に誘った場合もきらきらのスパンコールを貼るような作業なら進んでやりあますねー。

>美しい色や素材の感触を楽しむようなさまざまな作業が
>必要だと思っています。

具体的にどんなものがありますか?

工作オンラインも申し込んでいますが、まだ、
ちゃんと全部は見てないです・・・
すみません。

もし、載せられるようなものがあれば・・・

返信する
Unknown (つばめ)
2011-05-09 10:11:28
息子はこの内向的感覚型に驚くほど当てはまります
なるほどなるほど…

確かに、男の子なら一度ははまるだろうと思われる戦闘ものや戦いごっこが嫌いでした。
また、発掘グッズにはまった時期もあり恐竜好きでもあります。

加減しながらさまざまなことに耐性をつけていくことも大事…ですね。
私の性格上極端になってしまいやすいので、加減に気をつけていきたいと思います。

それにしても、上の子と下の子はずいぶんと違ったタイプに思えるのですが、子どものタイプはいくつ位からわかってくるものなのでしょうか??
(娘は感情型?!)
返信する
Unknown (きのこ)
2011-05-09 12:54:37
>上の文の中にあるように、外向的感覚の子は、
>さまざまな多様な感覚を味わうのを喜ぶけれど、
>表面的な感覚の刺激だけを求めていくところがあります。

先日、とある親子イベントに参加しました。
こまやけん玉やお手玉といった昔遊びで遊ぶ時間の
最中、トイレへ行った時に
小学3年生くらいの女の子達の会話が聞こえてきました。

「なんかおもしろくないよねー
○○(携帯ゲーム)とか映画とかやってくれたらいいのにー」

そのイベントに参加している親子は
アナログな遊びやおもちゃを推奨している団体に
所属している人達だったので
この発言にちょっとビックリしてしまいました。

ただでさえ刺激の多いものがあふれている社会…
感覚タイプの子に限らず、
今の子供たちは刺激に慣らされているのかもしれませんね。




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Unknown (cclef)
2011-05-13 10:31:38
娘が2歳4ヶ月の時に、なおみ先生から内向感覚型みたいですね~、と言っていただいた事がありますが、この記事に書かれていた性質が最近益々表れて来たようです。

本やテレビを見て、「怖い!」と言うことが多く、本を読むのをやめさせられたり、テレビを止めさせられることばかりで(^^;;
(彼女はおさるのジョージもダメだそうです。ジョージがいつもピンチに陥るのが怖いようです)
これも性質の1つなんですね。焦らず徐々に慣れていけるようにしていきたいなと思いました。
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